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のんべんだらりな転生者~貧乏農家を満喫す~  作者: 咲く桜
第3章 ルイーナ魔術学院編
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ep.54 アウル畑始動①


試験を無事に終えて、今は結果が出るのを待っているところだ。およそ一週間程度で合否が出るのが通常らしいのだが、今回は人数が人数だけに10日くらいかかるらしい。


お祝いに2人に何かプレゼントすると言ったら、考えさせてくださいとのことなのでとりあえず保留となった。


一旦やることが無くなり、どうしようかとふと窓の外に視線をやると、雪がほぼ完全に溶けているのが見える。


春はもう目の前に来ているようだ。これなら農業を始めることが出来そうだな。



「よし、庭に畑を作ろう!」


「家庭菜園ですね!」

「ふふ、農家の血が騒ぎましたか?」


「それもそうだけど、砂糖が残り少ないからね。テン菜を植えようと思って。あとは迷宮で嫌というほど拾ったこの謎の種も試しに植えてみよう」


「砂糖ですか!是非お手伝いします!」

「ふふ、ルナったら現金ね。私もお手伝い頑張りますね!」


グロウアップで促成栽培したら2回くらい収穫できないか、試しにやってみよう。


以前試した、魔法で出した水と井戸水だとでは違いがほとんど出なかったので、労力も少なく魔力の訓練にもなる魔法で済ませることにしている。



と思ったけど我が家の庭はおよそ15m×10mくらい。家庭菜園としてやるならいいかもしれないけど、本格的にやろうとしたら全然足りないな・・・。やっぱり王都に本格的な畑を作るのはちょっと厳しいか。


「ねぇ、庭を畑にしても全然足りないんだけどどうしたらいいかな?」


「そうですね、では城壁の外にある土地を買われていはいかがでしょうか?」

「おそらく不動産屋に聞けば何かいい情報があるかもしれません」




ということで現在、前にお世話になった不動産屋に来ております。


「すみませーん」


「はいはい!おや、あなた様は以前家をお買い頂いた坊っちゃまですね。それと王都を救って頂いてありがとうございます!」


え?なんで俺のことを知ってるんだ?


「商人たるもの、情報は命でございます。今をときめく水艶と銀雷の主人で、王都の大型魔物を討伐したという情報はすでに商人の間では有名な話です。一応、緘口令は敷かれているみたいですがね?」


なるほど、存外侮れないものだな。ギルド長かレブラントさんか、はたまたその部下の人か・・・いずれにしろ用心したほうがいいのは間違いないだろう。まぁ、レブラントさんではないだろうな。


「いえ、自分の家を守っただけですよ。それで今日は少し聞きたいことがあって来たんですけど」


「はいはい!なんでも仰って下さい!できる限り対応させて頂きます!」


「えっと、畑を作りたいんだけどいいところないかな?1番は家の隣とかもしくは近くかな。それも無理だったら城壁の外でも構いませんが」


「少々お待ちくださいね〜・・・・・・お、いいのが何件かありますよ!」


提示されたのはまたしても3箇所だった。



・1箇所目

家から歩いて10分の城壁のすぐ側で、ボロボロの空き家があるらしい。空き家を壊せば畑として使うことができる状態。家無しの場合50m×50mの面積。賃貸月額金貨10枚。売却額→金貨2000枚。


・2箇所目

家のすぐ横の屋敷の家主は引越しを検討しており、つい最近家を探しに来たのだという。引越し先の屋敷代を少し出してあげればすぐに引っ越してくれるかもしれないとのこと。家ありの場合30m×30mの庭。家無しの場合80m×60mの面積。そこにある家も込み込みで賃貸月額金貨70枚。売却額→金貨18000枚。


・3箇所目

城壁の外で少し外れた場所で特に何もない。200m×300mの面積。賃貸月額金貨10枚。売却額→金貨3000枚。



念のために全部みてみたけど、1箇所目と3箇所目は微妙だ。治安はあまり良くなさそうだし、城壁の外だと何かあった時に対処が難しいだろう。広さは3箇所目がいいんだけどね・・・。



って隣の人引っ越すのかい!!ならそれにするわ。お金がかかるかもしれないけど、貯まりすぎても経済が回らないしちょうどいいよね?うん、そういうことにさせてくれ。


「じゃあやっぱり家の横の屋敷と土地を買いますよ。白金貨にして180枚だけどいいですよね?あとは追加で20枚出しますんで、今の家の人に渡してあげてください」


「か、かしこまりました!!いやぁ今回もお買い上げありがとうございます!おそらくあと5日もあれば隣の家は空き家になると思いますので、そしたら家共々自由にして頂いて構いませんよ!」


「じゃあ、また5日後に屋敷の鍵をもらいに来ますね」


「はい!その前に手配が完了したら鍵をお届けに参りますので!」


お金はまだたくさんあるけど、だいぶ使っちゃったな。まぁ、迷宮に行けば食べるには困らないし、お金はそこまでいらないんだけどね。



帰り際に改めて隣の家を見てみたけど、かなり大きい。というか普通に屋敷だし、庭もかなり広い。


面積は80m×60mって言ってたけど、空間把握で確認するとどうやら80m×70mくらいありそうだ。これは少し得した気分である。


・・・ただ、屋敷がそこそこボロい。というか補修が必須だろう。今度、不動産屋には文句を言ってやろう。



「ご主人様。あの屋敷ですがどういたしますか?」

「ボロボロですが、補修すれば使えなくもなさそうですね」



・・・俺のぶっ壊れ性能なアイテムボックスを使えば恐らく収納は可能だろう。


ただなぁ、家の間取りにもよるけどかなり外観から見るに古そうだし、補修するにしても使いにくいかもしれない。


もしかしたら内装は奇麗な可能性もなくはないが、もしそうだったら引っ越さない気がする。



これはもう作り直して屋敷を収納してしまおう!ログハウスもあるけど何かに使えるかもしれないしね。


なんならログハウスが入るような収納機能のある魔道具を作って2人に貸せれば、冒険者業の手助けになるに違いない。


むしろそれを2人のお祝いにプレゼントしよう。



不動産屋曰く、家具等は全部持って行くらしいので完全に建物だけになってしまうという。


「今日はとりあえず、家の庭を畑にしようか!土壌は俺の方で整えるよ」



ウィンドカッター、アップリフト、アースシェイクを使用して土壌を整える。以前はここで魔力が尽きかけたものだが、今ではまだ余裕でいける。成長を感じるっていうのは中々嬉しいもんだな。



「じゃあテン菜を植えようか」


「謎の種はいいんですか?」


「あれはここじゃなくて、新しく買うところで植えようと考えてるよ」


それに何か気味の悪いものが生えて来たら家の近くだと嫌だしね。あ、念のために隣の家が引っ越したら木か土で壁を作らなきゃ。まぁ、無難に木の柵なんかが目立たなくていいかな?



畑もそこまで大きくないし、今のうちに木の柵を2人に作っておいてもらおう。


「やっぱり2人は木で柵を作ってもらってもいいかな?種は俺の方で植えるからさ」


「「かしこまりました」」



土の栄養のために迷宮で拾った貝を砕いて作った粉を撒く。そのあとにアースシェイクで混ぜ込み、丁寧にテン菜の種を埋めて、ついでに水やりもやる。


作業に夢中になって分からなかったけど、いつの間にか3時間くらいが経っているみたいだ。


2人もあっという間に大量の木の塀を作ってくれているし、あとは数日待つだけだな。


・・・2人は3時間であの量の木の柵を作ったのか?優秀過ぎるだろ。



ちなみに今は昼過ぎである。遅い昼ご飯は肉串のおっちゃんのところで適当に済ましておいた。ちょうど今日が露店最終日の営業だったらしく、かなりサービスしてもらった。


新しい店舗での営業を再開したら海の食材なんかも卸して、貝の串焼きなんかもメニューに入れてもらおうかな?


それに焼きそばなんかも作りたい。こっちの世界にソースはないので塩焼きそばになるけど、海鮮塩焼きそばなんかヒットしそうな気がする。


あとはガルさんに簡易の製麺機を作ってもらって、それを肉串のおっちゃんに買ってもらえれば完璧だろう。麺の太さを変えられるように作ってもらえれば太麺や細麺の種類が出来ていいかもしれないな!



ふふふふふ、聞いた話だとおっちゃんの新しい店は家から歩いて15分のところだ。どんどん新しいメニューを作ってもらおうではないか。ご飯を作るのが億劫な時に楽できるようになるぜ!


2人に頼んでもいいけど、みんなで外食とかもしたいもんね!まぁ、おっちゃんの方でも色々新メニューを考えているみたいだし、ちょっと楽しみだ。



肉串のおっちゃんと別れたあとそのまま市場を3人で散策していたら、若いお姉さんの露店で面白いものを見つけた。



「お、スキレットじゃないか。中々使い勝手も良さそうだな」


ぶっちゃけスキレットとフライパンにあまり差はない。普通のフライパンより保温性が高かったり、素材が厚いのが特徴だろうか?あとは焦げ付きにくいとかね。


「あら可愛いお客様ね。そのフライパンは見習いの鍛治師の作ですよ。まだ見習いなのでちょっと厚く重いフライパンになってしまいました。銀貨3枚でどうかしら?」


3000円か・・・。少し高い気もするけど、お姉さん綺麗だし胸元の色気がすごい。


これは買ってもいいかな・・・?いや、男として買わねばならない気がする!



「少し高い気がするのですが、もう少し安くなりませんか?」


邪な思考で買おうとしたら、何かを察知したルナに邪魔をされてしまった。くっ…!


なんて有能なメイドだ!



「あら、そこのお嬢ちゃんは坊やの御付きかしら?でも素材は鉄でもかなり上質な鉄なの。焦げ付いたりもしないと思うしお手頃よ?」


「はい、銀貨3枚」


「ふふふ、坊やは商人をわかっているわね。さすがは英雄様かしら?」


ふーん、商人たちは耳が早いってのは不動産屋が言ってた通りか。こんな露店の店主でも知ってるなんて。でも安易にそれを口にする彼女にはお灸が必要かな。


「お姉さん、それは禁句ですよね?」


そっと彼女にだけ少し威圧を飛ばして、ニッコリと笑顔を向けてあげる。


途端に顔が青くなり、目に見えて動揺し始めるお姉さん。少し効きすぎたかな?


「そ、そうだったわね。ごめんなさい!えっと、ナイフとフォークをおまけしておくわね!」



罪滅ぼしのナイフとフォークかな?どうやらこれも見習い鍛冶師が作ったもののようだ。そのどれもに『テリー作』と彫ってあるしね。




せっかく買ったんだし、スキレットといえばやっぱりアヒージョだよね!このスキレットは26cmで深さも5cmくらいだから、3人でも腹一杯食えるだろう。


海老と烏賊も迷宮の海エリアでたくさん捕まえてあるし、ナスもある。ニンニクモドキという野菜が市場で籠に山盛り銀貨1枚で売っていたのでそれも買った。


完全にニンニクだと思うのだがなぜモドキなのかは分からない。


ただ、野菜の迷宮でたくさん取れるらしく相場はかなり安いという。その割に匂いが臭いということで一部の人を除いて、あまり人気のない食材なんだとさ。


俺はニンニクが大好きなので、これなら早めに野菜迷宮に行くのもありだな。


ともあれ今日の夜ご飯が決まった。


海老と烏賊とナスのアヒージョ、野菜とベーコンたっぷりピザ、バゲット、野菜スープだ。ピザを作ったのはアリスの誕生日以来かな?


そう言えばあの時は色々作ったなぁ。食材はあるわけだし、2人にも今度作ってあげよう。




「ご主人様この匂いなんですか?なんだか独特な匂いです」

「これってニンニクもどきですよね?シクススにいた頃に食べたことがあります」


「これはアヒージョと言って、海老や烏賊、ナスを、みじん切りしたニンニクモドキで香り付けしたオリーブオイルで煮たものだよ。美味しいから食べてごらん?」


「あちち…!!美味しい!ちょっと癖がありますけど、それがまた病み付きになります!」

「すごい!ニンニクモドキってこんな使い方があるんですね!それに海老もプリプリで美味しいです」


どうやらこっちの世界では普通に野菜として食べることが多いらしく、調味料的な使い方はしていないようだ。


「ピザというものも美味しいです!チーズが香ばしくて最高です!ご主人様これすごい伸びますよ!!」

「ベーコンと野菜とチーズが絶妙に合ってます!」



2人とも今日のご飯が気に入ったみたいだ。それにしても久しぶりに食べるアヒージョは美味いな!


オリーブオイルとニンニクモドキがあれば具はある程度好きにできるし、おっちゃんに教えてもいいかもな。でもすぐに真似されちゃうか?



食事も終わったし、今日も今日とて風呂だ。


「えっと俺は風呂はいるけど、2人はどうする?」


最近だと何も言わなくても2人が勝手に入ってくるので、逆に聞くようにしている。その方が心の準備ができるしね!



「…えっと、お背中流させてもらいます!」

「うふふ、色々と流させてもらいますね?」



はっきり言おう。ルナもヨミも成長している!何がとは言わんが、確実に成長している!実にけしからん!全くもってけしからんぞ!


結局またしても悶々とした夜を迎えてしまった。





そんな日から3日後、不動産屋が鍵を持ってやってきた。どうやら白金貨20枚もらったお礼ということで、かなり大急ぎで引越しをしてくれたらしい。



何はともあれ、これで古ぼけた屋敷と土地を手に入れた!まだ合否の連絡は来ないし、明日からは屋敷のリフォームだ!


細々と更新します。

評価・ブクマしてもらえたら嬉しいです。


表現力や説明力を上げたいので、お勧めの小説等ありましたら教えてほしいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 咲く桜さん私友人にスペイン料理得意なシェフが居るので アウトドアーでアヒージョ作る勇気無いです! アヒージョは温度管理が命の油煮の料理で 揚げ物ではないと友人が力説し実際本当のアヒージョを …
[一言] 古ぼけた屋敷と言いきった!これはリフォームと言いつつ別物を造るのでは?リノベーションする? 〉何はともあれ、これで古ぼけた屋敷と土地を手に入れた!まだ合否の連絡は来ないし、明日からは屋敷のリ…
[一言] なろうで文章力なら、刹那の風景でしょうか?。 書籍ではグインサーガやアルスラーン戦記が、個人的におすすめです。
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