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ep.30 新たな仲間

SIDE:???


「ふふふ、もう少しだ。もう少しで念願が叶う。私はこんなところで終わるような男ではないのだ。何年もかけた計画をこんなところで終わらせるわけには行かないのだ。念には念を入れなければ・・・」


1人の野心が今後王都全体を巻き込んだ騒動になって行くとは、まだ誰も気づいていなかった。





SIDE:アウル


今俺はお菓子を作っている。それもアリスの誕生日パーティーですら作らなかったお菓子だ。何を隠そう今日はレブラントさんの紹介で奴隷を買いに行くのだ。ぶっちゃけ緊張してほとんど寝られていない。集合は夕方なので時間としてはまだまだなのだが、そわそわしてしまって落ち着かないのでお菓子を作っている。


それにこのお菓子にも意味はある。奴隷商の商会長の奥さんが無類の甘いもの好きということなので、ここでサービスしておけば何かいいことがあるのではないかという魂胆だ。


レブラントさんの紹介なのでぼったくられたり騙されたりはしないだろうが、どうせなら最善の結果を出したい故の努力というやつなのである。


ちなみに作っているのはパンケーキ、それも生クリームとはちみつをふんだんに盛り付けた一品である。これで落ちない女子はいないんじゃないだろうか?


ふふふふふふ、値段交渉の時にそっと出してやるぜ。



今日購入する目標としては2人を考えている。いい人がいるかは分からないけど、1人だと何かと大変な気がするし2人いれば安心だよな。




そんな感じでお菓子作りに精を出していたら、お昼ご飯を食べるのも忘れて頑張りすぎてしまった。


「やば!そろそろ時間だ。お金持った、服もそこそこのやつ着た!よしいける!」


浮き足立つ気持ちを抑えながらレブラント商会に着くと、店員がすぐにレブラントさんを呼んでくれた。


「お、アウル君。準備は大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です!」


「ふふふ、緊張しなくても大丈夫だよ。それにしても安心したよ」


「えっと、何がですか?」


「アウル君もちゃんと人間なんだなって思ってね!正直、10歳と言われても信じられない程の貫禄とか知識とかあるから、そんなに緊張したアウル君を見られて安心したってことだよ」


そりゃ、緊張くらいするよ!俺だって1人の人間だし男だぞ。でも、確かに今までの行動を考えると10歳っぽくは無いのか?


今後は少し意識して行こう。うん。自重はしないけどな!


「それじゃ、行こうか」




レブラント商会から奴隷商までは徒歩で20分くらいの所にあるらしく、馬車に乗るかと聞かれたが緊張をほぐすためにも歩くことにした。


ゆっくり歩きながらレブラントさんから奴隷について色々聞けた。



まず、奴隷とは基本的に商品という扱いらしい。けど、最低限の衣食住は保証しないといけないし、人によっては守らなければならないルールもあるそうだ。


例えば、冒険の手伝いや家事をするのは良いが夜伽などはNGなど。基本的には何をしても良いのだが、買う前に確認する必要があるらしい。


悪徳の奴隷商だとその辺を黙って売りつけたりすることもあるらしいので、信用のおける商会で買うのが安全ということだ。


基本的に奴隷は、主人に危害を加えられない、逆らえない、自殺は出来ないという。


まぁ、よくある異世界ものと似たような物なので問題無く理解できる。



「アウル君、ここが王都で1番の奴隷商だよ」


「ここがそうなんですか?」



見た目はかなり綺麗で、パッと見ただけでは普通の商会と変わらないような印象を受ける。さすがは王都で1番ということか。


入り口に近づくと店員が近寄ってきた。



「あっ、レブラントの旦那!お疲れ様です。商会長は中でお待ちしてあります!えっと、そちらのお客様がレブラントの旦那が懇意にしているという・・・?」


「ええ、そうです。仲良くなっておいて損のない方ですよ?見た目は子供ですが、侮らないようにお願いします」


「へい!かしこまりました!」



「じゃあアウル君、もうここの商会長に話は通してあるから、希望を言うだけで大丈夫だよ。私はここで失礼するけどいいかい?」


「はい、ありがとうございました!このお礼はまたいつか!」


「ふふふ、それは期待出来そうだ。いい子が見つかるといいね!」


レブラントさんは帰って行ったので、店員の方の後をついて行くと、かなり豪華な応接室へと通された。



「では、商会長を呼んできますんでしばしここでお待ちを!」


程なくして恰幅が良くいかにもな人が出て来た。しかし、ゴテゴテと指輪をしている訳ではなく、品のいい装飾品を数点つけているのみ。印象としてはかなり好印象かな。


「お待たせいたしました。レブラント殿からお話は伺っております。私は当商会の商会長をしておりますカスツールと申します。本日はよろしくお願いいたします」


「俺はアウルと言います。こちらこそよろしくお願いします」


「さて早速ではありますが、本日はどのような奴隷をお望みですかな?」


「えと、家事ができるのが最低条件ですね。欲を言うといずれは冒険者活動も考えているのでそれについても大丈夫な人、あとはできれば年が近いくらいだと文句なしですね。あ、女性でお願いします!」


メモを取りながら聞いてくれているところを見ると、なんとなく安心して任せられそうだな。


「ふむふむ、なるほどなるほど?かしこまりました。では該当する奴隷を連れてまいりますので少々お待ちください」



・・・やばい!!めちゃめちゃドキドキして来たかも。



「お待たせしました。アウル殿の条件に合いそうな奴隷は当商会には現在7名おりました。アウル殿はレブラント殿の紹介ですので、奴隷になった理由がギャンブルなどによる者や出自が不明な者、元々の素行が良くない者は除外しております。ですので今からお薦め致します子らの出自については安心下さい。では、左から紹介させていただきます」


カスツールさんが連れて来た女性は全部で7人。見た感じは全員若そうだが、さすがに俺より若そうな子はいない。みんな13〜17くらいなのかな?何より、全員が美女揃いなのだ!片腕がない子もいるみたいだが、それを差し引いてもお釣りが来るほど綺麗な容姿をしている。



カスツールさんが紹介してくれた人を簡単に要約すると、こんな感じだ。



・人族 ミルキ ♀ 13歳

特技:料理、裁縫   意気込み:家事は任せてください!冒険は未経験ですが、頑張ります。

印象:可もなく不可もなくといった感じ


・人族 ラナ ♀ 14歳

特技:家事全般  意気込み:家事は得意ですが、冒険はできればしたくないです。

印象:俺が年下だからか、下に見ているような感じ


・人族 ルリリ ♀ 14歳

特技:家事全般  意気込み:頑張ります。

印象:完全に子供だと思って、やる気がない感じ


・人族 −−− ♀ 15歳

特技:家事全般、剣術、水魔法  意気込み:なんでもやります!どうか買ってください。

印象:何が何でも買ってほしいと言う感じ

欠点:左手欠損、右目欠損、名無し


・猫人族 ミーニャ ♀ 16歳

特技:料理、斥候、短剣術  意気込み:魚が食べたいです

印象:魚が食べられれば良いそうだが、コントロールできなそうな感じ


・犬耳族 マルン ♀ 16歳

特技:家事全般、索敵  意気込み:頑張ります!是非買ってください!

印象:何に対しても頑張り屋さんな感じ


・人族 ヨミ ♀ 16歳

特技:家事全般、索敵、短剣術、房中術  意気込み:うふふ、是非買ってくださいね!

印象:大人の色気がたっぷりな上に特技が凄い。




「どうですかアウル殿?気になる子がいましたら面接も可能ですよ」


気になるといえば、4人目、6人目、7人目だろうか。この子たちは俺を見ても下に見たりバカにすることはなかった。それにやる気も申し分ない気がする。


「では4人目、6人目、7人目とお話ししてもいいですか?」


「はい、では私は席を外しますので」



・名無し 15歳


「俺はアウルと言います。今は王都に暮らしているので家事全般をお願いできればと思っています。後、いずれは各地を見て回りたいので、冒険とかは問題ないですか?」


「すみません、私には今は名前はありませんので、買っていただけたらつけていただけると嬉しいです。見ての通り、私は左手がありません。右目も欠損していますが普段の生活には問題ないです!出来る限りの事は致しますから、どうか私を買ってくださいませんか!」


「えっと、俺は見てわかる通りまだ10歳そこらの子供ですよ?それでもいいのですか?後、来年からルイーナ魔術学院に入学する予定なので、いろいろとバタバタするかもしれません。それでも大丈夫ですか?」


「全く問題ありません。それに私は過去にルイーナ魔術学院を卒業していますので、お力になれるかと思います」


「え、そうなんですか!わかりました」

彼女は何かいろいろ訳ありそうだけど、有能なのは間違いないだろうし、ルイーナ魔術学院の卒業者なら勉強教えて貰えるかも!



・マルン 16歳


「俺はアウルと言います。今は王都に暮らしているので家事全般をお願いできればと思っています。後、いずれは各地を見て回りたいので、冒険とかは問題ないですか?」


「全く問題ないです!アウル様はどこの貴族の御坊ちゃまなのですか?」


「えっと、自分は平民ですので貴族ではないです」


「あ・・・そうなんですか」


こいつ、俺のことを貴族の子息か何かと勘違いしてたみたいだな。貴族じゃないとわかった途端の落胆具合が半端ないじゃないか。こいつは無しかな。




・ヨミ 16歳


「俺はアウルと言います。今は王都に暮らしているので家事全般をお願いできればと思っています。後、いずれは各地を見て回りたいので、冒険とかは問題ないですか?」


「うふふ、全然大丈夫ですよ。是非私を買ってくださいな。必ずご主人様のお力になりますよ?」


「えっと、自分は平民ですけど問題ないですか?」


「なんの問題ありませんわ。うふふ、よろしくお願いしますね?」


な、なんというかこれが大人の色気ってやつなのか?能力的にも申し分ないし、悪い人ではないだろうから、大丈夫かな?・・・べ、別に他意はないよ!?下心なんて無いんだから!勘違いしないでよね!?





「どうでしたかな。お気に召す奴隷はいましたか?」


「はい、4人目と7人目の子をお願いしようと思いますが、値段はおいくらですか?」


「はい、レブラント殿の紹介ですから精一杯勉強させていただきますとも!名無しは片腕も無く右目も欠損していますが、容姿は綺麗ですし気立てもいい。なので白金貨20枚です。ヨミは容姿も抜群、能力も申し分無し、ここまでの逸材はなかなかいません。なので白金貨100枚でどうですかな?さらにこの子たちは借金奴隷では無いので生涯奴隷です」


「白金貨120枚ですか・・・」


全部で白金貨120枚。人の人生を買うと考えると安い気もするが、事前に聞いていたよりも幾分高い気がする。こんな時こそあれの使いどきか!


「時にカスツールさん、奥さんは無類の甘いもの好きだそうですね?」


「え?えぇ、まぁそうですね。レブラント殿にはそれで大変お世話になっでいます」


「実はですね、ここに最新の甘味があるんですよ」


「こ、この白い甘味は?!アダムズ公爵家で出されたという甘味に使われていた生クリームなるものでは?!どこでこれを?!」


「それは言えません、けど交渉次第ではこれをカスツールさんにあげてもいいんですが」


「ははは、レブラント殿が仰る通りのようだ。ただの子供では無いようですね。こんな素晴らしい甘味を頂ける機会を見逃していては妻に怒られてしまうな・・・。わかりました、2人合わせて白金貨80枚とさせてください」



まぁ、こんなところか。それにしてもさすが商人だな。アダムズ公爵家の甘味の噂をちゃんと仕入れている。しかし、思惑通りだ。希少度がどんどん上がっているおかげで交渉が優位に進められる。



「わかりました。ではこの甘味は3人前をお渡しします。少し多めにしておきますので、何かサービスしてくださいね?」


「ははは、これはこれは。では手数料は無料にさせて頂きます。あと、奴隷用に服と靴など一式こちらで用意させて頂きますね。いやはや、今日は気持ちのいい商売をさせて頂きました。これからも是非ご贔屓にしてくださいな!」



というわけで、仲間が2人増えることになりました!



「ではアウル殿、右手を出してください。契約をしてしまいましょう」


無事に契約を済ませたらこのまま連れて帰って良いそうなので、とりあえず家へと帰ることにする。



・・・やばい、今更だけどどうしたらいいんだ?!もうすぐ家着いちゃうよ!?


「ご主人様、大丈夫でございますか?」


「えっ?大丈夫大丈夫!あ、着いたよ。ここが今日から君たちの家でもあるから、自分の家と思って自由にしていいからね!」


名無しの子が心配してくれたけど、そんなに顔に出てたかな?俺の方が年下とは言え、俺はこの子たちの主人なんだからちゃんとしっかりしなきゃ!!



「じゃあとりあえず改めて自己紹介するけど、俺の名前はアウルと言います」


「ご主人様、主人が奴隷に敬語を使っていたら舐められますので、どうか敬語はおやめください」


そ、そうなのか・・・。知らなかった。


「わか・・った。えっと改めて自己紹介してもらってもいいかな」


「はい、では私から。私は今は名前がありませんのでお好きなように呼んでください。特技は家事全般と剣術、あとは水魔法が使えます。左手が無いのと右目が欠損していますが、できる限りのことはいたします!!」


「では次に私ね。私の名前はヨミです。家事全般と索敵、短剣術が得意です。あとは、房中術が得意ですよ?うふふ、今夜にでも試して差し上げますよ?」


「こ、こらヨミ!そんなこと私が許さないんだから!」



ふふふ、名無しとヨミはかなり仲が良いみたいだ。相性もそこまで悪くなさそうだし、安心した。それにしても名無しの名前はどうしようかな。


月夜に映える銀髪の髪に、綺麗な白っぽい瞳。


「ルナ。うん、君の名前は今日からルナだ。いやかな?」


「ルナ・・・いえ、嬉しいです!・・・ふふふ!」



『ぐぅ〜〜〜〜〜』



盛大になる3人のお腹の音に、みんなで笑い合うことができた。まだ固さはあるけどこれからちょっとずつ仲良くなっていけたら良いな。


「さっ、細かいことは明日説明するとして、今日はご飯を食べようか!」



収納から出来合いのご飯を大量にテーブルへと取り出す。出来立てで仕舞っていたのでホカホカと熱そうな湯気が出ていて、とても美味そうだ。


「「・・・・・・」」


「どうしたの2人とも?」


「・・・ねぇ、ヨミ。私たちのご主人様ってかなり世間知らずなんじゃないかしら?」

「そうね、平民なのに私たちを即金で買うあたりで薄々感づいてはいたけど、今確信したところよ」


「ほら、冷める前に食べるよ2人とも!」


「「はいご主人様」」


ちょっとずつ更新していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 奴隷が出てきた時点で萎えた
[気になる点] 奴隷を選ぶのに、奴隷落ちした理由を確認しないのは不自然かなと思います。 理由がギャンブルや犯罪だったら素行が悪い可能性があるのに、第一印象だけで決めていてなんだかなーって感じました。
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