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ep.23 迷宮攻略①

地球の頃は朝にはめっぽう弱かったが、ここ『アルトリア』に転生してからは、農家の息子だからか朝は日が上がったくらいで目が覚める体になってしまった。


体感だが、おそらく朝の5時半くらいか?


部屋はおおよそ20畳くらいあるのでかなり広い。さすがは公爵家といったところだ。


時間もまだ早いし、監視するような気配も感じない。日課である魔力操作でもしようかな。



体の周りにいろんな属性のボール系魔法を浮かべて周遊させる。今使えるのは『火・水・風・土・氷・雷・聖・無』の8種類。


アイテムボックスは空間属性かと思っていたが、どうやら無属性魔法らしい。


なので未だに空間属性は使えていない。最終的には空間属性を使えるようになって転移魔法とか重力魔法を使えるようになりたいものだ。


剣術は一応それなりには使えるが、はっきり言って中の下がいいところだろう。刀術か杖術なら困らない程度には使えるので、こちらの世界では当分は魔法と杖術だろう。


刀の詳しい作り方は流石にわからないので、自作は厳しいだろうな。


それでも、杖術は「突けば槍、払えば薙刀、持たば太刀、杖はかくにも外れざりけり」と言われるほど万能な武術だ。まぁ、マイナーではあるが。


周囲を各属性のボール系魔法を展開しながら、杖術の型を実践する。最初はゆっくりと確認するように。しかして最終的には全力の身体強化をしながらの型。もちろん魔法は展開しっ放しである。


気付けば朝食の時間なのか直ぐ近くにメイドさんらしき気配を感じたので、さっと汗を拭いて着替えを済ませる。


食堂にはまだ誰もいなかったが、俺が平民であることを考えたら普通か。


朝食はパンにサラダ、スープと焼いたベーコンだった。ベーコンについては、まだ公爵家ではアルバスさんしか知らない。


なのに出てきたということは、それだけ王都でも流行っているということだろう。


みんなが揃うのを一応待っていると、5分もしないうちに揃ったので朝ごはんを食べる。


未だにかなり緊張するが、公爵家の方々は良い人ばかりなので直ぐに慣れる気がする。


・・・自分でも思うが、中々に肝っ玉が据わっているな。下手をすれば不敬罪と言われてもおかしくない。念のため、肝には銘じておこう。



誕生日パーティまではぶっちゃけ全然時間がない。お菓子は何を作るかだいたい決めたが、料理ははっきり言って何も決めていない。


そういや、こっちの誕生日パーティってどういう形式でやるんだろう。立食形式なのかな?


「アルバスさん、貴族様の誕生日パーティというのはどういった形式でやるのが普通なのですか?」


「ほっほ、すみません。その説明をしていませんでしたな。基本的には料理とお菓子の二箇所に食べ物が分かれて置いてありますので、そこからメイドに取らせてテーブルに移動して食べるのです。椅子は壁際にも用意してあるのでそこで食べられる方もいらっしゃいますな」


となると、立食スタイルが基本というわけか。


「料理は大皿に山盛りになっている感じなの?お菓子も?」


「そうですな、それをメイドたちが取り分けるのです」


「ふぅん。飲み物は?」


「飲み物もすでに注がれた状態でコップが置かれている感じですな。そこから好きなものを取って飲むのです」


「わかりました。ありがとうございます」



アルバスさんに聞く感じだと、そこまで地球と変わらないようだ。


根本的には一緒だが、少々手を加えてもっと居心地のいいパーティにしてやろうかね。



パーティの方針は決まったし、あとは料理をどうしようかな。和食も出来なくはないが、流石にやりすぎな気もする。



・・・よし、イタリアン、洋食、中華のいいとこ取りにしよう。フレンチは作れるけど難しいし手間が多いからパスだ。ついでに和食は俺が独占させてもらおう。


こうすれば好みが分散してもある程度対応できるだろうし、それに食材をほとんど公爵家が集めてくれるなら、申し訳ないけど実験も兼ねちゃおう。



よって、作るメニューはこうだ。


【イタリアン】

パスタ、ピザ、生ハムサラダ、ニョッキ


【洋食】

ハンバーグ、グラタン、ローストビーフ、オムレツ


【中華】

餃子、シュウマイ、トンポウロウ(角煮のようなもの)、ワンタンスープ


あとは適当に料理長にこの世界の料理を何品か作ってもらえれば完璧だろう。






試作しようにも、注文した食材は全部届くのに2日かかるとのことなので一旦は暇になってしまった。


なので、手持ちで出来るケーキつくりをしてみた。作るのはアプルパイ。


アプルはもともとあったし他に必要なものも殆どあったので試しに作っていると、厨房の外がガヤガヤとしてきた。


視線をうつすとそこには、はしたなく涎を垂らした残念な美人メイドが数人いた。


視線は明らかにアプルパイに向いている。どうやらこの世界の女性にこの甘く香ばしい香りは破壊力が高すぎたらしい。


「えっと、味見はしてないですけど、食べます・・・?」


「「「「食べます!」」」」


一応、アリスには内緒にしてもらったがどこまで隠しとおせるものなのか・・・。


だって怖かったよ!あんなに優しそうだったメイドさん達が飢えた獣のようだったんだもん。


あそこであげないという強者がいれば是非ご一報頂きたい。代わってやるから。



ともかく、アプルパイについては問題なく作れるようだ。



そのあとは自分用のクッキーを作って部屋に帰ったのだが、この日からなぜかメイドさん達が15分置きくらいに俺の部屋へとやってきて用はないかと聞いてくる。


・・・朝のメイドさんに呼びに来てくれたお礼にクッキーを5枚渡したのがいけなかったのかな?


だんだん誕生日パーティにたくさんのお菓子を作るのが不安になってきたアウルであった。





朝起きると今日も今日とていい天気。まだ時間は朝の5時半くらい。日課を済ませて朝ごはんを食べたが、実は今日の予定は何もない。お菓子を作ってもいいのだが、いかんせんメイド達が怖いので今日はやめておきたい。


王都内を散策してもいいけど、迷子になりそうだよなぁ。絡まれてもやだし・・・。


ということで、困ったときのアルバスさん頼みだ。


「そうですなぁ。アウル殿ほどに魔法を多彩に使えるのであれば、迷宮に行ってみるというのもありでしょうな。本来ならば絶対薦めはしないですが、アウル殿は少々特別ですな。ほっほっほ」



迷宮。



『アルトリア』に108個あると言われている物だ。中には魔物が跋扈し侵入者を迎撃する危険な場所だ。それでも挑戦者が後を立たないのは、迷宮で出てくる魔物を倒すとドロップ品を落とすからだ。それ以外にもごく稀に宝箱があり、中には希少な魔道具や武器などがある。それ故に迷宮に人が集まるのだ。


そして、ここ王都にも有名な迷宮がある。『迷宮番号4

』。NO.1〜10をナンバーズと呼び、他の迷宮とは一線を画すほどの難易度と深さを誇る超巨大迷宮。らしい。


確認されている階層は73階層が1番深いらしく、100階層は優に超えると考えられているようだ。



本来であれば、冒険者ギルドに登録しないと中に入れてもらえないらしいが、年齢は15歳以上じゃないと登録できないとのことで、どうしようかとなったのだが、迷宮前の衛兵にアルバスさんが話しかけたところ、なぜか入れてもらえた。


「わ、私は子供が入っていくのを見てないであります」


「ほっほっほ、昔恩をうっておいたのですよ。それも、大きな大きな恩をね」


・・・アルバスさんは怒らせない方が賢明だな。



「では、私はここで。アウル殿であれば大丈夫でしょうが、お気をつけください。アリスラート様には内緒にしておいてあげますので。ほっほ。公爵家に帰る際はそこの衛兵に言えば連れて行ってもらえますので。ではご武運を」


そう言い残してアルバスさんは帰っていった。



時間は9時を過ぎたくらいか。夜ご飯を考えると18時には戻った方がいいな。


無属性魔法『アラーム』発動。今から8時間後にセット。



「よし、いくか!」



洞窟然とした見た目なのに、なんでこんなに明るいんだ?さすがはファンタジーだな。物理法則なんて関係ないってか。


一階といっても油断はできないな。


身体強化!気配察知!気配遮断!空間把握!



「こんなもんでいいかな?目標はとりあえず10階かな」


5階ごとにゲートキーパーと呼ばれる中ボスがいるらしいから、それを2回倒せれば御の字かな。


ゲートキーパーからはそこそこ良いドロップも出るみたいだし、ちょっとワクワクしてきたな!



「お、最初の魔物はスライムか。雑魚だな」


魔法を使うまでもなく、魔力を纏わせた木の杖で薙ぎ払うと魔石を落とした。


「これがドロップか。思ったよりもショボいな…」


とは言ってもここはまだ1階層の入り口、まだまだこれからか!



気配察知を使ってなるべく人に会わないようにしながら奥へと進むが、出てくる魔物は雑魚ばかりで張り合いがない。


それに空間把握を常時使っているために、道に迷ったりすることもない。罠はまだ無いのでスンスン進める。



「お、これが下に降りる階段か。思ったよりも早いか?」


2階層への階段はおおよそ30分くらいで見つけられたから、このまま上手くいけば10階層は余裕だな。



その後も特に困ることなく5階層へとたどり着いた。かかった時間は3時間ジャスト。途中休憩を挟んだためだ。なので、一層あたり30分で走破している計算になる。


アウルは普通だと思っているが、かなり驚異的な時間なことに気づくのはもう少しあとである。



「さすがに、上層に宝箱はないかぁ。お、ここがゲートキーパーのいる部屋だな」



油断すまいとアクアランスを空中に20本待機させ中へと突入した。


出てきたのは巨大なゴブリン。王冠をしてると見るとキングゴブリンってやつか?



とりあえず待機させてたアクアランスを全弾発射。


土煙が晴れたそこには王冠だけが残っており、キングゴブリンは居なかった。


「おぉう……?」


・・・オーバーキルすぎたか。次からはもう少し戦闘を楽しめればいいのだがなぁ。



拾えたドロップは王冠と魔石と大きさ30cmくらいの宝箱。中を開けると小さい小袋が入っていた。


中には何かの種がたくさん。





・・・どうやら、この迷宮は農家御用達のようだ。

ちょっとずつ更新していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 端折りすぎてリアリティーがまったくといっていいほどない。 漫画は大分面白くなっていましたけど、だいぶブラッシュアップしたんだなと感じました。
[気になる点] 普通に考えても食事会の料理を任されてるのにダンジョンへは行かなないかと思う [一言] 他の転生ものと変わらないダンジョン話はタイトルからもかけ離れていってる
[気になる点] イタリアンと洋食を別にしてる意味は?
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