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ep.19 名探偵アウルの事件簿~事件編~

アウルが10歳を迎えた年の収穫祭は秋とは思えないほどに暖かく、そして雲ひとつない晴天に恵まれたいい日和だった。


そして、今年の収穫祭は例年以上の賑わいを見せており、近隣の村からも子供連れの家族が収穫祭に参加するほど盛況である。


理由は2つあり1つ目は、今年の収穫祭は2日間に渡って開催されることになっていることだ。ちなみに例年の四つ目暴れ牛の串焼きは2日目の昼から振舞われることになっている。


2つ目は、1番美味しいと思った屋台に投票して1番人気だった屋台に村長から牛2頭が送られるのだ。


今回出店するのは30店舗に及び、参加する人たちも稼げる上に牛2頭が貰えるかもしれないということで本気であった。


牛1頭あたり金貨50枚するほど高価でありそれを2頭も用意するのはかなり奮発した村長だがこれには訳があった。


オーネン村は元々そこまで大きい村ではなかったが、アウルのおかげで移住者が増えて今ではランドルフ領でも有数の大きな村になっていた。


それにそのおかげで辺境伯夫人から手当金が出るほどに。その還元方法を考えた結果、アウルが欲しがっていた牛を買い屋台の人気投票によって公平に見えるように仕向けたのだ。


いわば出来レースなのだが、それでもよかった。内容を知らない村人や近隣の人は、高価な牛が手に入るかもと頑張るため余計に盛り上がり、なおかつまた移住者が出るかもしれない。一石二鳥の作戦という訳だ。





「おいセラス!本当にこんなくたびれた所にあの甘美なお菓子を作るものがいるのか?」

「はいガルス坊っちゃま。色々と調べさせましたが間違いございません」


オーネン村を訪れたのはフィレル伯爵家の次男『ガルス』とその付き添いの執事『セラス』。言わずもがな、訪れた理由は甘味を作るのが誰なのかということと、その製作者を家へと招くことだった。招くといってもほぼ強制的に連れて行くことなのだが。


「こんな村にいるのだ。私のような高貴な貴族に仕えることができれば、大変な名誉だろう?まぁ、金貨の10枚でも渡してやれば頷くだろ」


「さすがでございます坊っちゃま。詳しいことはとりあえずはここの村長に話を聞いて見ましょう」


「そうであるな。では参ろうか」


「坊っちゃま、先に私が先触れとして行って参ります」


「うむ、頼むぞセラス」




村長宅には『竜の息吹』と公爵家の執事『アルバス』が宿泊しており、朝も早いためにちょうどご飯を食べていた。


「失礼します。私、フィレル伯爵家の執事のセラスと申します。少々よろしいで・・・!?えっと、確かあなたはアダムズ公爵家の・・?」


「えぇ、私はアダムズ公爵家で執事をしておりますアルバスと申します。フィレル伯爵家の執事であるあなたがどうしてここに?」


「ええっとですね・・・。(これは、まずいですね・・公爵家の執事がここにいるということは、おそらく理由は私たちと一緒でしょう。幸い坊っちゃまのことはまだバレていませんし・・・。)最近有名なクッキーという甘味がここで買えると聞きましてな。買いに参った次第です」


「ほっほっほ、私と同じという訳ですか。私もお嬢様に頼まれてしまいましてな。いやはや、執事というのも大変なものですな」


「ええ、違いないです。挨拶に参っただけですので、ここら辺で失礼します」


「アルバスさんよ、フィレル伯爵家の執事さんは何しに来たんだろうな?」


「おや、おはようございますグレン殿。そうですなぁ、私と同じようにクッキーを買いにでも来たのでしょう」


「ふーん、フィレル伯爵家と言えばあんまりいい噂は聞かないからさ」


「ほっほっほ、そうですなぁ。何もなければいいのですが」



(ふむ、フィレル家がここを嗅ぎつけましたか。しかも、おそらく外の馬車には次男がいるのでしょうな。ほっほっほ、これはまた厄介なことになりそうですな。確か、フィレル家の次男は強欲で貪欲、最近は家督をどうにかして継げないかと画策していると専らの噂ですが、そこで目をつけたのがレブラント商会を有名にしたクッキー等の製作者という訳ですか。成り上がるためには手段は選ばないとなると、これはあまりうかうかしていられませんな・・・)




「おおセラス、どうであった?」


「それが坊っちゃま、村長宅にアダムズ公爵家の執事がおりました。それゆえにまずいと思い帰って参りました」


「くそっ、アダムズ公爵家か。厄介だな・・・。どうにかしてその執事より先にクッキーの製作者を見つけ出すのだ!」


こうして、フィレル伯爵家次男一行はオーネン村の広場へと入って行った。




「じゃあアウル、父さんと母さんはシアと3人で収穫祭を回るがあまり無理はするなよ?」


「うん父さん、母さんも気をつけてね!」


「じゃあアウル、早く準備しよ!」


「そうだね、じゃあ今日と明日お願いねミレイちゃん」



アウルの屋台が開店すると同時にたくさんの数のご婦人方が来店した。お目当はもちろんクッキー。しかも今回用意されたのはアザレ霊山で採取した果実がふんだんに使われているのに、クッキー10枚で銅貨5枚という破格の値段設定なのだ。


「なんで、クッキーを売るってご婦人方は知っていたんだ・・・?ちら」


チラリとミレイちゃんを見るとあからさまに目をそらして口笛を吹いているので、犯人は身内のようだ。


「・・・宣伝してくれたの?」


「そ、そうよ!そういうこと!」


しかし、そのおかげもあって好調に売れているし、ご婦人方はこぞって投票してくれているため人気一位は確実かもしれない。もちろん男票も獲得できている。


例年より厚く切ったベーコンを直火焼きしたものや、ピタパンサンドの具をいつもより多めにしている。いずれも銅貨5枚と安いのにボリューム感たっぷりで満足感もすごい。


・・・ふっ、作戦勝ちというものだな。これで牛2頭は俺のものだ!



順調に売り始め、昼を過ぎたあたりで厄介な客が来店した。


「なんだこんなしけた店の主人が、あの甘美なお菓子の作成者だというのか?ほら、そこのお前。クッキーとやらを食ってやるから持って参れ」


「は、はい!」と言って貴族の相手をしてくれたのはミレイちゃんの友人の『イーリア』さんだ。

「アウル君、外に変な貴族がきてるけど大丈夫?」


「とうとう来たか・・・」


「アウル、私が出るよ。とりあえず、まだお客さんだしクッキー出してくるよ」


「貴族様。これが当店自慢のクッキーでございます」


「おお・・・なんと美しい・・・!!」


「へ・・・?」


「どうだ?我の妻にしてやろう。こんな名誉なことはないぞ?ここのクッキーとやらがあれば家督も継げる!伯爵家だぞ?!」


「いえ、いりません。私には好きな人がいますので」


「なっ・・!?後悔するぞ?!ここのクッキーの製作者がどうなってもいいのか?!」


「・・・あなたにアウルはどうにもできないと思いますよ。クッキーを食べたらお帰りください」


「・・・セラス。アウルという人間を調べあげろ。そしてあの子の周辺の人間関係もだ。あの子が好きだという人間がわかったら教えろ。私が直々に殺してやる。そうすればあの子も諦めて私に付いてくるだろう」


「かしこまりました」


このやりとりを影から監視していた人間がいたのだが、誰も気づくことはなかった。




「すみません、クッキーというものを頂けますか、お嬢さん?それとクッキーの製作者の方に会えるとありがたいのですが」


「は、はい!」


「アウル君アウル君!なんだかとっても渋いおじ様がクッキー買いに来たよ!?なんだかどこかの執事様みたい!さっきのとは比べ物にならないくらいのオーラだよ!それとアウル君に会いたいって」


「またか、今いくよ。・・・ミレイちゃんさっきはごめんね」


「ううん、いいの。いいから早く行って来て!」


「お待たせしました。こちらがクッキーになります」


「ほっほっほ、これはまた芸術品のようなお菓子ですな。・・・失礼ですが、このクッキーの製作者の方は今はおられないので?」


「・・・いえ、俺が製作者ですが」


「ほっほっほ、そうでしたか。失礼しました」


「それで何か用ですか?」


「いえ、単純にこのお菓子を作ったという人に直接会ってみたいという好奇心ですよ」


「・・・それだけではないのでしょう?」


「これは参りました。見た目通りの中身と言う訳ではなさそうですな。単刀直入に言うと、一度王都へ来て頂けないでしょうか?自己紹介が遅れましたが、私はアダムズ公爵家執事のアルバスと申します」


「オーネン村のアウルと言います。・・・一応聞いておきますがなぜ王都へ?」


「王都で最近アウル殿が作ったクッキーが流行っておりまして。それで御令嬢が食べたところいたく気に入られましてな。それで製作者に会ってみたいとのことなのです」


「それはそれは光栄でございます。しかし、私はまだ10歳の未成年です。申し訳ありませんが・・・」


「もちろんタダでとは申しません。大金貨50枚でいかがですか?」


「大金貨50枚ですか・・・大変魅力的ですが。すみません」


「そうですか・・・明日まではいますので気が変わったらいつでも仰ってください」


そう言って去っていくアルバスを見送るアウルであったが、未だに警戒は解けなかった。


あの男、相当できるな・・・。常にこちらを見定めながら油断は一切していなかった。俺がまだ10歳の子供だと言うのにだ。油断はしないほうがいいだろうな。




そのあとは特に問題が起こることもなく夜が来た。そして、子供を抜いた村人や参加者全員に酒が振舞われた。これも村長の大盤振る舞いで皆が騒ぎまくったのだった。振舞われた酒がなくなるまで飲み続けた村人たちは朝になる前くらいに家に帰ったのだった。・・・奥様方の雷が落ちたのは言うまでもない。




「くそっ、おいセラス!アウルとか言う男のことについてわかったのか?!」


「はい坊っちゃま、アウルというのはクッキー、ベーコン、などの発明者でした。他にも今王都で密かに流行っているといういい匂いの石鹸もアウルという子供の発明らしいです」


「なんだと?!」


「まだあります。王都でレブラント商会が広めているピタパン、あれもです。それに・・・」


「・・・まだあるのか?」


「坊っちゃまが気に入られたあの少女、名をミレイといい、どうやら好きな人というのはアウルらしいのです」


「・・・そうか」


「しかし、あのミレイという女。毎年アウルの手伝いをしていたおかげか、クッキーもベーコンもピタパンも全て作れるらしいとのことです」


「なに!?それが本当なら、アウルが死んでもミレイがいれば問題ないではないか!」


「そういうことになりますな」


「セラス、今夜だ。いけ、失敗は許さん。誰にも見られるなよ」


「はっ」


「ふはははは、アウルとかいうガキが死ねばミレイも手に入り、クッキーの作り方もわかる。俺に運は向いているらしいな!」


コンコン


「誰だ」


「『・・・・』でございます。アウルという子供について少しご報告したいことが」


「ふむ……聞こう」


ガルスはオーネン村には宿がないため仕方なく馬車に寝泊まりしていた。本来であれば村長宅にでも泊まれば良いのだが、アダムズ公爵家の執事がいたためにそれができなかった。さらに、ここはランドルフ辺境伯領。あまり無茶はできないという状況だった。


アウルについて聴けると言うことなので、馬車から降りたガルスは降りた瞬間に鋭利な凶器によって心臓を一突き。回復は間に合わないほどの致命傷であった。


「なっ!?な、なぜ・・・」


バタン。





そして2日目の収穫祭を迎えた。




「ねぇアウル、大丈夫?」


「ん、大丈夫」


全然大丈夫ではなかった。夜中に気配察知が反応し、相手をしてみるとかなりの手練れ。黒ずくめのため誰かは分からなかったが、真夜中ということもあり大魔法は使うことができなかった。それでも初級魔法を並列起動して弾幕を張ることで撃退したのだ。


(それにあの感じだと、おそらく殺してしまったかな・・・初めての人殺しだったけど。まぁ正当防衛だよね。にしても、俺もこの世界の人間ってことか。人を殺しても何にも思わないんだから)


「さて、今日も頑張るかな〜、一応昼くらいに閉店して昼からは俺たちも収穫祭を楽しもうか。みんな頑張ってくれてるから給料も割り増しで払うよ〜!」


「「「わーい!」」」


それからも順調に売り上げ、ちょうど昼くらいに販売を終えた。途中、またアダムズ公爵家の執事さんが来たが特に勧誘などはせずにただクッキーを大量に買って行っただけだった。


「じゃあアウル、お金ありがと!またね」と言ってミレイちゃんが友達と走って行った。


さて、そろそろ四つ目暴れ牛の串焼きが配られる頃だし、今年もいっぱい食べに行こうかな〜!



「お、村長さん!今年も串焼きもらいに来ました!」


「ははは、アウル君は本当に四つ目暴れ牛の串焼きが好きだね。今年は味を岩塩とアウル君のくれたタレの二種類にして見たんだ、是非いっぱい食べて行ってくれ!」


「はい!肉肉肉〜♩」


村長が欲しがってたタレはこれに使うんだったのか!このタレも高価なのに村長もやるなぁ〜!この果実と醤油、酒、砂糖を煮て作ったタレも格別でうまいし、さすが俺だな。にしても四つ目暴れ牛はどれだけ食べても本当に美味しい。村長もかなり儲かっているのか今年はかなり奮発してるみたいだ。





キャーーーーーーー!!!


この声はミレイの!?



「どうしたの、ミレイちゃん!」


「アウル・・・あれ!」


「こいつは・・・昨日ミレイちゃんに言いよっていた貴族じゃないか」


「血が見えたから誰か怪我でもしてるかと思って近づいたら、この人が死んでて・・・」


続々と集まってくる大人たち。そこには竜の息吹やアルバス、さらにはミュール夫人もこの場に来ていた。


「静まれ!私はランドルフ辺境伯の名代として来たランドルフ・フォン・ミュールと申す。この場を私が取り仕切らせてもらう!そこにいるのはアダムズ公爵家の執事殿だな?手伝ってもらっても良いかな?」


「ほっほっほ、構いませんよ。確かに他領で貴族のご子息が死んだとなれば問題ですな」


「そういうことです。この場で犯人を探します。先ほど死体を調べましたが、魔法の痕跡はありませんでした。犯人は物理的に殺したことになります」


「そう言えば、フィレル家の執事が見当たりませんな」


ぎくっ


「あら、執事が一緒にいらっしゃったのね。確かに、主人を放っておくなんて変だわね。何故かしら」


ぎくぎくっ



ミュール夫人と目があった。ついそっと目を逸らしてしまった。



「・・・ふぅん。とりあえずここは一度解散とする!随時聞き取りをするのでそのつもりのように!」


そーっと逃げなければ・・・


「アウル、こっちへ」


「・・・ですよね」


「知っていることを話せ」


「実はかくかくしかじかで・・」


「ふむ、おそらくその襲撃者はフィレル家の執事でしょう。アダムズ公爵家の執事アルバスから聞きましたがその執事は、その昔有名な裏の者だったと聞いたが?それをどうやって撃退したかは今は聞かないでやるから、協力しろ」


「はーい・・・」



ということで死体検分だ。


「うーん、鋭利な刃物で一突き、って感じですね」


「ほっほっほ、体が全身固まってますから、少なくとも死後12時間は経過しているようですな。ですので、殺害された時間は深夜といったところでしょうか」


「死後硬直ってやつですね?」


「ほっほっほ、よく知っておりますな。アウル殿は博識なようだ」


「・・・死体からそんなことがわかるのか。そして凶器の刃渡りはおよそ30cmってところか。他に特段変なところはない・・・ん?これは、粉か?微量だが・・・」


「なんですかね・・・?」


「ほっほっほ、とりあえずここで考えすぎても分かりませんし、聞き取りをして見ませんか?」





【聴き取り①】

『何か変なものや不審なものは見なかったか?』


村人Aの証言

「んー、俺たち夜はずっと酒飲んでたからなぁ。全然覚えてないんですわ。だから、何にも見てないなぁ」


村人Bの証言

「確かに昨日の夜は飲みすぎた。あぁでも、関係あるかわからんが、昨日の昼過ぎくらいかなぁ。執事さんがアウルやミレイについて聞いて回ってるのは見たなぁ」


村人Cの証言

「お、それは俺も見た。あと、あの死んだ貴族様がいろんなところの屋台で絡んだりしているの見たぞ」



【聴き取り②】

『刃渡り30cmくらいの刃物を持っている人を見なかったか?』


村人Dの証言

「いや、そこまで大きいものは見なかったなぁ。屋台やっているやつも多いから、包丁くらいの刃物を持ってるやつも多かったんだよ」


村人Eの証言

「俺も見てないなぁ。でも、夜かな?黒い影のようなものは見たよ。誰かはわからなかったけど、それこそアウルの家の方に向かったように見えたが、気のせいだったかなぁ?」



【聴き取り③】

『死んだフィレル伯爵家の次男を恨んでいそうな人を知らないか?』


村人Fの証言

「あの貴族は昨日初めて見たけど、色々なところで絡んでたしみんな恨んでそうだけどなぁ」


村人Gの証言

「みんな嫌いだと思うぞ?あの貴族が無理やりなこと言うもんだから、みーんな村長に愚痴ってたよ」


村人Hの証言

「あれはひどかったな。金は払わないし見下すし、久しぶりに腹がたったよ」



「わかってはいたが、なかなか証言は出てこないなぁ。みんなの愚痴を聞いてる村長なら何か知っているかもしれんな」


【聴き取り④】

『フィレル伯爵家次男の愚痴を言っているやつに不審なやつはいなかったか?』


村長の証言

「ええ、確かにたくさんの人が愚痴というか苦情を言いに来ましたね。でも、とりあえずみなさんを宥めて帰ってもらいましたよ。貴族様を敵に回してもいけませんし・・・。なので特にこれと言って変な人はいませんでした。ただ、今回は初めての試みで2日間の収穫祭ですので、もし2日目も酷いようなら失礼ですがアルバス様にご相談しようと思っておりました」


「そう言えば、どうして今年は2日間の収穫祭にしたのだ?」とミュール夫人が聞く。


「はい、もう知ってらっしゃると思いますが最近この村には移住者が多くいましてな。それのお祝いも兼ねておるんです。私が村長の時にこんなに栄えるだなんて思ってもいませんでした。だから、本当にアウル君には感謝してもしきれないのですよ。本当にありがとうアウル君」


「村長、頭をあげてください!それに、俺もこの村は大好きですから」





「うーむ、なかなかこれと言った証言が出て来んな・・・」とミュール夫人は言うが、アウルとアルバスの解釈は違った。


「ほっほっほ、アウル殿。何か気づいておられますな?」


「いやぁ、アルバスさんこそ」



「アルバスさん、もう一度あの人たちに聴きに行きましょう。俺もこの村の人が殺人をしたとは思いたくありませんから」


「ほっほっほ。お供いたしましょう。ミュール夫人殿は申し訳ありませんが、念のために警邏隊の方々と冒険者のみなさんにお願いして凶器がないか村中を探すようにお願いしてもらえませんか?」


「あぁ、任せてくれ」





その後、ミュール夫人が警邏隊と冒険者を総動員しても凶器のようなものは見つからず、魔法を駆使しても全くと言っていいほど成果は上がらなかった。


「おお、アルバス、アウル。何か成果はあったか?」



「えぇ、まぁ。ありましたな」


「うん、おそらくだけどね・・・」


「しかし、アルバス。犯人は誰なのだろうか、あんなに分かりやすい場所にある馬車なのに誰もその現場を見ていない。さらには凶器も出て来ていない。そんなことはあるのか?」




アウルとアルバスは証言者のうち嘘を言っている人がわかっていたために、確認の意味を込めてもう一度聞き取りをすることで、嘘をついていると確信した。


さて、誰が嘘を吐いているのだろう。


ちょっとずつ更新します。

評価・ブクマしてもらえたら嬉しいです。


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