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のんべんだらりな転生者~貧乏農家を満喫す~  作者: 咲く桜
第4章 帝国お家騒動編
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ep.101 もう一人の魔人

SIDE:アルフレッド



「この魔力波動は・・・。どうやら終わったようですね」


エゼルミアが魔力波動を出したということは、救出準備が完了したということでしょう。大して時間は経っていないというのに、さすがはエゼルミアです。


ではこちらも魔人連中に『おはなし』しないといけませんし、一旦連れ帰るとしましょう。


パチン『浮遊フロート


空間跳躍ショートジャンプ




「およよっ?いきなり現れるとはさすがアルさん。・・・そいつらが、闇ギルドの親玉なんだね?」


「えぇ、その通りです。・・・そちらの方々が救出された方ですね。消耗している人も多いですね・・・。ふむ、となると適切な食事が必要でしょう。主様に報告も必要ですし、ついでにご飯も作ってもらいましょう。・・・あわよくばさらなる人手の確保が可能になるかもしれませんし」


この中で偶然主様の作る食事の虜になるものが出て、偶然帰る場所が無かったとしたら、保護しても問題は無いでしょう。先に保護した彼女たちは今頃まだ迷宮でしごかれているでしょうし、そこに送り込めばある程度の基礎力はつくでしょうからね。


『主様、少々お話ししたいことが――』





SIDE:アウル


アルフから連絡があった。依頼してからたいして時間が経っていないというのにもう闇ギルドのトップを捕らえたらしい。今まで帝国がどれだけ追っても捕まえきれなかったというのに、なんだか拍子抜けだな。まぁ、アルフが凄すぎるのかもしれないけど・・・。


俺の方も色々考えたけど、黒幕が誰か分からなかった。黒幕と言えば、宰相を殺したと思われる黒幕もまだ判っていなかったっけ。この件についてもアルフに相談してみてもいいかもしれない、


とりあえずアルフが潰した裏組織のアジトに来てくれと言うし、皇女の護衛はヨミに任せて俺は闇ギルドのトップとやらに会いに行ってみるか。伝声の魔導具で一報入れておけば、上手く対応してくれるだろう。ちょうど今一緒にいるみたいだしな。


『ヨミ、申し訳ないけどアルフが闇ギルドのやつらを捕まえたらしいから会ってくるよ』


『・・・わかりました。お気をつけて行ってきて下さいね』


よし、これで問題ない。にしても闇ギルドのトップを捕まえたと言うのに、全く心配してなかったな。ヨミの中で俺やアルフは信頼されているってことなんだろうなぁ。でも、いつもならもっと何か言っていそうな気がするけど考えすぎか。俺も存外、心配性というか気にしいだからな。



あそこまでは微妙に遠いんだよなぁ・・・。転移系の魔導具をいよいよ本格的になんとかしてみたいところだ。レティアの力を借りればなんとかなりそうな気もするけど。どっちにしろ王国に帰ってからだが。


身体強化っと。今日も今日とて屋根上走りだ。なんか今更だけど悪いことしてる気になるんだよなぁ・・・。


とは言ったものの、全力で走ったからあっという間についたが。



「お待たせアルフ。・・・・・・なんか人多いね?」


聞いていたより人が多いんだけど、どういうことだろう。というかあの耳の長いのはきっとエルフだよな?うーん・・・・・・・・・!あぁ、違法に奴隷かなにかにされたところを救助したって感じか。


「この方達は闇ギルド本部で救助した人たちです。闇ギルドトップの魔人達はあっちの部屋に監禁しています」


やっぱりか。殆どの人が衰弱しているみたいだし、栄養のある食事が必要だな。とりあえずこのアジトで保護した彼女たちに振る舞った食事と同じ物でいいだろう。


「主様、こちらのハイエルフはエゼルミアと言って、私の昔の古い友人です。たまたま闇ギルドに潜入する際に会ったのですが、元々彼女は攫われた人達を救出するつもりだったらしいので、救出を助けたということです」


ハイエルフ・・・。こりゃまた凄そうな人だな。魔力量もかなりのものだし、あんなに自然体なのに全くと言っていいほど隙が無い。


でもアルフの知り合いって事は、アルフの過去も知っている可能性があるということか?だったら今回の事件が落ち着いたらいろいろ話を聞いてみよう。


・・・! どうやらアルフも同じことを考えているみたいだな。ひとまず保護した人たちの食事を作るとしても、世話を誰に頼もう・・・。あ、ルナと先に保護した人たちにお願いできないかな?


『あ、ルナ?闇ギルドに潜入したアルフが囚われていた人たちを救出したんだけど、そのお世話をお願いできないかな?結構人が多いから出来れば先に保護した人たちにも手伝ってもらいたいんだけど・・・』


『わぁご主人様!はい、もちろん大丈夫です!みんなを連れて直ぐに行きますね!』


・・・なんというか、ルナ最近可愛いな。わぁ ってなんだよ。キュンとするわ。


とりあえずルナ達が来るまでにご飯を作っておくとしよう。




・・・にしても、人が多すぎるな。ざっと見ても20人以上いるし、ちまちま作ってたら時間がかかりすぎるし、うーん。焼きたてパンはたくさんあるから、一気に作れるシチューにしちゃおう。


シチューなら野菜も肉も入れられるし、なにより食べやすいしね。


牛乳も新鮮なのを収納しているし、サンダーイーグルから旨味がたくさんでるだろう。料理の実の旨味粉末を入れてやればさらに美味い。具材は小さめに切って消化にいいようにして、パンをつけて食べれば完璧だ。あとはアプルジュースでいいかな。




◇◇◇


食事を作って保護した人たちに振る舞っていると、ルナが先に保護した彼女たちを連れて戻ってきた。あとの世話は任せるとして、俺はいよいよ捕らえたという魔人達から話を聞くとしよう。


「アルフ、そろそろ話を聞きに行こうか」


「かしこまりました。トップの魔人カレアウのみでよろしいですか?」


魔人カレアウ?ベリアスと同じような感じだな。確か第二階級の名前の1つにカレアウがあったはずだ。これはやっぱり地球の頃の考え方と同じようだ。


「あぁ、それでいいよ」


「では、こちらです」



ガラッ



「む、貴様がアルフレッド殿の主人か。俺は何も喋らんぞ」


こいつがカレアウか。あの爺さんが言っていたとおり、魔力がずば抜けてやがるな。Sランク冒険者とどっこい・・・いや、それ以上の魔力量だ。それに見た目も確かに黒目黒髪だ。これだけ見たら確かに日本人では?と思うのも無理はないか。


そんなやつをいとも簡単に捕まえてくるアルフってまじで凄いな?!もはやしゅごい!


にしても反抗心が強いのも気になるが、アルフのことを殿づけなのが気になる。・・・あれか、捕らえるタイミングで上下関係が出来上がったのか。なんか、この魔人が可哀想に見えるな・・・。



「一応聞いておくけど、俺とルナとヨミ、第三皇女の暗殺依頼を出したのは誰だ?」


「ふん、教えてやる義理は無いな。・・・というか言えないんだがな」



ふむ・・・なんとなく分かったかも知れないぞ。


「俺たちはお前を殺すつもりは無いし、闇ギルドも潰すつもりは無いから安心しろ」


潰した方が良いのかも知れないけど、それをやったら余計に治安が悪化する可能性が大きいし、なによりこんな組織を潰してやる!とかいう正義の味方では無いからな。俺はあくまでただの農家の倅だ。



「本当か・・・?でも、依頼主は本当に言えないんだ」


チラチラとアルフを見ながら受け答えしているあたり、本当に怖いんだろうな・・・。一体なにしたんだよアルフよ。


しかし、カレアウとかいう魔人は依頼主が言えない。となると、言えないように制約か魔法で縛られていると考えるのが妥当か。これほどの強さを持つ魔人を縛れるということは同等、もしくはそれ以上の強さを持っているというのが考えられる。


「あと1つ、『日本という言葉に聞き覚えはあるか?』」


「?! その言語はあのお方の・・・・・・あっ!?」


これではっきりしたな。こいつは転生者じゃなく、転生者の配下ってことだ。おそらくこいつの主である魔王とやらが転生者なのだろう。・・・まぁ、ひとまず同郷のやつと争わずに済んで良かったか。



「アルフ、知りたいことは知れたから後は任せるよ。今後、あまり悪さをしないようにしっかり躾けてやってくれ」


「かしこまりました。万事お任せ下さい」


アルフが嬉しそうに笑っているし、きっと上手くやってくれるだろう。ただ、このカレアウの主である魔王とはいつかどこかで会いそうな気がするな。そのときはきっと明確な敵として、だろうけど。


しかし、言えないということはおそらくこいつに依頼したのはもう一人いるという第二階級魔人である可能性が高い。さらに、ヨミに化けられる程に正確な情報をリークできて、ある程度俺たちの動きを把握できている人物。



・・・一人だけ、思い当たる人がいるな。しかし、まだ確証がない。



「アルフ、魔人の中で人に寄生したり操ることに長けている種類はいるか?」


「ふむ、恐らくですが・・・。第一階級のグレシルがそのような能力に長けていたはずです」


第一階級・・・。魔王のすぐ下の近衛的な存在だろう。あれ、でも。


「この辺にもう一人いるのって第二階級だったんじゃないの?」


「ええ、そうだと思ったのですがなにぶん位置すら悟らせないほどの手練れのようで。おそらく自分の存在自体から誤認させたのかと。私に悟らせないとすると、相当の術者のようです」


かなりの手練れ、ってことね。


「それで、そのグレシルってやつの詳しい能力分かる?」


「もちろんです。簡単に説明しますとグレシルは依り代とする者の願いを叶えるのを対価に、強い力を発揮します。その者の願いが大きければ大きいほど強くなります。そして、依り代の願いを叶えると逆にグレシル自らの願いを叶えるまで相手を思いのままに操ることができる、という能力だったはずです。・・・もしかしたら依り代となった人間の願いが相当強いものだったのかも知れません」



ふむ・・・。となるとこのグレシルとか言うやつはかなり頭がキレるようだな。用意周到に念入りな準備をしている上に、ミスリードさせるための筋書きまで用意しているほどだからな。



まてよ?ということは、あのときの夢はもしかして・・・?!

ゆっくりと更新していきます。

評価・ブクマ等して貰えたら嬉しいです。


次話で黒幕が分かります。さらに展開も進んでいきます。


皆様のおかげで【ネット小説大賞】受賞しました。双葉社様にて書籍化させて頂きます。


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