表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
KACコレクション  作者: けろよん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/10

KAC7 魔王、歓喜の目覚め

お題 最高の目覚め

 暗い静寂に包まれた誰も住む者のいない城。そこを訪れている黒いローブを纏った魔導士の男がいた。

 彼は魔法の火をカンテラに灯し、静寂の廊下を進んでいく。

 ここに住む人間はいない。それもそのはず。ここは魔物の城だからだ。今はその魔物もいない。勇者が魔王を倒して世界は平和になったからだ。

 ここはかつて魔王が君臨していた城。魔導士の男は古の魔法を研究してここへ辿り着いた。

 城の入口には結界が張ってあったが、魔法を深く研究してきた男にとっては通り抜けることなど造作も無かった。


「見ていなさい、みんな。私がとっておきの物を見せてあげますからね」


 男は黒い野望を胸に抱いていた。その目的は魔王の復活だ。

 そのことを友達の盗賊に話したら


『世界が滅びるなんてとんでもねえ。人がいるから盗賊稼業も出来るんだ。お前がその気なら俺は伝説の聖剣を探しに行くぜ』


と行ってしまった。

 同士だと思っていたが、矮小な小物だったようだ。

 世界の滅びなど知ったことか。全てを知る者が全てを制するのだ。知識の前には些細な悪事などどうでもよくなる。大きな魔道を成し遂げるのだ。

 男は邪悪な黒い欲望に笑みを深め、行きついた先の扉を押した。




 そこもまた暗く静かな部屋だった。だが、魔導士の男には分かっていた。ここはかつて魔王の君臨していた玉座のあった場所なのだと。


「今こそ見せてやるぞ。この緩み切ったぬるい平凡な世界に。黒き魔道の深淵を! 私の力で出現させてみせよう!」


 男は魔法の書を開き、一週間に渡って儀式を行った。

 そして、ついに魔王の蘇る日がやってきた。




『感じるぞ……我を呼ぶ声が!』


 闇の奥底から不気味な声が響き渡る。

 緊張の面持ちで見る魔導士の男の眼前に影が起き上がり、それは邪悪な魔王の姿を形作った。

 男は歓喜と興奮と恐怖の混ざった顔で魔王を出迎えた。


「おお、ついに現れてくださったのですね。偉大なる魔王よ!」

「我を呼び出したのはお前か」

「はい、ぜひ魔王様の大いなるお力を今の世界にお示しいただきたいのです」

「ふむ、その為にはエネルギーが必要だな」

「エネルギーと申されますと? おっしゃられれば私めが何でも手配してご覧に入れましょう」

「では、手始めにお前をいただこう!」

「うわあああ!」


 バリボリバリボリムシャムシャゴックン。何と魔導士の男は魔王に食べられてしまった。愚かな男にはふさわしい末路だった。

 静寂に包まれ一人となった部屋で、魔王は周囲を見回した。


「こんな物では全然足りんな。かつて我を倒した勇者! あいつを食らわんことには我の飢えは満たされん!」


 魔王はかつて自分を倒した勇者の記憶を思い出し、怒りと野望とともに地上に赴くべく行動を起こそうとする。だが、その前に部屋に光輝く魔法陣が現れてその行動を取りやめた。

 魔王の目には見て分かった。あれは転送の魔法陣だ。

 誰が開いた物でそこから何が出てくるのかまでは分からないが、何者かが来るというのなら出迎えてやるのも一興というものだろう。

 一分と待つこともなく現れたのは、少年と女と兵士と犬だった。

 魔王の目は先頭にいた少年の姿に釘付けとなった。魔王にはすぐに分かった。あれは自分を倒した勇者の末裔だと。

 しかも平和ボケして物見遊山の気分で迷い込んだのか、レベルがたったの1しか無かった。


 目覚めて早々、ごんなご馳走を用意してくれるとは。最高の目覚めではないか!


 魔王は歓喜に打ち震え、どす黒い笑みを浮かべた。

 

「よく来たな。勇者よ!」

「うわ、もう目覚めてる。まだ時間あるのに」




 その後、魔王はいきなり出し抜けに神様からチート能力を授かったこの勇者の少年に討伐されることになるのだが、それはまた別の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ