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KACコレクション  作者: けろよん


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2/10

KAC2 勝ちに行く

お題 二番目

 僕のクラスではある遊びが流行っている。

 机の上に消しゴムを置いてお互いにバーンと打ち合って落とし合う、消しゴム落としという遊びだ。

 僕は2位に君臨していた姫香ちゃんまでは何とか倒したものの、一位の鬼龍院君にはまだ全然勝てないでいた。

 クラスの雑談で賑わう休み時間の教室で、僕はもう何度目になるか分からない挑戦を彼にした。


「鬼龍院君、今日こそ君を倒す!」

「いい心意気だ。受けてたとう」


 休み時間は短かったが、勝負は時間を使い切ることもなく付いた。


「よく腕を上げている。だが、俺にはまだ届かん」

「くそう」


 今日も僕は負けた。


「草薙君、鬼龍院君に勝つなんて無理よ」

「そんなことはない!」


 僕は上位に挑戦することを諦めて3位に甘んじている姫香ちゃんとは違うのだ。心配そうに声を掛ける彼女の手を跳ね除け、僕は消しゴムを取って立ち上がった。


「鬼龍院君、次こそ君に勝つからな!」

「いつでも来るがいい。挑戦を待っているぞ」


 相手は余裕癪尺だ。クラスで一番頭が良くて運動も出来てお金持ちでイケメンでカリスマ性もある彼に勝つには並大抵の努力ではいけない。

 最強の消しゴムと最強の技が必要だ。

 僕がそう決意して旅に出ることを告げると、姫香ちゃんは「もうすぐテストなのに何考えてるの!」と怒ったけど知ったことか。

 負け犬の戯言に耳を貸すことはない。僕は旅に出ることにした。




 姫香ちゃんが「草薙君、今何してるかな」と授業中の教室の窓から外を眺め、鬼龍院君が先生に当てられて黒板に答えを書いている頃、僕は修行していた。

 そして、最強の技と最強の消しゴムを会得して帰ってきた。


「草薙の奴、帰ってきたってよ」

「凄い消しゴムを手に入れてきたらしいぜ」


 クラスメイト達が噂し合う。

 久しぶりに感じる学校という戦場の感覚に僕の意識は高揚した。




 僕は教室で再び鬼龍院君に挑戦する。


「鬼龍院君、勝負だ!」

「いいだろう。どれだけ腕を上げてきたか見てやろうじゃないか」


 机の上に消しゴムを置いて勝負が始まる。僕が置いた消しゴムを見て、鬼龍院君はちょっと驚いたような顔をした。


「変わった消しゴムを持っているな」

「これが僕の手に入れた最強の消しゴムだ」


 その消しゴムは稲妻の形をしていた。


「そして、これが僕の編み出した最強の技だ!」


 普通消しゴムは右を叩けば左に、左を叩けば右に飛ぶ。だが、瞬時に左右をリズムよく叩くことで稲妻のように飛び出すのだ。

 そして、この形が最も効率よく技が伝わる。


「いっけえ!」


 僕が技を放つとともにジグザグのエネルギーを最大限に放った消しゴムが鋭く鬼龍院君の消しゴムを貫き、閃光とともに吹き飛ばした。

 長い修行と屈辱の日々だったが、勝負は休み時間を使い切ることもなくすぐについた。

 鬼龍院君は初めて床に落ちた自分の消しゴムを拾った。


「やれやれ、まさか俺が負ける日が来るなんてな」

「これからは僕が一番だ! いつでも挑戦を待ってるぞ!」


 修行した僕はもう一番を明け渡すつもりはない。自信満々で宣言するのだが、相手は元チャンピオンとは思えないほどあっさりと返してきた。


「いや、俺はもう消しゴム落としは止めるよ。飽きてきてたし。俺は自分が一番になれることをやりたいだけだったんだ」

「え……」


 そして、クラス一カリスマ性のある鬼龍院君が止めたことで消しゴム落としのブームはあっさりと去って行った。

 チャンピオンになったという肩書だけを得た僕に、姫香ちゃんが残酷な現実を告げる。


「草薙君、明日からテストだけど勉強はちゃんとやってる?」

「え……」

「もう赤点なんて許さないからね。わたしが勉強を教えてあげるから」

「ええーーー」


 そして、チャンピオンになった僕は3位の姫香ちゃんからしごかれ、赤点は回避したものの成績は下の方。鬼龍院君は一位を取っていた。

 僕は新たな下剋上の決意に燃えた。


「次こそ一位を取ってやるからなーーー!」

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