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その8

店内はかなり混んでいたが、それでも二人が去った後は少し場が寂しくなったように感じられた。

店員に片づけを指示し、自らは焼き台に向かいながら店主はふと考える。

彼女たち二人が何を話していたかは知らないが、終始とても楽しそうだった。

世の中にはいろいろな友情があるが、やはりパンク界隈の友情は格別だ。そしてそれが、芯から強い女たちの友情ともなればなおさらだ。

二人は知り合って間もない、と言っていた。

でも、友情に時間なんて関係ない。

店主には、杯を重ねるごとに二人が本当の仲間になっていくのを感じていた。まるで酔いが回るように、絆も全身に回っていくのを。

それは、パンク界隈のルールに生きる者なら、誰でも嗅ぎ取れる匂い。

そんな現場にうちの店を選んでくれて、本当に良かったなあ。

こうして店をやっている甲斐があるってもんだ。

今夜はいつもより、みんなに優しくなれるかもしれない。

また店の扉が開いた。店主はニッコリと笑顔を見せながら、ひときわ大きな声で元気良く新客に挨拶をした。


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