その2
まずはキンキンに冷えた生ビールで乾杯!
ア「あー、美味いねー。」
サ「アイヴィーちゃん、いい飲みっぷりだね。」
ア「そっちこそ。あ、そういえば、ビールでいいの?いつもラムコーク飲んでるイメージがあるけど。」
サ「それはライヴだけね。まあお店の雰囲気とか気分で、基本的には何でも飲むよ。アイヴィーちゃんはビールだけ?」
ア「ほぼビールだけだね。たまに日本酒も飲むけど。」
サ「ビール、似合うもんね。」
ア「ねえ、サニィ。」
サ「なに?」
ア「別にアタシの呼び方、アイヴィーでいいよ。“ちゃん”いらないから。アタシだってアンタのこと、サニィって呼んでるし。」
サ「ありがとう、でもアイヴィーちゃんでいいや。そう呼びたい。」
ア「ふふん、まあサニィの好きにして。最近じゃアタシのことアイヴィーちゃんって呼ぶの、松下のおばちゃんかおじちゃんくらいのもんだな。」
サ「へえ、そうなんだ。そういえば松下のおばちゃんの写真、この前初めて撮ってもらったけど。すっごく素敵だった!」
ア「特に、最後にDJ二人で撮った一枚でしょ?」
サ「えっ…。」
ちょうどいいタイミングで、熱々の焼き鳥が運ばれてきた。
ア「冷めないうちに食べようよ。」
サ「あ、うん。」
ア「あー、串から外さないでね。アタシ、あれ大嫌いなんだ。串を取っちゃったら焼き鳥じゃないよ。」
サ「へー奇遇だね、アタシも同意見。」
ア「いいね~気が合うね。ま、焼き鳥ひとつで気が合うでもないけど。」
サ「ふふ。」
他愛もない会話を進めながら、二人は焼き鳥をほお張る。
サ「その写真、見る?」
ア「見せてよ。」
二人はスマホの写真をじっくりと見ていた。長い長いライヴイヴェントを終えてボロボロになりながら、それでも満ち足りた顔で微笑むDJの男女が写った写真。
サ「ホントはさ、今夜あたり、アイヴィーちゃんにレインのこと、相談しようって。この時点ではそう思ってた。」
ア「へえ。」
サ「でも、知ってるんでしょ?」
ア「知ってるっていうか…あの日、二人の姿を見てたら気づかない方がおかしいよ。あれは絶対に恋する女の目だもん。」
サ「…やっぱり、そう見えるのかあ。」
ア「気づかないのはマサか、うちのショージくらいのもんだね。」
サ「ショージさんも?あはは、あの人らしいね。」
ア「ほらアイツ、二人の写真に割り込もうとしたでしょ。おばちゃんが止めた後も、その意味が全く分かってなくて、ずっとゴンにゴネてたらしいよ。」
サ「ふははは。悪いことしちゃったかな。」
ア「アイツこそ、マサに2~3発ぶん殴られればいいんだよ。そうすりゃ少しはマトモになるかもね。」
サ「いやいや。ショージさん、愛されてるね~。」
ア「まあね。何だかんだ言っても、ショージは大事な存在だよ。アイツにもずいぶん助けられてるから…普段はあんなだけどね。」