テレビ放映③
『佐々木のおじちゃん、この中でネットに詳しい人いない?』
『竜平、お前、確かパソコン得意だろう。』
『へい、親分。割と得意です。それで、ちひろ様、何か教えて欲しいことでもあるのですか?』
『あのね、ツイッターとかのSNSで、見たことない物体が新宿の空を飛んでいたと、呟いて欲しいの。お願いしていい?』
『それは、容易いことですけど、、、しかし、何のために?』
『私を暗殺しようとしている人がいるのよ。ネットで殺人予告もしてるの。だから、おびき寄せようと思ってるの。間違いなく悪い人よ。』
『それって、危険じゃないですか。やめた方がいいですよ。』
『竜平さん、優しいのね。だけど、私は不死身だから大丈夫よ。それに、私には仲間もいるから。私より怖くて、強い人、いっぱいいるのよ。』
『ちひろ様より怖くて強い人?』
『そう、本当に怖いよ。今度、連れてきてあげるね。』
『いえいえ、大丈夫。大丈夫だから。分かりました。ツイッターに情報を流します。』
竜平が慌てる姿が可愛いい。もしも、阿修羅大王や、婆娑羅大将を連れてきてら、全員、腰を抜かすだろう。面白いから、今度やってみよう。
竜平は、SNSで次のように呟いた。
『新宿の空で不思議な物を見た。低い位置をグルグルと旋回している。鳥ではないし、飛行機やヘリコプターでもない。馬鹿でかい人のような物体だ。しばらくすると、どこかに舞い降りていった。いったい、何だったのだろう。』
すぐに反応があった。
『さっき、私も見たよ。なんか仙人みたいに見えたけど、違うかなあ。』
『どこで見たの?僕は歌舞伎町の空で見たけど。』
『私も歌舞伎町の空よ。』
『神様じゃないのかなあ。悪魔には見えなかったから。』
『みんな、見間違えてるだけじゃないの。だってさ、写真とかないじゃん。』
『あるよ。今、写真をアップするから、見て見て。』
『本当だ。だけど、これじゃあ、不鮮明だから、どんな物体だか分からない。』
『それは、間違いなく魔人だ。不吉な前兆。抹殺せよ。見つけ次第、抹殺せよ。我も新宿に降り立つ。我は全能の神なり。』
『何か、変な奴が現れた。頭いかれてるみたい。』
『相手にしない方がいい。』
成功だ。全能の神と嘯いている者が、新宿に来る。おびき寄せ成功だ。
『竜平さん、ありがとう。上手くいったみたいよ。じゃあ、みんなまたね。』
俺は瞬間移動した。




