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成人式⑤

 降り立ったのは、伊勢神宮近くの駐車場だ。

『ママ、大丈夫?体は平気?』

『大丈夫よ。全然平気。』

『良かったわ。でも、一人で瞬間移動はしないで下さいね。』

俺は、本当にかすみの体が心配であった。そんなことを無視して、彩先生は前に進む。

『それでは、参りましょう。知っていると思うけど、伊勢神宮は日本で最も格式の高い神社です。くれぐれも失礼のないように。本当は外宮からお参りするのが正式なのですが、ちひろを着物姿で、長い距離を歩かせるのは、少々酷なので、今回は内宮のみの参拝に致します。宜しいわね。』

『はい、彩姉ちゃん。』

駐車場を抜け出し、伊勢神宮に向かって歩き始めた。すぐに、入り口と思われるところに到着した。中に入ると、大きな杉並木が迎えてくれた。異変に気付いたのは、俺とレイちゃんであった。

『ちひろちゃん、感じる?』

『はい、レイ姉ちゃん。誰かの視線を感じます。ただ、それほど悪意に満ちた気ではないわ。』

『でも、確かに私たちは見張られている。ママ、彩姉ちゃん、気をつけた方がいいかも。』

『オッケー、レイちゃん。周囲に気を配るわ。』

本殿の方に向かうと、先ほどの視線とは違う気を感じてきた。奈良の山奥で感じた霊気と同じような気だ。ただし、こちらの方が、その気の量が半端なく大きい。俺は、その大量の気に押しつぶされてしまいそうだ。神が俺たちを歓迎しているのか。それとも、敵視しているのか。伊勢神宮。ここには、三種の神器が祀られている。八咫の鏡である。八咫の鏡が伊勢神宮の御神体である。礼には礼を。気には気を返すのが礼儀と見た。俺は、オーラを出すことにした。俺のオーラを合図に、3人もオーラを出した。すると、不思議なことに、先ほどの霊気が、俺たちを招き入れるように、先導を始めた。俺たちは、伊勢神宮の神に受け入れられたようだ。

 伊勢神宮の本殿には入ることは出来ない。俺たち4人は、本殿の間近で、お参りをした。3人がどのようなことを願ったのかは分からないが、俺は自分のことではなく、3人の幸せと世界平和を祈った。

 この森の空気は気持ちいい。呼吸するたびに、体の中が浄化されているように思えてくる。俺は単純な男だ。いや女か。まあ、どちらでもいい。単純に思った。ここに来て良かった。

『ちひろちゃん、ちゃんとお祈りしましたか?』

『はい、ママ。みんなの幸せを願いました。』

『ちひろ、私も願ったわ。ちひろが一人前の女性に成長するようにとね。』

『もう、彩姉ちゃんたら。』

『ちひろちゃん、やっぱり誰かが見ている。』

『神様のいるところで、誰がそんなことをやっているのかしら。分かったわ。私に任せて。』

俺は20体の分身仏に、辺りの捜索を命じた。すると、すぐに俺たちをつけねらっていた者が判明した。それは、畠山事務所の者であった。分身仏の一体が、その男の心を読んできた。報告によると、奈良にやってきた「ちひろ」が、この伊勢神宮にも来るかもしれないと待ち構えていたらしい。奈良に現れた「ちひろ」は、俺の4歳女児の姿。おそらく、レイちゃんを「ちひろ」と間違えているかもしれない。俺は、かすみとレイちゃんに気を送った。

『レイ、神様とお話しできたかしら。』

『出来たよ、ママ。美人なママをいつまでも、綺麗でいさせてねって、お願いしたんだあ。』

『まあ、レイったら、優しい子ね。』

『うん、レイ、いい子でしょ。だから、アイス買ってえ〜。』

『もう、レイったら。』

なんて、臭いお芝居なんだ。見張っている畠山事務所の男に聞こえるような、大きな声で話してもらった。しばらくすると、男の視線は消えた。とりあえず安心だ。しかし、未だに俺を注意人物だと思っていることが判明した。ひょっとすると、裏で元AGUの北村が糸を引いているのかもしれない。帰ったら、Mr.Tに調査依頼をかけよう。

 せっかくのお参りが台無しになるところだった。俺はもう一度、大きく深呼吸した。やはり、この空気は澄んでいる。そして、美味しかった。

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