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衝撃④

 将棋は、レイちゃんの勝利で終わった。

『いやあ、楽しかった。何事も真剣に取り組むことは、実に楽しい。正々堂々と戦い、負けた。実に気持ちいい。』

阿修羅大王は、正義を貫く神と聞いている。曲がった事が絶対に許せないらしい。その性格が原因で、帝釈天の軍団に一人で戦いを挑んだと言われている。帝釈天とは戦いの神である。無謀な戦いと分かりつつも、正義を貫き通したのだ。

『さて、そろそろ帰るかな。そうだ、ヒロ殿に一つ、聞きたいことがある。我々、神の世界で、噂になっていることがある。』

『大王、噂とは?』

『人間界最強の男ヒロ殿が、毎晩、おねしょをするという噂があるのだよ。』

『そ、そんなことは、嘘ですよ。』

俺は、きっぱり否定した。が、レイちゃんとかすみが、俺の否定を否定した。

『嘘じゃないよ。毎朝必ず、おねしょしてるよ。私がオムツ変えてあげてるから、間違いないよ。』

『レイが言っていることは、本当よ。ヒロ君、毎朝、おねしょしてます。』

『そうか、そうか、いい土産話が出来た。毎朝、おねしょ。さらに、新しい情報、ヒロ殿はオムツをして寝ている。これは、面白い。では、さらば。』

阿修羅大王は、消えていった。

『もう、レイちゃん、かすみ、勘弁してよ。』

『だって、ぼんちゃんが自分で言ったよ。阿修羅大王は、正義を貫くって。だから、嘘はダメなのよ。』

『レイの言う通りだわ。嘘はダメよ。さあ、ヒロ君、ねんねの時間よ。ちひろちゃんになって。お風呂に入って、哺乳瓶で水分補給して、オムツして、寝ますよ。ママの言うこと聞けるかな?』

そう言われると断ることが出来ない。

『はい、ママ。』

俺はベビーに変身した。ああ、そして、明日の朝もおねしょするんだろうなあ。てか、俺がおねしょしていることが、天上界で噂になってるのかよ。しかも、今度はオムツが噂になると思うと恥ずかしい。しまった、ベビーに変身している時だけだと伝えなかった。大人の俺が、おねしょしていると思われているぞ。

 とりあえず、おねしょの件は俺が恥ずかしくなることを我慢をすればいいだけだ。それより、宿題を片付けなければ。伐折羅大将から出された宿題。二つの事件の共通点を探すこと。資料の中身は頭の中に入っている。だが、どうしても共通点が見つからない。

『ダメだ。分からない。あまりにも証拠が無さすぎるわ。無いところから共通点を探すのって、難しい。』

俺はお風呂に入りながら、ブツブツ独り言を言っていた。

『ちひろちゃん、何、言ってるの。』

『えっ、何でもないわ。ただの独り言。』

『もう、赤ちゃんなんだから、しょうがないわね。お姉ちゃんが教えてあげるわ。』

レイちゃんに心の中を読まれた。

『レイ姉ちゃん、ちひろの心を読んだの?』

『うん。何を考えているか分かったよ。そして、答えも分かった。』

まただ。俺が解けない謎は、ことごとく、レイちゃんによって解明される。そして、俺は無意識に、かすみのおっぱいを吸った。

『もう、ちひろちゃんたら、甘えん坊さんね。』

かすみの苦しみを取り除くためには、謎を解かなければ。でも、このおっぱいチュパチュパは止められない。

『ねえ、ママ。ちひろちゃん、前よりも、ずっと赤ちゃんになった感じがするのは、気のせいかなあ。』

『多分、女の子の気持ちが分かってきたからだと思うわ。顔つきが優しくなっている。本当は、もともと女の子だったのかも。』

『レイは、それでいいよ。』

今の俺には、どうでもいい。今は、おっぱいに集中。あっ、なんか甘いぞ。母乳が出てきた。

『ママ、ミルク出てきたよ。』

『まあ、母性本能が刺激されたのかしら。ちひろちゃん、飲みたいの?』

『うん。』

俺は無我夢中で飲んだ。ああ、完全にかすみの子供になった気がする。まさに、乳児が母に育てられている。もう、離れられない。

『完全な赤ちゃんだ。阿修羅のおじさんに教えようっと。』

『待って、恥ずかしいから言わないで。』

『だめー、嘘はついてはいけませんから。』



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