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モデルは楽しい②

 この前のメークさん以外に、アシスタントの人や、その他のスタッフも数名、俺のメイクを見ている。ああだ、こうだ、色々と注文をしている。プロというのは、どの世界も大変である。

 そのまま、撮影スタジオに案内された。中には、スタイリストさんや、カメラマン、それ以外にも数名がスタンバイしていた。みんな、俺を見ている。スタイリストが服を何枚か持ち、これに着替えるよう指示を出してきた。さすがに更衣室には誰も来ないだろうと思ったが、女性のアシスタントが1人ついてきた。ほとんど着せてもらうような感じだある。新人だから、仕方ないことなのだろう。しかし、着せられたのは、セーラー服である。よりによって、もう、恥ずかしさMAXだ。更衣室から出ると、一斉に拍手が起きた。男たちのため息、女の子たちは、キャーキャー言っている。机と黒板が用意されている。学校の教室をイメージしているようだ。椅子に座ったり、机に腰掛けたり、カメラマンは色々なポーズを要求してきた。俺は、おどおどしながら、言われるがままに、ポーズをとった。カメラマンは唸った。

『全くのトーシローだな。ポーズがぎこちない。』

その通り、初めてなんだから、仕方ないじゃん。ところが、遠くで見ていた部長も、編集長もニコニコ顔だ。カメラマンは続けた。

『ぎこちない。うーん。それがいい。久しぶりに腕がなるぜ。ちひろちゃん、次の撮るよ。着替えて来てね。』

 緊張感で張り詰めた空気。だけど、みんな、俺だけには優しい。

再び、着替えることになった。今度は、OL風のスーツだ。しかし、普通のOLとは違う。タイトなスカートで、しかも、膝上20cmのミニである。そして、今度はスタジオを飛び出して、路上での撮影になった。デートの待ち合わせをしているようなシチュエーションだ。今回はポーズより、顔の表情の要求が多かった。恥ずかしかったのは、ミニスカートなのに、膝を抱えて地面に座るポーズ。見えそうで、見えないところを撮りたかったみたいだ。てか、絶対に見えたと思う。

 そして最後は、やはり水着であった。もちろんビキニである。撮影場所は再びさっきのスタジオ。ところが同じスタジオなのに、すでに教室の風景から新たな風景に変わっていた。ベットルームになっている。何で、ビキニでベットなのか。その答えはすぐに分かった。ベッドの上で過激なポーズを取らされた。読者にSEXシーンを想像させる狙いがバレバレだ。スタッフの中には、勃起している男もいた。まあ、男とはそんな生き物でえることは、十分知っている。

 3時間ほどで、撮影は終了した。俺は、スタイリストさんに声をかけた。

『お疲れ様でした。ひとつお願いがあるのですが、いいでしょうか。』

『はい、お疲れ様。お願いって何かしら。』

『何でもいいので、私に似合う服をコーディネートして欲しいのです。プロから見て、似合う服が欲しいなあと思ったので。もちろん、購入します。』

『ちひろさん、それはルール違反。ダメですよ。』

部長が聞いていたようだ。

『モデルさんは、そういうことはしません。買ってはダメ。もらわないと。おい、君、ちひろさんに似合う服を急いて用意して。金は俺が払う。』

『部長。そんなことダメですよ。』

『いいんだよ。服の一枚や二枚、安い、安い。今回のちひろさんのモデルとしてのデビュー作。儲けさせてもらったから。おっと、下品な話をしてしまったね。とにかく、今日は大成功だよ。大満足だ。ガハハハ。』

『ちひろさん、お疲れ様です。さっき、編集長が言ってたの。海外撮影の準備に取りかかれって。私、聞いちゃった。やったね。』

『亜美。私、どうだった?』

『とても綺麗でした。こんな綺麗な人を見るの初めてです。私、ちひろさんの付き人になれて幸せです。』

『海外撮影って、自由時間とかあるのかなあ?』

『少しだけどあると思いますよ。』

『良かったあ。亜美、一緒に楽しみましょう。』

『ありがとうございます。ちひろさん。』

 あっという間の3時間だった。

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