表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/71

恋心、目覚め②

 10分ほどで、板橋のマンションに到着した。マンションの前に見覚えのある笑顔が見えた。洋介さんだ。俺のときめきは最高潮に達している。あれ?おかしい。待っているのは、1人ではない。男が全部で4人いる。出た!彩先生マジックだ。

『ほら、ちひろ、迎えに行っておいで。』

俺はクルマを降り、洋介の元に駆け寄った。

『かすみさん、ちひろの姿、見た?あの走り方。完全に恋する乙女よ。』

『ほんとだわ。ちひろちゃん、隠してるつもりだけど、バレバレね。嬉しそう。』

洋介さんは、笑顔で話しかけてきた。

『ちひろさん、なんて美しいんですか。なあ、みんなあ、この方が、この前話した、ちひろさんです。俺の行った通りだろう。凄い美人だろう。』

『おはようございます。ちひろと申します。』

俺は丁寧に、頭を下げた。

『おいおい、今どき、こんな真面目で美しい子いないぞ。洋介、お前はラッキーにもほどがないぞ。』

『ちひろさん、紹介します。僕の友人たちです。彩さんから聞いてないのですね。せっかくだから、お友達も誘ってと言われたんです。僕が、ちひろさんの美しさを伝えたら、みんな、見たいと行って、それで、みんな喜んで来たんです。すみません。』

『いいえ、私なんて全然美しくないです。クルマの中の三人の方が、ずっと美人ですよ。』

『おい、聞いたか。ちひろさんより美人がいるなんて、信じられない。ここは天国かあ。』

洋介の友達は、あえて、場を盛り上げようとし、おちゃらけている。みんな、洋介のことが好きなようだ。

『おーい、ちひろ、早くしなさい。』

彩先生が呼んでいる。俺は、男性陣4人をクルマに招き入れようとした。すると、彩先生がクルマから降りて来た。

『おはようございます。私が彩よ。ちひろの叔母さん。でも、私のことを、おばさんと言ったら許さないからね。』

男たちは、爆笑した。

『そうだ。私としたことが、大変なことに気がつかなかったわ。このクルマ、定員が7名なのよね。法律は守らないと。そうだわ。洋介さんと、ちひろは、別行動にしましょ。さあ、他の人は、みんな乗った、乗った。出発するわよー。』

俺と洋介さんが、残された。完全にはめられた。最初から、こうするつもりだったのだ。洋介さんの友人たちは、彩先生の魂胆を見抜いて、あえて、策略に乗ったようだ。空気の読める男たちだ。クルマは爆音を残し、走っていった。


『何か、ごめんなさい。叔母が暴走しちゃって。』

『彩さんは、とてもパワフルで、明るくて、凄いと思います。さて、どうしましょうか?まだ早朝ですから。そこのファミレスでお茶でもしながら、考えましょうか。』

『はい。』

しかし、彩先生の策略には、本当に困ったもんだ。さすがCIAだ。歩きながら質問をした。

『先ほどの、お友達は、どういった方々なのですか?』

『僕の友人であることは確かなんですが、彩さんから、少々要望がありましてね。多分、お聞きになれば、分かるのではと思います。1人目は、真面目で正義感の強い人。2人目は、とにかく体力のある人。そして、3人目は頭のいい人。少し頭がいいのではなくて、知識が豊富で、出来れば天才な人。さらに、3人ともイケメン。ね、かなりの要望でしょ。』

俺はなるほどと思った。

『あはは。そんな方々、集まるわけないのにね。彩さんったら、無理の言い過ぎだわ。』

俺は肩をすくめて、おどけて見せた。

『ところが、ぴったりの3人が見つかったのです。弁護士、体育大学卒の体育の教師、大学の物理研究室に勤めている准教授。なかなか、ぴったりでしょ。』

洋介さんは、大笑いした。俺も合わせて、笑った。特に、准教授はレイちゃんの相手にぴったりだ。並みの男では、会話にならないはずだから。

『あのね。クルマの中に残った3人の女性にぴったりの男性みたいよ。特に、レイちゃんという女の子。まだ、4歳の女の子なの。』

『えっ、4歳?さすがに、ロリコンはいないけど、、、』

『そうではないのよ。レイちゃん、とても頭がいいの。それも、世界レベル。IQ200近くもあるの。ビックリするわよ。だから、普通の人だと会話が成立しないわ。』

『ちひろさんの周りの方は、凄い方ばかりですね。でも、一番凄いのは、ちひろさんですよ。』

『えっ、私なんて、ぜんぜん。』

『いえいえ、だって、綺麗ですから。ああ、俺、朝から何言ってるんだろう。体が熱くなってきた。』

慌ててる感じが、面白い。ファミレスに入り、会話は続いた。

『今度は、僕から質問するね。レイちゃんは天才の女の子とわかりました。彩さんと、もうひと方は、どんな方なのですか。』

来たあ〜。この質問が最も困るのだ。正直には答えられない。

『ひとりは専業主婦のかすみさん。まだ、会われてないから分からないと思うけど、ビックリするわよ。本当にきれいな女性ですから。真面目な女性ですけど、男性はみーんな、心を奪われちゃうの。美貌が武器よ。もう、ひとりは彩さん。もう、分かると思うけど、マイペースな女性なの。だけど、やっぱりきれい。職業はね。ちょっと言えないの。国のお仕事をしているとだけ言っておくわ。あとね。彩さんは、すーごく、お金持ちよ。そして、すーごく顔が広いの。』

『すーごく、ビックリした。』

顔を見合わせて、大笑いした。気が合うというのは、こういうことかもしれない。不思議と会話が続く。興味のない相手だと、何を話せばいいかを探して、そして言葉が続かずに気まずくなる。

『新宿に行きませんか。ありきたりのデートかもしれませんがど、映画を見て、そのあと、ランチでもしましょう。』

『はい。お任せします。』

ファミレスを出て、駅に向かって歩きだした。すぐに、自然と、洋介さんの右手が、俺の左手を掴んできた。2人は手を繋ぎ歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ