表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/71

運動会③

 レイちゃんは、MVPに選ばれ、俺は『頑張りました賞』をもらった。保育士さんの手製の金メダルを首にかけてもらい、レイちゃんも俺も大喜びした。みんなのいるレジャーシートのところに行くと、拍手で迎えられた。レイちゃんはかすみに、俺は彩先生にメダルをかけた。彩先生がテレパシーで、俺に語りかけてきた。

『洋介さん、急用で遅くなったけど、今、向かってるそうよ。後で、19歳のちひろになって会っていいわよ。』

彩先生は、俺の心をお見通しだった。


 レイちゃんは、准教授の智仁の膝の上に座って、冷たいお茶を飲んでいる。

『レイちゃん、今日は頑張ったね。レイちゃんは、運動も得意なんだ。凄いなあ。僕は、運動は全くダメなんだよね。』

『智仁君は頭がいいから、運動出来なくても、平気でしょ。』

レイちゃん、准教授を智仁君と呼んでるんだあ。すでに、同レベルということか。

『そしたら、これご褒美。良かったら、やってみてね。』

『やったあ、物理の問題集だ。ありがとう、智仁君。』

俺が、ちらちら見ていたら、レイちゃんが、やってきた。

『智仁君、これが私の妹のちひろよ。可愛いでしょう。』

『こんにちは、ちひろちゃん。美女と野獣のダンス、素敵だったよ。』

『ありがとうございます。』

『あのね、妹のちひろも、頭、いいんだよ。』

准教授の目つきが変わった。

『姉妹で天才なの?これは興味深い。』

『智仁君、浮気しちゃイヤよ。智仁君は、私の彼氏なんだから。』

それを聞いて、かすみと彩先生がニコニコしている。准教授は、タジタジだ。


 弁護士の由規は、黙々と片付けをしている。レジャーシートの周りのゴミも集まり、きちんと分別まで行っている。根が真面目だと言うことが、よくわかる。

『へえ、この子がレイちゃんの妹さんなのか。よく見ると、かすみさんに似てるね。妹さんも美人だ。』

『由規さん、今日はわざわざ応援に来て頂いたありがとうございます。』

『いえいえ、今日は楽しかったてますよ。こうやって青空の下で、お弁当を食べるのも悪くないです。お酒まで、頂いちゃって、いい気分です。』

二人とも大人だ。互いに気遣いしている。


 さて、もう一人はどこだ。いたいた、こっちに向かって走っている。体育教師の大男、孝が走っている。

『はあ、はあ、はあ、、、彩様、片付け終了致しました。』

男はひざまづいて、報告している。

『孝、ご苦労様。こっちおいで。』

孝が、彩先生の元に近づく。

バシッ!

平手打ちだ。

『手が汚い。洗ってらっしゃい。』

孝は慌てて、走り出した。全速力で洗面台まで走っている。手を抜いたら、怒られることが分かっているのだ。この男、すでに彩先生の性格を学習している。汗だらけで、戻ってきた。

『こっちおいで。』

再び、孝が彩先生に近づいた。

『ご苦労様。チュッ!』

彩先生は、孝の額にキスをした。孝は嬉しそうに、顔を赤くしている。この二人、案外お似合いかもしれない。

『みなさん、うちに集合して、パーティの用意してあるから。孝、荷物を持って。』

運動会は、終了した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ