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最果ての帝壁 -狂者と怪人と聖愛の女王-  作者: 極大級マイソン
第3章:最悪と悪と異能使い
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第31話「最終試合は全員で」

 前回、醜悪の根源である桐谷症子を射殺した将棋部一行は、用は済んだとばかりに将棋部の部室に戻るのであった。学校の問題児を倒せたことにより、これからの学生生活はより華やかなものになるだろう。

 ……しかし、何故かその桐谷症子の仲間である生徒会のメンバーも、将棋部の部室に一緒に来たのであった。


「何故ここにくるのさ?」

「お前が生徒会室を汚したから、会議が出来なくなったんだ。仕方ないから、生徒会はこれから通常業務を行うことになる」

「通常業務?」

「学校の治安維持。つまり、将棋部の連中を見張ることだ!」

「どんだけ醜悪の根源よ僕ら! まあ、自覚はあるけどさ!」

「自覚あるんでやんすね……。トラブルは勘弁でやんすが」

「安心しろ野木。どうせ、こいつらは何も出来ん。なにせ、生徒会上級生である天願寺、尾崎、桐谷の三人がかりで春太一人を相手に苦戦してるんだからな」

「樋口先輩……、本当のことをズバッと言ってくるの」

「当然だ」


「……で、冬夜の様子はどうよ夏輝」

「うーーん。まだ目を覚まさないわねぇ……、よっぽど怖い目にあったのかしら?」

「いや、僕が心配してるのは貞操のことなんだけど……」

「な、何てこと聴いてるのよ! 春太のバカッ!!」

「わわわっ! お、落ち着け夏輝! これは大事な話なんだ。事と次第によっちゃあ、僕は同じ学校の同級生を警察に突き出さなきゃいけなくなる!!」

「い、いくらなんでも、そんな話にはならないわよ。ねえ、生徒会のみんなもそう思うでしょう?」

「…………」

「…………」

「…………」

「アレッ!?」


「ああ、一応聴いとくんだけどさ秋人。桐谷はバッチリ永眠させたんだよな?」

「永眠はさせてねえよ、眠らせただけだ。……女子安眠の能力、"嬢射必睡スノーホワイト"。これを喰らった女は、一定時間気持ちの良い夢を見続ける。当分は目覚めねえさ」


 そう、先ほど樋口が撃った弾丸は本物弾丸ではない。異能の力によって生み出された特殊な力を秘めた弾丸。

嬢射必睡スノーホワイト】。これが、樋口秋人の異能だった。

 そして、樋口に撃たれた桐谷はどうしてるかと言うと……。


「…………ふ、ふひひ。男子、撲滅……。ショタ王国、建造……。ふひひひひ………………」


 ……危険な夢を見ているようだ。

 さて、生徒会が将棋部にお邪魔する事となった現在。幸か不幸か、将棋部の部室はある程度の広さがあるので、10人近くでも余裕で入れる。

 それは良いのだが、互いに犬猿の仲とも呼べるこの2グループを一緒の部屋に居させることこそが問題であって、軽井沢はどうにかこの場を逃げ出せないかと思案をしていた。

 と、その時。樋口が仏頂面で、軽井沢に視線を投げる。まるで、軽井沢の考えていることがわかっているような、そんな表情をしていた。


「……あのな、お前が離れてどうするんだ。元々、将棋部全員を呼ぶために、お前らは生徒会に行ったんだろうが」

「あ、そうだった」

「まあ、いろいろ騒動はあったけど、これで私達将棋部が全員揃ったわね」


 一同が部屋を見渡す。そこに居るのは、この学校で幅を利かせている二強勢力。

 将棋部と生徒会である。


「将棋部員、総勢6人。生徒会、総勢5人。……おやおや? 何故か人数が合わないぞ?」


 そう、全員のメンバーが揃っているはずの将棋部には、合計で10人しかいない。しかし、本来なら11人居なければならないはずだ。


「……わざと言ってんのか? 中鉢が両方入ってるんだよ」

「ああ、そうだった。…………別に嫌味じゃないよ? 本当に忘れてたんだ」


 中鉢は明らかに居心地の悪そうだ。この2グループが同じ空間にいると、互いのグループに所属している中鉢はどうしても居た堪れなくなってしまう。

 天願寺がコホンと咳払いをする。


「……一応、言っておくが。中鉢は元々、生徒会のメンバーなるはずだったんだ」

「だから生徒会優先だと? 確かに中鉢ちゃん自身もそう言ってるけど……でも、実際のところどうだろう? 会議一つまともに行えない生徒会なんて、果たして所属する意味があるのかと、僕は疑問に思ってるのですがね〜」

「なっ!? 元はと言えばお前のせいだろう軽井沢春太!!」

「僕のせい? 違うね、発端はそこで寝そべっている書記さんだろう」

「去年の報告会は、大体将棋部のことについて語っておけばいいみたいな風潮だったぞ! そもそもお前らが模範的に行動していれば、会議なんてする必要もないんだ!」

「最近はそんなに悪さしてないでしょう!? 取り上げるべき問題は、他にもたくさんあると思うんだよ。一年生のこととか、外部のこととか!」


 軽井沢の言う通り。確かに今の時期、一年生達もだいぶ高校生活に馴染んで来たということで、大胆になり問題起こす生徒がいる、という事例も毎年のように上がっている。

 それに、他校の生徒がうちの学校の生徒に脅しや暴力沙汰を起こす、という出来事は、去年から問題視されているほどに注意されており、そのことに生徒会が着目していなかったわけではない。

 ただ、去年は割りかし身元にヤバい奴が居たことで、手が回らなかったというのが、その時の現状だった。

 しかし、仕事は仕事。将棋部は、今年に入ってから確かに問題行為を抑えるようになった。ともすれば、他のことにも余力を避けるのではないか、と軽井沢は言っているのだ。

 と、そうやって軽井沢と天願寺が言い争っている。その間に、義弟を看病していた日ノ本夏輝が挙手をした。


「……ん? どうした夏輝?」

「うん。外部のことなんだけどね。私、さっき生徒からお願いをされたのよ。ボランティア活動として、力を貸して欲しいんだって」

「……ああ。さっき、生徒会に行く時に、誰かから相談されたことか」

「私とは別クラスの2年生だったわ。ちょっとお願いされたのよ」


 夏輝が言うには、最近この辺で見かける不良グループが。、うちの生徒に迷惑をかけているらしい。直接的な暴力沙汰は今の所確認されてはいないが、粗暴な態度や集団で騒音を鳴らしたり、と近隣の住人や生徒達が非常に不快に思っているそうだ。

 警察に頼んでも軽い忠告をした等とおざなりに対応するだけで、根本的な問題の解決には繋がらないそうだ。


「まじかよ警察最低だな」

「それで、私を通してその不良達に忠告して欲しいって。その生徒は私にお願いして来たの」

「まあ、夏輝ならそこらへんの不良なんて、ポーンポーン投げ飛ばして終わりでしょ」

「暴力はしないわよ。……直接会って注意しに行くだけ」

「なるほど……。お、そうだ! 今回のこの一件、僕たちが解決するって言うのはどうだろうか!?」

「ああ、もしかして例の勝負のこと? 生徒会と将棋部の対決」


 軽井沢が頷く。将棋部と生徒会は現在、どっちがより優秀なグループなのかを競って対決していた。

 一回戦のゴミ捨て防止対決。

 二回戦のペット探し対決。


「結局、対戦成績ってどんな感じなんでしたっけ?」

「僕ら将棋部の二連勝だよ!」

「違う。生徒会と将棋部は、1対1の引き分けだ」

「え、何でだよ秋人!」

「お前、一回戦の時、自分で暴力無しって言ったくせに、普通に1年の腕圧し折ろうとしたじゃねえか。それで反則負け」

「実際には折ってないし!」

「どちらにしろ、あのやり方じゃ依頼人も納得しないだろう」

「むう、じゃあこの戦いで勝敗が決まるのか……」


「えーっと、勝負は今からスタートで良いの? 何人か気絶してるんだけど」

「利里先輩、戦いは先手必勝なの」

「んー……。まあ、その不良グループ? を忠告して、これからは派手な行動を慎んで欲しい、って頼みに行けば良いのよね?」

「でも、ちゃんと忠告して本当に言う通りにするとは限らないの」


「……斬るか?」

「!? て、天願寺! 相手はただの不良グループ。将棋部の連中じゃないのよ!?」

「話を聞かない輩はいくら口で説得しても無駄だ。……ならば、力づくで言うことを聞かせるしかない」


 天願寺は、鋭利な刃物のような研ぎ澄まされたオーラを迸らせる。

 彼女が生み出した、物理的に触れないはずのそのオーラは、しかし掠っただけで人に肌くらいは斬りつけれそうな、そんな殺人的瘴気を走らせているようだった。

 尾崎と有沢は、そんな危険思想な天願寺に対し、ぶっちゃけてドン引きしていた。


「て、天願寺会長が、完全にダークサイドの住人なの……!」

「駄目ね、この会長。将棋部を怨み、将棋部と関わり続けるうちに、いつしか思考まで彼らのようになってしまったわ」

「それが、炎乃達が所属する生徒会のリーダーっていう……」

「もう末期ね。学校の風紀を守れるのは、日ノ本さんだけになってしまったわ」


 尾崎と有沢は、ハイライトが消えたような瞳になってる天願寺、そして自身が所属する生徒会執行部を憂いた。

 そして、そんな彼女ら等は放っておいて、軽井沢は三回戦最後の試合のルールを確認する。


「えーっと。……んじゃ、最終試合の勝負方法は、不良グループの制圧。もしくは、話し合いによる平和的解決を、どちらのグループが先に完了できるか。それを勝利条件に試合しようか!」

「これでどちらが上かはっきりする……。勝つのはボクらだ!!」

「負けないぞ。勝つのは僕らだ!」


 ----こうして、将棋部と生徒会の序列を決める、最後の戦いが幕を上げたのだった。


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