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最果ての帝壁 -狂者と怪人と聖愛の女王-  作者: 極大級マイソン
第3章:最悪と悪と異能使い
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第28話「軽井沢のあつかい」

 前回のあらすじ。

 将棋部員の1人にして、日ノ本夏輝の義弟でもある日ノ本冬夜を救うため、軽井沢は生徒会室にやって来たが、早々に胴体をぶった斬られ、圧死絞殺されたのであった。


「か、会長!? ちょ、何やってるんですか!?」

「……ふむ、いかん。軽井沢が来たと知って反射的に斬ってしまっていた」

「殺気バリバリ過ぎるでしょう!? 軽井沢先輩何もやってないのにっ!」


 生徒会室は一変してしまい、床には大量の血液が溢れており、壁にも血が付着していた。そして、軽井沢の下半身の切り口からも血が噴水のように噴き出している。

 まさに地獄絵図。

 学校の治安と正義を重んじる生徒会の部屋は、今地獄絵図と化していた。


「うぅ……、駄目。血の臭いがしてなんか目眩が……」

「中鉢ちゃん大丈夫!? 無理しちゃ駄目よ、背中さすってあげようか?」

「あ、ありがとうございます尾崎先輩。……って、皆さんは大丈夫なんですか! 部屋中血だらけですよ!?」


 中鉢は青い顔をしながらも先輩たちを見渡す。咽せ返るほどの鉄味の悪臭充満しているにもかかわらず、彼女らは何事もないように平静な表情をしていた。


「あたしたちは、まあ……」

「うん、こいつの死に体にはもう去年から見慣れてるからな」

「そうですね、いちいち血が出たくらいで動揺してたりしなくなりましたね」

「メンタルが軍人のソレですよ!? ここ日本の高校ですよね!?」

「まあ落ち着け。第一、この男はこの程度では死なん」


 天願寺が言った直後。

 先ほどまで血を吹き出していた、軽井沢の下半身。その切り口からもピタリと出血が止んでいた。

 その一方で、桐谷が鎖で拘束していた上半身の部分は形を変えて、モコモコと異形の姿に変貌しようとしていた。

 そして、バァン! と強固な鎖が千切られて、中からは黒い『ナニカ』が現れた。

 よくよくそれを確認してみると、それは五体満足の黒い学ランに身を包ませた、軽井沢春太だった。


「軽井沢先輩!? 多分大丈夫だと思いますけど、大丈夫ですか!?」

「うぅぅぅぅぅ!! …………! よくもやってくれたな、小賢しい人間共めッ!!」

「あれ、なんかキャラが変わってる!?」


 軽井沢は何か大きなショックでも受けたのか、日頃とは別人のような悪人顔をしていた。

 その様子を見て、生徒会メンバーは一層警戒を強める。


「正義の味方を自称するくせに、後輩を誘拐した挙句殺人まで犯しやがって! とんだ悪人もいたもんだぜ!!」

「くっ、ぐうの音も出ないわね。しかし誘拐は生徒会の総意ではないわ!」

「あと斬ったり縛ったりも炎乃たちは悪くないの」

「お2人とも、罪を償ってください!」


 一方、罪を犯した2人はというと。


「……むぅ、確かに無罪の生徒を問答無用で斬るのは良くないな。普通ならば」

「しかし、"軽井沢春太"ならまあまあいいかなって思う自分たちがいます」

「罪の意識ゼロ!? 僕が言うのも何だが、とんだ異常者もいたもんだぜ!!」


 軽井沢は2人の自分に対するあんまりな態度に内心号泣していた。

 他の3人も、そんな彼女らには結構引いているようだ。


「もはや言葉を交わす余地なしと見た! ならばここで、この僕がお前らを"断罪"してやるっ! 現れろ、ブラッド・ドールッ!!」


 軽井沢が叫ぶと、在ろう事か、床に広がっていた軽井沢の血液が、みるみる形を変貌していった。

 そして大量の血は、大人サイズはある、人の形をした化け物へと化したのであった。


『オォォォォォォッ!』

「うわ、叫んだ! か、軽井沢先輩、何ですかこのお化けは?」

「はっはー! 僕の血液で作ったクリーチャー『ブラッド・ドール』さ! こいつでこの異常者たちに痛い目をあわせてやるぜ!」

「おー、どういう原理で動いているか謎だけど、凄いクリーチャーなの!」

「因みに、このクリーチャーで何をする気なんですか?」

「それは勿論--

「瞬神剣!!」


 言って、天願寺の斬撃が飛び、ブラッド・ドールは真っ二つに斬り飛ばされ、無情にも倒れた。


「ああっ、ブラッド・ドール!? でもすぐに治るんだよね〜♪」


 軽井沢の言う通り、斬り倒されたブラッド・ドールは一度スライムのようにグニャグニャに歪んだかと思うと、それらが一箇所に集まり、形を変え、あっという間に先ほどと同じ、人型のクリーチャーへと戻った。

 そしてブラッド・ドールは、再生するや否や斬ってきた天願寺の方へ踵を返し、徐々に近づいていくようで、ぬるりぬるりと進んでいく。


「ちっ、自然治癒力は軽井沢並みか」

「これはわたくしたちだけでは分が悪そうですね」


 桐谷も、無数の鎖を使ってブラッド・ドールを拘束しようとしたが、クリーチャーの肉体がゼリーのように貫通し、うねり、思うように縛り付けることが出来ない。


「ここは適材適所で行きましょう。--と、いう訳で出番です尾崎さん!」

「え!? あたしは関係ないでしょ!?」

「このままではわたくしたち、あの醜い化け物に殺されてしまいます! いざという時に頼りになる、貴方だけが頼りなのです!」

「うっ! う〜ん……」

「……いや、別に殺そうとまでは思っていないけどね」


 尾崎がどうしたものかと首をひねっていると、ブラッド・ドールがまた咆哮を上げた。


『オォォォォォォッ!』

「ああっ、悍ましい怪物に襲われてしまう! 尾崎さんさえ手を貸してくれれば、わたくしたちは傷付かずに済むのになぁ〜!! ………………ちらっ」

「あー! 分かった分かったから! そんなちらちらとあたしの方を見ないでよ、もうっ!!」


 生徒会一のお人好し。生徒会会計担当、尾崎利里。

 調子の良いショタコン系同級生の頼みも断れず、彼女は席を立つのであった。

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