ヒロインを女にしよう――
第１話から４３日前――
「おっと忘れていたぜ。ヒロインのいーちゃんをどんなに女にするかをだ」
いーちゃんの容姿をどのように表現するかは課題だ。
服や髪、そして瞳の色などアニメ化するのに必要な要素は良いとして、その他にもいーちゃんの内面的なものの属性も決められたら良いと思う。
語尾からはメンヘラだったっけ。
鈴木太郎は、いつもの通り某人気小説投稿サイトのＡＰＩを使って女のキーワードを使って調べ始めた。
女 (116608回)※1ワードランキング
彼女 (36613回)
少女 (15082回)
王女 (2905回)
魔女 (1906回)
女 (116608回)※2ワードランキング
そんな彼女 (688回)
の巫女 (483回)
で彼女 (443回)
の美少女 (376回)
一人の女 (357回)
若い女 (357回)
は少女 (353回)
の美女 (310回)
の乙女 (219回)
女 (116608回)※3ワードランキング
俺は彼女 (334回)
一人の少女 (277回)
幼い少女 (148回)
の前の女 (137回)
今の彼女 (135回)
前の少女 (129回)
髪の少女 (121回)
僕は彼女 (105回)
と呼ばれた女 (99回)
小柄な少女 (97回)
絶世の美女 (94回)
二人の少女 (93回)
呼ばれた少女 (90回)
を着た女 (89回)
エルフの少女 (83回)
言って彼女 (77回)
小さな少女 (67回)
美しい少女 (65回)
人の少女 (65回)
を持つ女 (63回)
彼女 (36613回)は置いておくとして、少女 (15082回)と王女 (2905回)、それに魔女 (1906回)というのは使えるかもしれない。
「いーちゃんは魔法を使う魔女少女である」
どうだろうか。
魔法といえば異世界の科学魔法である電磁投射砲か。
中二っぽく正式名称はペンシル型屈折可変長収束砲≪電磁投射砲≫とかにすれば魔法っぽくなるのかもしれない。
そしてつまり、白と黒がベースで金色がアクセントの服は魔法少女としての戦闘服なわけだ。変身でもするのかな？ ぜひとも変身バンクは用意しておいて欲しいところである。
「いーちゃんは異世界では少女でかつ王女である」
だから話をするときの一人称は私であって、さらに会話の文末はなるべく「――です」で終わる、お願い上手で、言われたことは断れない素直な性格で、ヒロインらしく、よくくよくよするのである。どこの月間少女だろか。
ふむ。今までの設定が生きる感じで実に素晴らしいではないか。
気をよくした鈴木太郎は、さらに少女 (15082回)で抽出して詳細を行っていった。
少女 (17320回)※1ワードランキング
美少女 (1474回)
少年少女 (214回)
この少女 (201回)
その少女 (165回)
という少女 (165回)
魔法少女 (117回)
ばれた少女 (93回)
た少女 (91回)
少女 (17320回)※2ワードランキング
一人の少女 (277回)
幼い少女 (148回)
前の少女 (129回)
髪の少女 (121回)
小柄な少女 (97回)
二人の少女 (93回)
呼ばれた少女 (90回)
エルフの少女 (83回)
小さな少女 (67回)
人の少女 (65回)
美しい少女 (65回)
金髪の少女 (63回)
銀髪の少女 (60回)
持つ少女 (59回)
俺は少女 (55回)
黒髪の少女 (54回)
可愛らしい少女 (54回)
少女 (17320回)※3ワードランキング
エルフの美少女 (22回)
そう言って少女 (19回)
と呼ばれる少女 (17回)
絶世の美少女 (17回)
に一人の少女 (15回)
に座る少女 (14回)
描いたような美少女 (14回)
い瞳の少女 (13回)
金髪の美少女 (13回)
ダントツは美少女 (1474回)だ。２位のワード検索である少年少女 (214回)の出現回数を圧倒している。
ということは美少女でさらに分解してみるべきだろう。
何の変哲もないどこのヒロインもない。
やはり小説上のヒロインは「ただし美少女に限る」。ということだろうか。
男版であれば「ただしイケメンに限る」に限ることになるのだが、女版でもつまりそういうことなのだろう。
確かに、物語が盛り上がるときに豚や草のような女とか出てきても困るのかもしれない。いや、ダイエットものならあるのかもしれないが。ダイエットいいじゃない。コンニャクとかフルーツとか畑で取れるような飯テロ小説であるならば。
――鈴木太郎は自分と照らし合わせたがイケメンでもカッコ良さもかけらもない電波系大学生であるので、キーワードよろしく主人公チートの設定でゴリ押しするしかないと考えた。
ともかく、調べるのは美少女だ。
美少女 (1596回)※1ワードランキング
超絶美少女 (23回)
系美少女 (15回)
こんな美少女 (15回)
いたような美少女 (15回)
金髪美少女 (14回)
この美少女 (9回)
のような美少女 (8回)
から美少女 (7回)
ロリ美少女 (7回)
美少女 (1596回)※2ワードランキング
エルフの美少女 (22回)
絶世の美少女 (17回)
描いたような美少女 (14回)
金髪の美少女 (13回)
可憐な美少女 (10回)
人の美少女 (10回)
三人の美少女 (10回)
紫色の美少女 (10回)
一人の美少女 (10回)
金色の美少女 (10回)
小柄な美少女 (9回)
緑色の美少女 (9回)
二人の美少女 (9回)
黒髪の美少女 (9回)
髪の美少女 (8回)
系の美少女 (7回)
銀髪の美少女 (7回)
長身の美少女 (6回)
呼ばれた美少女 (6回)
ヅカ系美少女 (6回)
美少女 (1596回)※3ワードランキング
に描いたような美少女 (14回)
の前の美少女 (6回)
と呼ばれた美少女 (5回)
を持った美少女 (5回)
の髪の美少女 (5回)
た目は美少女 (4回)
を着た美少女 (4回)
の小柄な美少女 (3回)
もう一人の美少女 (3回)
から降ってきた美少女 (3回)
アスリート系の美少女 (3回)
の超絶級の美少女 (3回)
といない傾国の美少女 (3回)
のエルフの美少女 (3回)
を争う美少女 (3回)
は紫色の美少女 (2回)
の良い美少女 (2回)
っ子っぽい美少女 (2回)
れした絶世の美少女 (2回)
癒し系美少女 (2回)
うむ。超絶美少女 (23回)は良いかもしれないなぁ。――系美少女 (15回)といえばもちろん電波系美少女であるに違いない。こんな美少女 (15回)は良くわからないけど、――いたような美少女 (15回)というのはきっと絵に描いたような美少女であるに違いない。
そうして、いーちゃんに新たな属性が加わった。
・いーちゃんは絵に描いたような超絶美少女の電波系少女である。
絵に描くと３Ｄプリンタで量産されるからはんこ絵なのかもしれない。
鈴木太郎はいーちゃんを想像して身震いした。
だが、やっぱり想像ができなかった鈴木太郎は、それ以外にどんな付けたら良いか、適当な単語で検索を始めた。
まずは子とか娘だろうか。
子 (96885回)※1ワードランキング
様子 (16663回)
の子 (12320回)
椅子 (3785回)
王子 (2499回)
調子 (2475回)
息子 (2390回)
女子 (2138回)
この子 (1782回)
男子 (1432回)
菓子 (1420回)
あの子 (1370回)
弟子 (1331回)
い子 (1126回)
双子 (1125回)
獅子 (1059回)
帽子 (772回)
由紀子 (760回)
は子 (691回)
子 (96885回)※2ワードランキング
女の子 (6197回)
の様子 (3724回)
その様子 (1542回)
男の子 (1373回)
の息子 (971回)
した様子 (543回)
の椅子 (468回)
の女子 (389回)
の弟子 (379回)
った様子 (351回)
いた様子 (319回)
な様子 (303回)
は椅子 (299回)
お菓子 (291回)
の王子 (288回)
の男子 (285回)
れた様子 (283回)
小さな子 (277回)
良い子 (268回)
の調子 (267回)
子 (96885回)※3ワードランキング
の女の子 (1006回)
い女の子 (299回)
は女の子 (220回)
慌てた様子 (206回)
の男の子 (200回)
驚いた様子 (176回)
光の粒子 (167回)
二人の様子 (159回)
な女の子 (158回)
気にした様子 (148回)
中の様子 (130回)
焼き菓子 (128回)
さな女の子 (126回)
に女の子 (117回)
が女の子 (107回)
彼女の様子 (104回)
外の様子 (96回)
俺の様子 (91回)
周囲の様子 (89回)
気にする様子 (88回)
娘 (16898回)※1ワードランキング
の娘 (4034回)
小娘 (1112回)
この娘 (558回)
い娘 (448回)
あの娘 (410回)
孫娘 (338回)
町娘 (230回)
と娘 (220回)
は娘 (218回)
その娘 (216回)
っ娘 (204回)
な娘 (184回)
愛娘 (184回)
が娘 (182回)
母娘 (170回)
一人娘 (162回)
娘 (16898回)※2ワードランキング
男の娘 (192回)
貴族の娘 (188回)
自分の娘 (188回)
の孫娘 (158回)
若い娘 (146回)
の小娘 (142回)
可愛い娘 (130回)
私の娘 (126回)
我が娘 (100回)
の一人娘 (96回)
一義とかしまし娘 (76回)
魔王の娘 (76回)
家の娘 (76回)
の愛娘 (72回)
年頃の娘 (70回)
あの小娘 (68回)
実の娘 (66回)
の看板娘 (62回)
領主の娘 (58回)
良い娘 (58回)
娘 (16898回)※3ワードランキング
の可愛い娘 (22回)
は我の娘 (22回)
の貴族の娘 (22回)
の若い娘 (20回)
魔王の愛娘 (18回)
は良い娘 (18回)
は魔王の娘 (18回)
店の看板娘 (14回)
子爵の孫娘 (14回)
人間の小娘 (12回)
の前の娘 (12回)
は私の娘 (12回)
伯爵の孫娘 (10回)
竜族の母娘 (10回)
の息子と娘 (10回)
私の孫娘 (10回)
可愛い孫娘 (10回)
の自慢の娘 (10回)
は男の娘 (10回)
「あまり良いデータはなさそうだな……」
鈴木太郎は男の娘 (192回)に惹かれるものがあったが、見なかったことに決めた。
鈴木太郎は男である。１５R作品で男の娘を出すと悲惨なことになりかねない。
めくるめく耽美な世界というものも良いかもしれないが、男流作家になるほどの度胸は鈴木太郎にはなかった。少なくとも今はまだ。
他にも「女性らしさを感じるところ」とすると顔とか、唇だろうか。
顔 (65762回)※1ワードランキング
の顔 (9524回)
笑顔 (8181回)
な顔 (2847回)
に顔 (2216回)
は顔 (2212回)
そうな顔 (1826回)
い顔 (1693回)
が顔 (1283回)
その顔 (1056回)
しい顔 (967回)
った顔 (958回)
で顔 (832回)
と顔 (702回)
しそうな顔 (660回)
から顔 (511回)
いた顔 (455回)
顔 (65762回)※2ワードランキング
の笑顔 (875回)
俺の顔 (639回)
は笑顔 (598回)
な笑顔 (393回)
驚いた顔 (367回)
不思議そうな顔 (329回)
に笑顔 (312回)
真剣な顔 (307回)
難しい顔 (304回)
整った顔 (275回)
が笑顔 (261回)
自分の顔 (256回)
男の顔 (247回)
真面目な顔 (246回)
困った顔 (245回)
渋い顔 (234回)
彼女の顔 (231回)
私の顔 (225回)
い笑顔 (224回)
泣きそうな顔 (221回)
顔 (65762回)※3ワードランキング
満面の笑顔 (158回)
っ赤な顔 (127回)
の胸に顔 (90回)
が俺の顔 (80回)
し訳なさそうな顔 (79回)
優しい笑顔 (79回)
は不思議そうな顔 (73回)
明るい笑顔 (72回)
の方に顔 (71回)
は俺の顔 (69回)
は難しい顔 (68回)
っ青な顔 (62回)
良い笑顔 (62回)
は渋い顔 (61回)
み潰したような顔 (61回)
爽やかな笑顔 (60回)
が不思議そうな顔 (60回)
は真剣な顔 (53回)
は驚いた顔 (51回)
無邪気な笑顔 (51回)
顔にはろくな情報がないようだった。
せいぜい笑顔 (8181回)くらいだろうか。
唇 (2613回)※2ワードランキング
自分の唇 (37回)
薄い唇 (33回)
俺の唇 (33回)
桜色の唇 (26回)
小さな唇 (26回)
彼女の唇 (21回)
悔しそうに唇 (20回)
良い唇 (19回)
指を唇 (16回)
赤い唇 (16回)
唇と唇 (15回)
震える唇 (12回)
は下唇 (12回)
色の唇 (12回)
桃色の唇 (11回)
私の唇 (11回)
俺は唇 (11回)
彼の唇 (10回)
キュッと唇 (10回)
互いの唇 (9回)
自分の唇 (37回)とか俺の唇 (33回)とかは華麗にスルーするとして、ヒロインにふさわしいものとしては、薄い唇 (33回)、桜色の唇 (26回)、小さな唇 (26回)あたりであろう。このあたりは即採用だ。
・いーちゃんは笑顔が似合おう超絶美少女である。
・いーちゃんは薄く小さな桜色の唇である。
ぜんぶまとめるとこんな感じだろうか。
※いーちゃん
・３Ｄプリンタで製造される量産型美少女である。
・絵に描いたような超絶美少女の電波系少女である。
・1.21兆ジゴワットの電波が発射できる。
正式名称はペンシル型屈折可変長収束砲≪電磁投射砲≫である。
・ロリ巨乳の絵に描いたようなティーンエイジャー１８才の美少女である。
・長く艶やかで綺麗な黒髪セミロングで青く薄い瞳の帰国子女である。
・滑らかで美しく、雪のように白い肌である。
・薄く小さな唇は桜色である。
・白と黒がベースで金色がアクセントのゴスロリ巨乳系の魔法少女服である。
・鈴木太郎の恋の奴隷である。
・ヒロインは異世界では王女である。
・王女はお願い上手で、言われたことは断れない素直な性格であり、よくくよくよしている。
⇒要するにメンヘラ系の人物像である。
・一人称は王女らしく私。
・語尾はなるべく「――です」
「よし、これだけ媚びた設定ならば某人気投降サイトの読者の人から人気が出るに違いない」
メモをまとめながら、鈴木太郎は小説の成功を確信した――
