小説のタイトルを決めよう
第1話から47日前――
次に鈴木太郎が考えたのはタイトルだ。
タイトルの良し悪しでページビューの数が天と地とも違うことは想像に難くない。
某小説家サイトでは小説のタイトルは好きな全長のタイトルを設定することができる。
だが、電波系の鈴木太郎にはそういわれるとタイトルの設定に困ってしまう。
鈴木太郎は電波が発射できても筆力がないのだ。
ということで、鈴木太郎はここでも某人気小説サイトから情報を集めることにした。
すると分かったのは人気小説上位500タイトルの総文字数は8159字であり、平均では16文字であるということだった。
これは順位が後ろの方になるほどタイトル長が短くなっていくことも同時に判明している。
16文字か。かなり短いのではないだろうか。
このネタ系の一発オチの小説においては特にそうだ。
だいたいラノベだととんでも長いタイトルになりがちだと思っていたのだが、そうでもないらしい。
「うーん。何が良いのか」
鈴木太郎は当初ネタ系として、
「もしも電波系の大学生が『某人気小説投稿サイト』で小説を読んだら?(33文字)」
とか、
「某人気小説サイトでイマドキの彼女を出産するのは間違っているのだろうか?(36文字)」
「ぱくったデータで鈴木太郎は人気小説家になれるのだろうか? (29文字)」
などというえらく長ったらしいものを考えていたのだが、16文字と比較すると明らかに長かった。
およそ倍以上だ。
ここはストーリーラインを考えてもっと短くしなければならない。
だが、何を書けば良いのだろう。
そこで考える。
小説タイトルのキーワードはどのようなものが多いのかと。
小説タイトル上のワードランキング(2字以上)
異世界 (91ワード/929ワード)
勇者 (32ワード/929ワード)
転生 (24ワード/929ワード)
世界 (15ワード/929ワード)
英雄 (8ワード/929ワード)
賢者 (8ワード/929ワード)
最強 (7ワード/929ワード)
冒険者 (7ワード/929ワード)
異世界転移 (7ワード/929ワード)
魔王 (7ワード/929ワード)
召喚 (7ワード/929ワード)
異世界転生 (6ワード/929ワード)
無双 (6ワード/929ワード)
魔法 (5ワード/929ワード)
神様 (5ワード/929ワード)
女神 (5ワード/929ワード)
転生者 (5ワード/929ワード)
最弱 (4ワード/929ワード)
二度目 (4ワード/929ワード)
人生 (4ワード/929ワード)
調べてみると異世界が突出しているが、それでも500タイトル中91タイトルであってそんなに使用頻度が多くないことが分かった。
そして使うとしても500タイトル中で全929ワードということは1タイトルではキーワードは2個程度しか使われていないということ。
だから使用は1~3程度に留めておく必要がある。
ならばこういうのはどうだろうか。
「3Dプリンタで作る! 異世界転生勇者! (20字)」
「少女を異世界転生させて勇者に俺はなる! (20字)」
まだ字数が多いか。
「異世界の勇者を召喚する勇者 (14字)」
「異世界の勇者を召喚する賢者 (14字)」
もう一声だ。
あと2字で人気小説の平均に仲間入りである。
「異世界の勇者を召喚する最強勇者 (16字)」
よし、これじゃぁぁ!
電波系最強賢者である鈴木太郎はキーボードを叩きつつ小躍りするという器用で華麗な舞を披露しながらさらなる検討を始めた。
↑実際にはインパクト足りないと思いましてご覧のとおり、
「もしも電波系の大学生が小説家になろうを読んだら?」
というちょっと長いタイトルにしました。
鈴木太郎さんの場合、ドラッガーよりはドップラーですが。
「いやそれ、電波じゃなくて音波じゃねーか」という関西系ノリ突っ込みは感想の方にお願いいたします(ぺこり)。