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もしも電波系の大学生が小説家になろうを読んだら?  作者: 鈴木太郎
Saga 7: 異世界の勇者を召喚する最強勇者
3/40

小説のキーワードから設定を決めよう

 第1話から48日前――


 鈴木太郎は無線従事者規則第46条の規定による無線従事者免許申請書の記入例にも登場する、由緒正しき電波系の大学生である。


 鈴木太郎は考えた。

 人気キーワードは何を選択すれば良いのかと。



 鈴木太郎が調べたところ某有名小説サイトの人気タイトル上位500タイトルではキーワードの総数は5834である。

 およそ1タイトルあたり11キーワード。

 限られたキーワードの中で何を選ぶべきか?

 鈴木太郎は前章の一覧を見ながら考えた。


「まず、R15 (379個/5834個) と 残酷な描写あり (374個/5834個) は除外だな。R15のようなえろい表現はないし、人も死ぬことはないだろうから残酷な描写もないし。――ん。いやまて。もしかしたしたらあるかもしれないということで保険的な意味として付けているのだろうか?」


 ならば現状はR15な表現も残酷な描写もないけど将来の保険としてならあるかと考える。話の展開からいって人肉ハンバーグとか人道的でない単語が出てくるかもしれない。もしかしたらインパクトを付けるために1話目からヒロインぶち殺すかもしれないし。だいたいにおいて有名な科学小説では1話目からヒロインが死ぬのはお約束だ。同様に有名な魔法少女が出てくるアニメでは3話目から主要キャラが死ぬのもあったしな。それにほぼ全体の半分以上が採用しているキーワードだ。これを選ばなかったら人気小説にほぼ50%の確率でなれないということだ。取らなくてどうしようというのだろうか。


 すると残りは9つ。


「次の項目は異世界 (275個/5834個)と魔法 (146個/5834個)か。現代ファンタジーで、魔法としては電磁投射砲とか撃てたりしたら最強かもしれん」


 電波系の人間として電磁波の発射は必須能力だろう。

 電波をうにょうにょ出す。つまり電波伝搬――無線工学Bだな。最高だ。


「それでさらにチート (130個/5834個)か。電波投射砲の出力とかは1.21兆ジゴワットくらいあれば最強なのかな」


 鈴木太郎は考えた。チートといえばむちゃくちゃな電力があるに違いない。

 そしてチートといえば関東電波保安協会(通称;でんかん)もまっさおな勢いでどばどば出すのが良いだろう。

 しかしいくら鈴木太郎が電波系とはいえ、鈴木太郎本人がそんな出力の電波を発射することなど不可能である。

 だからここは適当にヒロインでも創造してそいつに電磁投射砲が撃たせるという設定にでもするか。


「ん――。ネット小説大賞 (128個/5834個)とネット小説賞感想希望 (86個/5834個)は除外かな」


 これは明らかに何かの賞を目指しているものであろう。

 狙うならば現在の賞ではなく次の賞になるだろうからな。

 だから賞用にキーワードは2つ保留しておくべきか。


「そして、ハーレム (128個/5834個)か……」


 ハーレムとなると女の子をいっぱいださないといけない。

 しかしやけにハーレムものおおいな。500タイトル中128タイトルってことは1/4はハーレムものなのか。

 とりあえずそこに突っ込みを入れるのは保留として、鈴木太郎は考えた。そんなに女の子の設定などいまの筆力では作れないと。


「ならば量産すればいいじゃないか」


 最近話題の3Dプリンタ。

 ここは適当にヒロインでも創造して (物理)そいつに電磁投射砲をどばどば撃たせるという設定にでもしよう。


「うーん。しかしそれだと何かのアニメとネタ被っているような……」


 だが大丈夫だろう。3Dプリンタで作るヒロインの女の子は自身の遺伝子で作れば、ネタはそう被らないに違いない。


「3Dプリンタの媒体となる細胞の元は、自分の遺伝子で、いわば肉親でもある。ならば『おにぃーさん。えっちしよう』とか言ってくるようなヒロインがわらわら生産されるわけか。そりゃ、主人公最強 (101個/5834個)で恋愛 (65個/5834個)ものにもなるであろうな。多数のヒロインとウハウハとかいいじゃない。これは人気が出るに違いない。いや待った。肉親になってしまうと近親相姦とかそっち系の問題がでるか。ならば遺伝子は3親等くらいでベースは別の人間ではないような――例えば牛さんとかで頑張れば厄介な法律系もなんとかクリアできるかもしれん」


 鈴木太郎は電波ゆんゆんで設定を作り上げていく。


「あとは、冒険 (58個/5834個)、奴隷 (56個/5834個)、成り上がり (50個/5834個)か……」


 この中から選ぶとするならば、ネタの面白さからいって奴隷とかどうだろうか。


 ――鈴木太郎は、再度選択したワードを並べてみる。


1. R15 (379個/5834個)

2. 残酷な描写あり (374個/5834個)

3. 異世界 (275個/5834個)

4. ファンタジー (215個/5834個)

5. 魔法 (146個/5834個)

6. チート (130個/5834個)

7. ハーレム (128個/5834個)

8. 転生 (117個/5834個)

9. 主人公最強 (101個/5834個)

10. 恋愛 (65個/5834個)

11. 奴隷 (56個/5834個)

12. ★保留――何かの賞応募用

13. ★保留――何かの賞応募用


 ここから導き出される描写はこうだ。


・鈴木太郎はチート能力を持った電波系の主人公最強な大学生である。

・鈴木太郎はそのチート能力を持って3Dプリンタでヒロインが作れる。

・ヒロインの攻撃手段は電磁投射砲である。攻撃力は1.21兆ジゴワットである。チートだから。

・この小説はハーレムものなのでヒロインは3Dプリンタで量産される。

 ⇒量産とかちょっと非人道的なので残酷な描写がある。

 ⇒だからR15指定である。

・3Dプリンタで作られた少女は何が作用したのか分からないが、異世界(ディストピア)からの転生者である。

 ⇒あぁ、これは奇跡だねぇ。

 ⇒裏設定としては3Dプリンタでデータ作るときに生活に困らないように誰かが書き込んだということにしておこう。そうだ。きっとそうに違いない。

・多数のヒロインと鈴木太郎は恋愛関係を持つ。

 ⇒だからR15指定である。

・ヒロインは製造されたアンドロイドなので人に対する制約条件を持つ。

 ⇒つまりヒロインは鈴木太郎に対し恋の奴隷である。

 ⇒だからぁ~、R15指定なのである。


「よしっ。完璧だ!」


 鈴木太郎は電波系らしくキーボードを叩きつつ小躍りするという器用で華麗な舞を披露しながら次の検討を始めた。


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