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もしも電波系の大学生が小説家になろうを読んだら?  作者: 鈴木太郎
Saga 7: 異世界の勇者を召喚する最強勇者
15/40

世界的に有名なつぶやきサイトで世界を騙せ!

 第1話から40日前――



 鈴木太郎は無線従事者規則第46条の規定による無線従事者免許申請書の記入例にも登場する、由緒正しき電波系の大学生である。人呼んでマッドコンピューターさま。

 当時、ごたぶんに漏れず中二を煩っていた鈴木太郎は、今日も今日とて現実逃避しており、ものすげーくだらない日曜プログラミング(D.Y.I)に明け暮れていた。


 今作っているものはチューリングマシンだ。


 1936年に発表されたイギリスの数学者アラン・チューリングの論文がある。

 彼が提唱したのは人工生命に関する論文だ。

 そこにはあたかも人間のように動くコンピュータに関する記述がある。

 その記述にはこう記されていた。


「チューリングテストを行って全てをダマせ」と。


 ――正確には違うかもしれないが、鈴木太郎は英語をマジメに英訳するくらいならばプログラミングをするような男である。考えるよりも電波を飛ばすタイプだ。


 それでチューリングテストというのは、コンピュータが人に代わり何かをやって、それを見た誰かが人と区別が付くか評価をするというものだ。

 それを太郎は世界的に有名なサイトで試そうとしていた。

 そのサイトとは140文字の言葉を思ったときにつぶやいて共有するという世界的に有名なつぶやきサイトであり、2,000万を超える参加者がすでに日本にはいた。

 それに対するチューリングテストと言えばつぶやきをコンピュータ様が自動的に生成し、それを世界中の人がみてあたかも人間であるかのように思われる、だましきったらテスト成功、だまされない人がいたらテスト失敗、というものになるだろう。たぶん。

 少なくとも鈴木太郎はそう考えていた。


 そのコンセプトは一つ。


「世界をダマせ。そしてこの小説を読んでいる読者をダマせ!」


 そんな感じでライトノベルの表紙のオビにつけるような決めセリフを作ったところで、鈴木太郎は月影(○くりぷす)と呼ばれる特定言語統合開発環境を立ち上げ、世界に対するさらなる現実逃避を始めた。


 まずは世界との接続するための認証(○Auth)の攻略からだ。


 鈴木太郎が開発に使っているJava8は標準でネットワークに接続するAPIを持っていたが、認証系はwebごとに異なっている。

 そこで新たな○Auth用のAPIを投入しきちんとメッセージを書き込めるようにする必要があった。いわゆる「穴あけ」と呼ばれる行為である。

 そして認証を突破し、鈴木太郎はいよいよ実際に投入するつぶやきを考え始める――



 なぜこんなものを考えているのか、それはもちろん、某人気サイトの小説のネタになるからだ。

 小説のヒロインであるいーちゃん。

 いったいこの小説で何をしゃべらせれば良いのだろうか。

 鈴木太郎の室力では女の子が何を考えているかなんて分かるはずがなかったのだ。

 だからまずは人気つぶやきサイトを攻略し、その会話を小説として載せる。

 これであれば簡単に小説が書けるであろう。


 当時、鈴木太郎はそう楽観的に考えていた――

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