アン・フォールに生きる人々
ここではアン・フォールに生きる人類を紹介する。
彼らは必ず身体のどこかに種族を示す獣の特徴を持つ。
その濃淡にこそ激しい個体差があるものの、アン・フォールに生きる人類に例外はない。
ただしここで挙げるのはあくまでヴァトゥラグラスの人類種として主要な五つの種族である。
空域によってはこれ以外にも犬や狼。または水生哺乳類。あるいは虫のような特徴を持つ種族など、様々な種族が存在している。他の空域と交流が得られず、孤立している空域ではいまだに知られていない人種が存在する可能性もある。
なお、彼らはすべて混血可能の胎生である。
異種族同士の間に生まれた子は、父母どちらかの種族となる。例えばマシラの父とコニーリョの母の場合、その子はマシラかコニーリョのどちらかとして生まれることになる。
仮に両親が同族であっても祖父母に両親と違う種族がいれば隔世遺伝として違う種族として生まれることもある。
なお混血児はその種族が本来持ち得ない特徴や能力を備えている場合もある。
※マシラ
猿の特徴を持つ人類種の一種。
主に長短様々な尾を持ち、腕や足などに濃い体毛を持つ。また個体によっては指や顔が猿そのものといった場合や、逆に尻尾しか持っていない場合もある。
平均身長は成人男性で170cm。女性は160cm。
平均寿命は八十歳ほど。
髪や瞳の色は黒や茶色の濃色の者が一般的。淡色のものも存在する。肌の色はまた濃淡様々である。
能力的には他種族と比較して極端に秀でた部分はないが、極端に劣る部分もない。
※コニーリョ
兎の特徴を持つ人類。
個体によっては頭頂部近く、あるいは即頭部から伸びる長い耳を持ち、秀でた聴力を備えた種。その聴力は人ならぬものの声を聞き、理解するとも言われている。
短い尾や体格に比して大きめの足なども特徴。個体によってはほぼ後ろ足で直立した兎同然の風貌の者も存在する。
体格は五種族の内最も小柄。平均身長は成人男性で150cm。女性で140cm。
平均寿命はマシラ族と同じく八十歳程度。
基本的に温和な種族で親しみやすい人柄の者が多い。
髪を含めた体毛は白、茶、黒が一般的。瞳は赤や黒。肌は黄色か白の者が多い。
他種族と比較して腕力には乏しいものの、秀でた知能と超感覚的な聴力を持つ。
※ドレイク
トカゲの特徴を備えた人々。
手や足を中心に鱗が生えており、長い尾も持つ。その皮膚は熱に強く、刃物や打撃にも耐える強靭なもの。
個体によってはほぼ全身が鱗に覆われてトカゲそのものの頭を持つ者も存在する。
髪は黒や金、銀のほか、赤や緑や青といった鮮やかなものがある。瞳は赤や黄などの色が多い。
肌は褐色が一般的。だがそれを覆う鱗は髪以上に様々な色合いを持つ。
体格は後述の牙王族に次ぐ大柄なもの。平均身長は男性で190cm。女性で180cm。ただしあくまで平均であり、個体差は大きい。
平均寿命は百六十歳程度とマシラ族の倍。また二百歳を超えて生きた例もある。
見た目によらず手先が器用で、著名な技師を多く輩出することで知られる。
※牙王
獅子や虎、豹の特徴を備えた戦闘種族。
鋭い爪や牙、大型猫科肉食獣のような体毛や長い尾を備える。
また五種族一大柄で屈強な肉体も特徴であり、平均身長は男性で210cm。女性でも200cm。もちろん小柄なものもいないわけではないが珍しい。
髪は金や茶が一般的で、縞や豹柄にメッシュが入っていることもある。瞳の色は黄や茶が一般的。肌の色は褐色の者が多いが、濃淡様々である。
平均寿命は八十歳ほどであるが、これは牙王族のほとんどの者が戦いに身を置いており、早世するものが少なくないからである。最長寿個体として130歳を超えた例も存在する。
多くの者が誇り高い武人であり、己のため、主のために力を高めることに価値を置いている。
※ヒュムグリフ
翼を備える鳥人種。
翼の変化した腕、あるいは腕の変化した翼を持ち、その力で自力で空を飛ぶ事ができる種族。
なお筋力で飛んでいるわけではなく、翼が空に存在する精霊の力を受けることで飛翔している。
ただし飛翔能力には個体差があり、翼を持たず飛ぶことの出来ない個体も存在する。
平均身長は前述のマシラ族と同じ程度だが、ヒュムグリフ族の方が平均して細身である。
また平均寿命も同じく八十歳ほど。
空を飛ぶ能力のほか、優れた視力と機敏さを強みとする種族である。