7th 俺とディープ・キス
『おにいちゃん、いっしょにオフロ入ろ?』
画面の中のカワイイ妹が俺にささやく。--ああ、至福。
これだよ。女の子はこうでなきゃ・・・!
『あぁん、泡が目に入っちゃったぁ・・・』
可愛い。
『・・・ねえ、おにいちゃん。キス、してくれる・・・?』
「いいよもちろんだ俺の妹!!」
俺は顔面を顔に近づけた。ぶちゅ。
ちゅ、ちゅ・・・っ
ディープ・キスだ。名前しか知らないが、世の中にそういうモノが存在するらしいことは、ネットで得た知識でバッチリだ。
舌をからめ、・・・えっと。
画面は俺のヨダレでべとべとになった。・・・タッチパネルじゃなくてよかった。いや、むしろ今後、舌で操作できるタッチパネルをエロゲ会社は導入するべき。
「ご主人」
「うわぁっ!!?」
飛び上がった。俺の背後に知らぬ間にメイドが立っていた。
「夕ご飯のお支度が整いました。いつでも食べられます」
「・・・ああ、ありがとう・・・」
「今日の夕食はインスタント・ラーメンとお湯で戻せる味噌汁でございます。ポテトチップスもお付けいたしました。旦那様のお口に合えばよろしいのですが・・・」
「ああ。いつも君の料理は最高だよ、メイド。今日は俺のために新メニューに挑戦してくれたんだな・・・」
「はい。腕によりをかけて調理いたしました」
調理したらしい。
『おにいちゃぁん・・・あっ』
振り返った俺の視線の先。画面の中の妹があえぐ。うん、これだよ、これ。
俺はもちろん、妹のなまめかしい姿態をスクリーンショットで保存した。
◆
「勇者様だ! 勇者様がおれ達の村に来てくださったぞ!!」
気付けば俺は歓待されていた。
俺たちーー俺と黒髪のメイドの前には、二人では食べきれないほどの料理の山が積み上げられている。
どれも見たことの無い料理ばかりだが、山の幸をふんだんに使い、綺麗にさばかれた肉が幾重にも積み上げられているところをみると、おそらくは最大限のごちそうらしいということが伺える。
「メイド。これは・・・?」
「? わたしがアサルトライフルでドラゴンを仕留めたではないか。その肉だ」
そんなこと聞いてねぇぇええっ!!?
「ご主人は考えたことはないか? ・・・もし、望む世界で生きられたら、と」
「望む世界?」
「・・・そうだ。誰だって夢を見る。家のない乞食でさえも。銃を抱えた兵士ですらも。ここは、」
メイドがささやく。
「ご主人の望む世界だ」
「あのさぁメイド」
「なんだご主人」
「なら俺はトラックにひかれて異世界で転生でハーレムチートでうはうは」
「日本語でしゃべりやがれ、ご主人様」
メイドはあきれた顔でため息をはいた。--ロボットなのに。