10th デスゲーム・オア・デスゲーム
「というわけでメイド、俺はVRMMOのログアウト不能デスゲームに参加することにした」
「生きて還る自信がおありなのですか? ご主人様」
「んにゃ、ないけど? でもデスゲームだぜ、デスゲーム。男として生まれたからには一度は参加してみたいだろ。」
「就職戦争というデスゲームからドロップアウトしたご主人様の口から出た言葉とは思えません」
「だろ!? だが大丈夫、美麗グラフィックで滑らかに動く3DCGのヒロインが手助けしてくれるからな!」
「あら」
「だが何と! 彼女はゲームの中だけの存在ーーゲームが終わると、彼女の存在も消えてしまうんだ!」
「悲劇のヒロインというわけですね」
「そんな彼女と俺は恋に落ち、俺はゲームの世界に残ることを選択するーー」
「ログアウト不能エロゲのほうがご主人様向きなのでは・・・」
「そっかな? じゃ、そうする。俺はログアウト不能エロゲの世界に転生するんだ!」
「・・・フフッ、ご主人は本当に夢見がちですねぇ。そんなだから現実社会に適応できないんですよ☆」
「・・・あ、うん。そうだな。どうせ生きててもロクなことないし・・・、どうせ一生独身だし。ひきこもりだし。年収は200万を越えないし・・・、ハワイになんて一生行けないし・・・」
「元気を出してくださいご主人様! それでもご主人様は生きているんです。かけがえのない今日、今という瞬間にいるんです。ヴァーチャルのデスゲームに参加しなくても、ご主人様は使えない中年ニートへの道という、ログアウト不能デスゲームのただ中にいるんですよ!」
「・・・あ、うん。ソウダネ。素晴らしきかなデスゲームな日々。俺の明日はどっちだ。」
「とりあえず、ふわふわほかほかのオムライスを作りましたから、お昼にしましょう」
「人生からログアウトして~・・・」
「大丈夫、すでにご主人様は真っ当な人生からドロップアウトしてますから!」
「何度クリックしてもログアウトできませんって表示されるんだ・・・」