月日
その日、魔物の原因と思われる山に調査に来た人たちは予想していたより魔物が少なく豊かな森の様子に戸惑っていた。
「豊かな山だな、獲物も多いし、ここに来るまでより魔物も少ないし。魔物の原因ではなさそうだが、そうするとこの山が何なのか調査する必要があるな。」
もともと魔物の原因を調べるための精鋭部隊だったため、大した危険もない山の調査は順調に進み数日後、山頂付近でそれを見ることとなった。大きな洞窟と其処から出てきている巨大な存在だ。実力あるものたちなので、ドラゴンのことは知らなくてもその巨体と威圧感でかなわないように感じることができた。だが、ドラゴンのことを知らないゆえに強大な魔物と判断し伝令と調査の専門家の非戦闘員を残し完全に洞窟から出て巨体が自由に動けるようになる前にと攻撃を仕掛けた。だが、その鱗に傷つけることはできず逆に武器の方が傷んだ結果となる。ドラゴンは体を震わせ周りのものを吹き飛ばし、ブレスを一吐きすると向かってくるものがいないことを確認し、飛び立ってしまった。後には、風のブレスできざまれた死体と、戦意を失った調査員だけだった。
「助かったのか、なんだったんだ、魔物なら助かるはずがないが、あんな存在が今までいたはずがない。」
何とか生き残りをまとめると報告するべく町へと帰還した。そして数日後始祖の国から発表があった。神により新種のドラゴンという生き物が作られ中央の山に住んでいるため中央の山へむやみに近づかないこと、魔王が誕生しこれから魔物が増えることから軍の強化と、対魔物組織のギルドの創設が行われることについてであった。調査隊の生き残りはもう少し早く知っていればと歯噛みすることになる。
人々が新たな世界に対応しようと頑張っているとき、竜王は自らの人型への変化の方法を模索していた。毎日のんびりと好きなときに起き、研究しては寝る生活を送っている。まだしばらくはこの生活が続くだろう。だんだん寿命のないドラゴンの体に慣れるにつれ時間の感覚が狂っていくのに気づくことなく一眠りが数日だったり半日研究していたつもりが三日だったりするのだが住処にこもって研究しているため気づくことができなかった。そして完全に馴染んだ時眠気が襲い、寝て起きると季節が変わっていた。目覚めて快調だったため外に出てそのことにはじめて気づいたのだった。
(はっっ!!いつの間に季節が変わったんだ、まだそんなに月日はたってないよな。もしかしてこの世界はある日を境に急に季節が変わるのか??)
勘違いしながらその日から起きたら外で研究するようになり時間の感覚の狂いに気づき、季節についての勘違いは次の季節になってから初めて気づくことになる。
そして月日は流れていく、始祖国が軍を強化し、ギルドが開始されたころ魔王が生み出した多種多様な魔物を率いて地上に出てくる日となった。
魔王は地上に出る唯一の道を進みながら増えた魔物たちを率いて進んだ。
(全滅させるわけには行かない、山に出たら各種族番で山に隠れ住ませて繁殖するよう命じ、後は半分に分けて人里にぶつけるか。後は、大きな町で魔王であることを宣言したら、後は好きにさせて城に戻ればいいだろう。後は地上とつながるこの道をどうするか、まあ攻め込まれない限り放置しても問題あるまい。)
魔王が地上に出てこようとしているころ、加護や力について研究していた始祖の一人が神の作った魔物の生まれる法則を利用し神の加護のない人間でも魔物に対抗できる魔法を発見して研究所で確認し他の始祖たちと相談することとなった。
「魔王とその率いる魔物たちに対抗するには魔法を広めるべきだろう。しかし魔法が醜い心を元に発動するなら役に立つほどの使い手は魔法を習得すると害になりそうでそのあたりの調整が必要だな。」
「研究させたところ媒介によって多少効果を増幅させることができるようだ、この増幅の媒介を独占し外に漏らさないようにしつつ魔法を広めればいいだろう。我われ始祖も魔法が使えるし、長生きしている分魔法もかなりの威力が出せるしな。」
「それなら、まずは軍の一部と、ギルドの評価のよいものから魔法を広めましょう。媒介は始祖と、信用できるものだけの少数で情報が漏れないようにしてればいいわ。」
「教師役が足りない、媒介の研究者はあまり外に出したくないから最初は我われ始祖が直接教えていくしかないな。後は覚えたものたちを派遣する。その方針で皆いいな。」
「じゃあ少しでも早く行動しましょ。いやな予感がするもの。」
結局、魔法の普及は間に合わず、魔物にかなり苦戦し大きな被害を出すこととなる。ただ、魔法は魔物との戦闘で活躍し急速に人全体に広まっていくこととなった。」