表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの勇者になりたくて~最強魔王、人間に転生する~  作者: small wolf


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

第11話『魔族でも』


 坑道の中を僕とリディムは進んでいく。

 途中で魔族が何体も出てくるだろうと少し身構えていたが、誰も現れなかった。


 そのまま進んでいくと、やがて広い空間に出た。

 そこには多くの魔族がいた。


 目視できる魔族の数は三十二人。

 おそらく何人かは潜んでいるのだろう。探査魔術では四十八の生体反応があったので、少なくともそれ以上はいるはずだ。



「くっ……もうここまで来たか。おのれ……もう少しだというのに……」


 槍を構える魔族。

 額から短い角が生えた、長身の男だった。


「ここは通さんぞっ!! グロスは倒せたようだが、俺は奴より──」



「邪魔だよ」



「うごわぁっ!」



 喋り続ける魔族の懐に入り、殴り飛ばす。

 魔族は壁に激突し、そのまま崩れ落ちた。


 僕は周囲を見渡す。


「いちいち相手するのも面倒だ。全員でかかってきなよ。もう君らに期待なんかしてないんだからさ」


 やる気のない声でそう告げる。

 おそらく、怒声をあげながら雑魚が群がってくるのだろう。

 そう思っていたのだが……。



「ひぃっ……人間……」


「そんな……ゴメズが一撃で……」


「あの強さ……まさか勇者か?」


「馬鹿なっ! レイフォード家の動きは常に観測している。だが、勇者を呼んだ様子などなかったぞっ!」


「ならば、たまたまこの領地に勇者がいたか。あるいは……逃亡した我らを追って、ここまで来たか……」


「くぅっ……もう少しでアリデル様が目覚めるというのに……」


「嫌だ……もうあそこには戻りたくない。勇者め……人間めぇっ!! くそぅ……クソォォォォォォォッ!!」



 誰もが僕を見て怯えていた。

 よく分からないが、僕には敵わないと戦わずして悟ったらしい。


 さすがは魔族。賢い判断だ。

 その判断は間違っていない。


 そして、だからこそ……やはりつまらない。



「来ないのかい? まぁ、いいさ。君らに用はないんだ。封呪核を返してもらうよ」


 この広い空間の中央には、大きな魔法陣が描かれていた。

 その中心の台座に、黒い石が安置されている。

 石の周囲には複雑な魔術式が走り、淡い光を放っていた。


 おそらく、あれが封呪核なのだろう。

 僕は封呪核を取り返すため、魔法陣へと向かう。


「くっ……」


 その動きを多くの魔族が睨みつけるが、誰も歯向かってこない。

 そのまま誰にも邪魔されないまま、僕は魔法陣の中へと足を踏み入れようとして──



「やめてっ!!」



 それを小さな魔族の少女が阻んだ。


 年の頃は十歳くらいだろうか。

 背中には小さな赤い羽が生えている。

 そんな幼子が体を震わせながら、必死に両手を広げて僕の前に立ちはだかったのだ。



「もうすぐ……もうすぐお母さんに会えるのっ! 邪魔しないでよ!!」


 涙を浮かべながら叫ぶ少女。


「っ…………」


 その姿に、僕は動きを止めた。


 魔族の少女。

 非力で、僕に敵うはずもない存在だ。

 彼女自身もそれはわかっているのだろう。声は震えているし、足もガクガク震えている。



 ——それなのに、こうして僕の前に彼女は立ちはだかっている。


 その姿はまるで──



「マスター、お下がりください」


 リディムが僕の前に出る。

 その手には、すでに魔力が集束していた。


「不敬な小娘です。御身の前から存在ごと消し飛ばしてごらんにいれましょう」


「ま、待ってくれ、リディム」


「ですが──」


「待てと言ってるんだ!!」


「は、はい……」


 僕はリディムを制し、改めて少女を見る。


 やはり少女は震えていた。

 リディムの殺気を浴びたからだろうか、先ほどよりも震えは大きなものとなっていた。

 それでも、少女は退こうとはしない。



「魔族が格上の相手に……そんなことがあるのか? 君は……」


 僕がそう呟いた、その時だった。



 ピキ──



 封呪核に小さな亀裂が入る。

 その亀裂は少しずつ大きくなり、光が溢れ出していった。


「おや? これはまさか封印が……」


「そのようですね。どうやら一歩、出遅れてしまったようです」


 リディムがそう言うと共に、封呪核が砕け散った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ