表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

01

最後に評価など頂けれは嬉しいです。



「アレースよ!そなたに勇者の称号を授けよう!魔王ティアマトを倒しこの世界を救ってほしい!」

「かならずや……この国のため、すべての民のため……人類の敵、魔王を討ち滅ぼさんことを、この賜りました聖者の剣に誓います!」


この国の王に跪き、手の持つ聖者の剣を掲げる男。

『不滅の勇者』アレース。平民で貧しい家庭に生まれたが、兵士として数々の武勲を立ててきた。


最果ての村での任務の最中、気まぐれで攻めてきた魔人を命を賭して打ち倒した際にまばゆい光に包まれた。そして戦士だったジョブが勇者へと昇華されたという。

その光景を見ていた兵士や村の民は、その神々しいまでの光に次々跪いて祈ったという話が、王都の民にまで届いていた。


そして本日、王都の城に呼ばれ、王から国の宝剣である聖者の剣を賜り、公の場で国の勇者としての正式な承諾と、新たに魔王討伐の命を授かるという儀式が行われていた。


魔王討伐に当たって、仲間として第一皇女であるティターン王家の姫、魔導士ルーナ、聖騎士団の団長であるグウィディオン男爵家の長女、騎士ディアーナが紹介された。

そして、魔王討伐がなされたその時には、ティターン・ルーナ姫との結婚を、という話になっていた。


俺は、王の仰々しい話を聞きながらも、そのルーナ姫を見ていた。

宮廷魔導士に引けを取らない魔術師、『魔道姫』と呼ばれたその肩書からは、想像できない小さき体。可愛らしい仕草で顔を赤らめたそのお姿に、恋をしてしまったのだと実感した。

その横では、『血染めの女騎士』と呼ばれ数々の武勲を立てた女傑……だと思うのだが、今の様子からはそれは垣間見えないディアーナの姿にも目を引かれた。こちらをチラリと見ていたり、周りの様子を窺っていたりとかなり落ち着きがない。


きっとこういった場は慣れていないのだろう。俺自身も同じだと何の気なしに仲間意識を持ってしまう。まあ何となくうまくやれそうな気がする。

そんなどうでもよいことを考えている間に、この仰々しい儀式は全ての工程が終了となった。


◆王城の一室


「それでは、改めましてアレースです。よろしくお願いいたします!ルーナ様、ディアーナ様」

「ルーナ、とお呼びください。もうアレース様は勇者なのですから……」


ルーナ姫は恥ずかしそうに頬を赤らめこちらをチラチラと見てくる。


「しかし……いえ、分かりました。それでは……ルーナ……よろしくお願いする」

「はい……」


その小さな体をさらにモジモジとさせ、こちらを見てくるルーナ姫を見て、俺はやはりこの姫への愛しい気持ちがあふれていることを実感する。


「わ、私のことももちろんディアーナでいい!そもそも私は敬語とかよくわからんしな!」

「あ、ああ。分かった。よろしくディアーナ」

「お、おお!よろしく勇者様」


そんなディアーナを見て、こちらは付き合いやすそうだと思ったが……


「いや俺だけ勇者様ってのもなんだから、二人には遠慮せずアレース、と呼んでほしい」


そう言うと、二人は「アレース」と何度か確認するように口に出していった。


そして、その夜は王城の豪華な食事を頂き、さらに豪華な部屋に通され「遠慮する!」と拒んでみても無理やりに侍女たちに体を洗われ、精神的に疲れ切ったまま、ふかふかの布団にくるまって眠りについた。

そのおかげか、疲れはスッキリとれた体で目覚めることができた。


その日の朝早くから国を挙げての出発式として、何やら馬に引かれた豪華な荷台の上で、二人と共に集まった民衆に手を振るという辱めを受ける。

兵士として武勲を上げている俺は、辺境の村を訪ねた際には村中の人が集まっての大歓迎を経験している。当然ここまでではないが……


だがこういったものは中々慣れはしない。

そもそも今回は規模が違いすぎるのでかなり恥ずかしい。この列は何キロ先まで続いているのだろうか……


結局王都を出るまでのおよそ20キロの道のりを、5時間ほどかけて通り過ぎていった。手が痛い。なんとか笑顔を保ち続けた口元がヒクヒクと強張っている。隣を見ると、さすが王族のルーナ。余裕の表情であった。

ディアーナは俺と同じように疲れ切っている様子であった。なんだかディアーナの方が気が合いそうだと感じていたが、やはり笑顔のルーナを見て俺の中にルーナへの強い思いがあることを実感する。


王都を出ると派手な荷台とはおさらばして、別に用意されていたこじんまりとした馬車に乗り込む。街の防壁から少し離れた場所に待機してあったようだ。

乗り込むと内装の方は豪華な作りになっていた。座席もふかふかでこれが王族の乗るレベルのものなのかと驚いた。やはり姫は普通といった所作で座っている。

ディアーナは俺と同じように若干落ち着きがなく、何度かお尻の位置を変えてその座り心地を確かめているようだった。やっぱりそうなっちゃうよな。と心の中で共感していた。


とはいえ、俺たちはここからは2週間ほど、このまま馬車にのりながら、北の大地を目指す旅をすることになる。

道なりに進み、たまに街に寄りながらも北の魔王城を目指す。徐々に魔物たちも強くなるエリアへと近づいていくだろう。道中の食料は事前に俺の収納スキルで数年は生活できるのでは?というほどの物資が詰め込まれていた。

収納は勇者となった際に発現したスキルの一つである。まったく、とんでもなく便利なものだなと我ながら感心する。


馬車はどんどん進んでいき、途中の村で度々緊急の依頼などを受ける。

ある村では近くの森に魔物の群れが襲ってくるというので、その討伐に3人で赴くがそこらの魔物の群れなどルーナの魔法で殲滅して終わりであった。たまにそれから逃れた魔物がいた場合には俺とディアーナで殲滅していく。


別の村ではオーガキングとその群れにより、何人かの女性と子供が攫われたということで、村人から救出と討伐を依頼された。もちろんそれを快く引き受ける。魔法が効かないオーガキングに対してはディアーナと二人で特攻して切り倒す。

3人いれば何者にも負けない!という安心感が生まれるまで、そう時間はかからなかった。


そのままゆっくりではあるが、魔王城への道のりは進んでいく。


お読みいただきありがとうございます。

下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

読者様のお力が必要なんです!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! [一言] 追ってまいりますので、執筆頑張って下さい!!!
2023/07/08 22:37 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ