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光と残酷  作者: qumu
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アトラの経緯①

 



 師匠は容赦なかった。


 自らも緑煌眼を用い、更には属性ルフト”グラビティ”まで使って力の差を見せつけてきた。子供かよ!



 そして現在━━━


「し…しょー……も…いいだ……ろ」


 キューロはアトラの「under G 30」の一言で地にめり込んでいた。


 死ぬ、マジで死ぬ。何もかも潰れる。


「ふん、力の差を思い知ったか糞虫。まぁ私との初戦にしては頑張った方だろう。この辺で勘弁してやる」


 アトラはそう吐き捨て能力を解除し、木刀を羽に仕舞う。


 初戦ってことは次戦があるのこれ?何回やっても勝てる気がしない。

 でも最終的に勝てないと死ぬしなぁ…マジで逃げたい。


「ぐは…ゴホッ…ゴホッ」


 能力が解除されたお陰で体の自由が戻った。が、大量に吐血した。内臓をやられたらしい。


 ちょ、どうすんのコレ…


 そう思いアトラを見ると、やってしまった!見たいな顔をしながら真っ青になっている。


 いやいや…師匠。普通の人が耐えれる重力は、どんなに頑張っても8Gが限界らしいですよ?いつも1000Gとか使うから感覚がおかしくなってるだろ。このおバカ!


「ちょちょちょちょっと待ってろ!い、今医者を呼んでくる」


 お姉さんここに医者はいません。リバースするかポーション下さい。



 声も出せず俺はまた気を失った。




 □■□■□■□■□■□■□■□■□■




「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」


 そんな呟きで目を覚ますと、目の前に師匠の顔があった。


 あ、グリナスタじゃなかった。良かった。


 どうやら師匠は膝枕して、俺にリバースをしてくれていたらしい。周りに目を見やるとポーションの瓶も転がっていた。

 焦って助けようとした後が垣間見える。


 まるで悪いことをした子供が、バレないように何かを隠そうとしてるみたいで、ちょっと笑いそうになった。


 どうやら師匠は俺が起きたことに気づいていないようだ。目が虚ろで痛々しい。


 いたたまれないので声をかける。


「師匠…ありがとう。もうだい━━━」

「起きてるなら早く言えーーーー!!」

 投げ飛ばされた


 んな殺生な。






 お互いなんとか落ち着きを取り戻し、漸く、ホントに漸く、師匠の戻りが遅くなった経緯を聞くことになった。

 因みにまだ訓練場だ。


「んで師匠。いい加減本題お願いします。」

「ふ、ふん、うるさいわかっている」


 まだ本調子では無さそうだが、もう疲れたので弄らず放っておこう。


 それから師匠はとつとつと話し始めた。


「ここを離れてから本国、聖アルケレトス教会国に戻る予定だった。報告も兼ねてきっかり2ヶ月で清算し戻れるように考えてな」


 凄く言い訳臭い。


「だがお前と初めて会った都市、ヘヴァインまで戻り、仲間に連絡を取ろうとしたんだが…。二人の内一人が殺されていて、残る一人は行方不明になっていた」

 そう言い、拳を握るアトラの表情は怒りと悔しさで歪んでいた。


 途中まで、あの都市ヘヴァインって言うんだーなどと考えてた俺は、思ってた以上にヘビーな内容に面食らい息が「ヒュッ」っと漏れた。


「それは…かなり悪い事態だったんだな。その…遅いとか言って、悪かった」


「別にいい、お前の責任ではない。これは私の失態だ、私の負うべき責任なんだよ」


 語気に悔しさが滲みでている。


 いつもなら「全てお前が悪い」とか言ってきそうなものなのに。

 実際、都市を離れた原因が俺なのだからそう言えばいい、でもそうしないのは自分への戒めなんだろう。

 それなりに付き合いのある仲間だったってことかもしれない。思い詰めてるみたいだが、大丈夫だろうか…


 まぁ俺が何か言ったところできっと逆効果だ。

 …今は最後まで話を聞こう。


「だから私は本国へ帰らず、仲間殺害の犯人探しと、もう一人の行方を探る為に、約4ヶ月あの都市にいた」


 俺、と言うか自分の目、緑煌眼の安全よりも仲間を優先したのか。何だかんだやっぱり情に熱い性格をしているな。


「あ、そう言えばお前、あの国で国際指名手配されていたぞ。名前がIKAROS(イーカロス)とあったがそれが本名じゃないのか?」

「は?」

「まぁその話しは後だ、それで私はまず殺された仲間の件から当たることにしたんだが」


 ちょいまてまてまて、は?国際指名手配?なんっじゃそりゃーー!!え、俺大手を振って人が居るところを歩けないってこと?何それあんまりだろっ!

 くそっ!あのアタオカ女の仕業に違いない。おのれ。もうこうなったらあのクローゼットの中を公衆の面前にさらけ出して………


「おい、聞いているのか?」

「はっ!あ、ああ…悪い師匠、続けてくれ…」


 叫び出しそうな気持ちをグッと堪えて飲み込んだ。メアめ…マジで許さん


「私たちがあの国でやっていたことは、翼人の取り扱いに関する内定調査だったんだが。私がお前と黒龍の墓場に移動した後も、仲間二人は調査を続けていたようだ」


「それ、俺に話していい内容か?」

「勿論口外すれば殺す。黙って最後まで聞け」


 勿論、ね、さらっと巻き込んでいくなこの人。


「殺されたのは私が都市へ戻る一週間前、本国へ送り返される前に、外交官の権限でなんとか検分することができた」


「死体から何かわかるものなのか?」


「うむ、彼の死因はわからなかった」


「え、、どういう?殺害されたのに死因はわからなかった?」


「恐らく、殺害後にリバースで復元した可能性が極めて高い。緑煌眼の”感知”で死体に残ったオーラの残滓を見てみたが、違う翼人のオーラが複数人分確認できた。リバースで傷を復元し隠している。明らかな偽装だ」


「なるほど、リバースはヒールやポーションの”回復”と違って、”復元”だから死亡後も治すことが出きるのか…」


 それにしても感知ってそんなこともできるのか、便利だな。俺はまだ一つしか使えないけど師匠のように増えるんだろうか。


「そう言う訳で、死因は不明だが急所箇所へのオーラ残滓があったことからも殺害されたのは間違いない。それに持ち物が全て失くなっていたことも、彼が何らかの組織に狙われた可能性があると思った」


「物取りとかではなく組織?」


「どこに殺したあとわざわざ複数人でリバースする物取りがいる。傷が深ければそれなりに時間が掛かるうえ、どこかに偽装を頼むとしても贅沢すぎる」


「なるほど」


「セーフハウスにも彼の持ち物は置かれてなかったからな、持ち去られたと見るべきだろう。それはなんのためか…」


 師匠は沈痛な面持ちで言葉を切る



「彼は恐らく私の所為で死んだ」



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