魔法使い
男子A「なぁ、魔法使いって知ってる?」
男子B「なんだよ、急だな。」
男子B「プリキュアか何かか?」
男子A「いやいや、ちがくて。」
男子A「この前ネットで知ったんだけどさー、」
男子A「付き合ったことないまま30になると魔法使いになれるんだってさ。」
男子B「女性と交際経験がないまま30を迎えるとってこと?」
男子A「そそ。」
男子A「30まで経験ないとか、ありえないよな!」ギャハハハ
男子B「いうてお前も彼女いたことないじゃん。」
男子A「いやいや、さすがに高校なったらできるて。」
男子B「そういうやつに限って、あるかもだぞ~。」
男子A「くそワロタ。ありえましぇ~ん。」ギャハハハハ
男子B「お前は相変わらずだな...」
「キーンコーンカンコーン」
先生「授業始めるぞー。席つけ~。」
「ガヤガヤ」
男子A「じゃ、席戻るわ!」
男子B「ほーい。」
先生「前回の続きから。教科書の61ページ目を...」
男子B「(そういや、どうでもいいけど、)」
男子B「(なんで魔法使いなんだろうな...)」
先生「男子B、6行目から読んでくれ。」
男子B「はい。」
男子B「(ま、いっか。)」
――――――
思えば、長いこと剣を振り続けてきた。
幼少期の記憶は、鍛錬のことばかり。
子どもらしい思い出などない。
苦節30年。
脇目も振らず、ここまで走ってきた。
戦いに明け暮れる日々だ。
己の剣がよりよい平和を切り開く。
そう信じて振るい続けているが、あまり実感はない。
時には、剣豪と呼ばれる敵を斬ってきた。
彼ら、彼女らの強さの裏には、確固たる信念があったはずだ。
しかし、私にはない。
道がこれしか無かっただけのこと。
これからもそうだろう。
時々、ふと考える。
私に剣以外の選択肢があったならば、どうだっただろうか。
もっと違う人生を歩んでいただろうか。
少なくとも、
私に異名などついていないだろう――




