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闘神 VS 雷神

 直人が駆け寄る誾千代は刀を杖にし、ふらつきながらもなんとか立ち上がる。

に肩を貸そうとする直人に彼女は手をかざし、それを止める。


「直人、私から離れろ!」

「離れろって、お前何する気だ?」


 次の瞬間、誾千代の体が発光し、全身に雷を帯びる。


「誾千代、それは……?」

「今の私に触れると、感電して死ぬ、戦いに巻き込まれぬよう下がっていろ」


 誾千代は雷を体内に流し、体の表面と武具にまとう、脳内の電気信号を操り、筋肉の抑制をはずし、瞬発力強化物質(アドレナリン)集中力強化物質(エンドルフィン)を最大分泌させる。


 今の彼女に触れた者は感電し、その刀で斬り裂かれたものは内臓に直接雷を叩き込まれることになる。


 筋力は今までの比ではなく、瞬発力も集中力も今までとは比べ物にならないほどに上昇している。


 誾千代が床を斬ると数メートル先まで衝撃波が走り、床に巨大な裂目が生まれた。

そして彼女は挑発的な声で言う。


「父はこの状態を雷神化と呼んでいた。その名のとおり、今の私は雷神そのもの、今の私と戦うということは、この力に真っ向から挑むことになるが、先ほどのお前の言葉をそのまま返そう、負けを認めれば楽に殺してやるぞ」


 不敵な笑みに忠勝は口元を緩ませる。


「おもしろい、ならばその力……」


 忠勝の殺気が空間を飲み込む。


「叩き伏せてくれる!」

「立花家城主、立花誾千代、参る!」

「徳川四天王が一人、戦国最強、本田平八郎忠勝、いざ参る!」


 忠勝が槍を構えた瞬間、視界から誾千代が消える、彼女の気配を感じたのと同時に忠勝は腹部に強い衝撃を受けた。


 誾千代はすでに忠勝のふところに入っていたのだ。


「速い!?」


 忠勝は急いで体勢を整えようとするが誾千代の攻撃が切れ目無く放たれ、忠勝を翻弄する。


「おぉおおおおお!」


 忠勝は叫ぶと全身の力を解放し、誾千代を殺しにかかる。


 二人の戦いの衝撃は廃ビルの床や壁にヒビをいれ、炸裂音を辺りに轟かせる。


 誾千代が雷神ならば忠勝は鬼神、それは二体の神よる争いのようにも見えた。


 全身に光りをまとった誾千代はまるで敵を貫き葬り去る閃光のようだ。


 速さでだけなら確実に忠勝を上回っている。


 忠勝が徐々に押され始めた。


 それでも技術と筋力は忠勝がまだ上回っている、忠勝は足りない速力を技術と力、そして射程の長さで補い、誾千代と戦う。


 確かに誾千代の攻撃はある程度当たり始めている、しかしどれも忠勝に決定的なダメージを与えるようなものではない、彼の全身を覆う超重量の鎧が全ての攻撃を遮断してしまうのだ。


 唯一、素肌を露出している場所は顔だが、顔は人間が最も警戒する場所、今の誾千代の速力でも攻撃を当てさせてくれるとは思えない。


 ならば残る方法は一つ、忠勝の鉄壁の装甲を貫き致命傷を与えるほどの攻撃を放てばよいのだ。


 あの英雄、義経の攻撃を押し返し、そのまま後ろの橋ごと義経を斬り伏せた誾千代の奥義、雷霆破斬(らいていはざん)りだ。


 誾千代は忠勝の槍をかいくぐり、確実に当てられるスキを探す。


「どうした誾千代、貴様の実力はこの程度か、これしきの力で某を倒す気でいたのか!」


 忠勝のやや大ぶりな斬りが飛んでくる。


 誾千代はそれを受け流し、槍の先端を自分から大きく離すと今までにないほどの雷を刀に流す。


 雷を流したことにより刀は雷と共に高熱を帯びる。


 金属は本来、熱するとやわらかくなるが適度に熱すれば逆に強度が増し、頑丈になる。


 カッターやナイフをコンロであぶると良く切れるようになるのはそのためだ。


 誾千代の刀は硬く、雷と高熱を帯びた最強の刃へとその存在を昇華させる。


「雷霆破斬!」

「甘い!」


 忠勝は槍を一瞬で切り返し、誾千代の刀に槍の刃を当てる。


「なっ……私の攻撃を予測していたのか!?」

「わざとスキを作ればそこに直線的な大技を放つは必然、真っ向からの力勝負なら某に敵は無い!」

「……っ……!」


 互いの全力の一撃がぶつかり合い、互いの刃は火花を散らし押し合う、単純な筋力なら忠勝のほうがわずかにだが上回る。


 しかし誾千代の刀は世界最強レベルの破壊力を持つ兵器、忠勝の持つ名槍、蜻蛉切りは刃先に止まっただけで蜻蛉が真っ二つになったという伝説をもつ妖槍、槍は主を勝たせるためにその霊力をぶつけるが誾千代の刀にその霊力を崩され徐々にダメージが蓄積する。


「蜻蛉切りが、押し返される!?」


 忠勝は驚愕し、自らの愛槍を凝視する。


「いけえぇ! 誾千代ぉおお!」

「はぁあああ!」


 直人の叫びに応えるように誾千代は叫び、忠勝の槍を押し返そうとする。


 蜻蛉切りはもう限界だ。忠勝はこの一撃を受けることを覚悟し、次の手を模索するが。

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