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お姉ちゃんのスイングはみるみる上達していき、それに対応してクラス内のヘイトはみるみる上がっていった。彼らの心中にあるのは「女のくせに、野球部でもないくせに。上手いからって調子に乗りやがって」だったと推測している。
もちろんお姉ちゃんは全く持って調子に乗っていなかった。むしろ「私の限界かもしれない」「これは、もう無理かもしんない」などといった不安を感じさせる弱音が増えていた。
それが僕には強く見えた。だって、まだ、あんだけ頑張って、上手くなったのに何を不安になるのだろうと、まだ「成長」を求めているのだろうかと、そう思わせたからだ。
「でも、結局、私は上手くなるんだけどね!」
お姉ちゃんはバットを磨きながら、よくそう言っていた。
というか、先生は何をしているのだろう。担当の先生はもちろん、周りの先生は現場を見ていたはずである。隠蔽ってやつだろうか。それともただ面倒くさいのだろうか。
僕なら、そう考えることが増えていた。お姉ちゃんの仇と言ってボコボコにできたら。
そうはできないのは分かってる。自らの非力さを恨む。僕にできることは何かないだろうか?そう考えながら、考えるだけで何もできなかった。
そうして1年が経った。