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1話 『素数を数えて』

感想ありがとうございます。

すごく分かりやすかったです。

 ありえない、ありえないありえない。

目の前にいるのは、赤い小鬼。着ぐるみや人形ではないと実感させる恐怖が湧き上がってくる。


 とりあえず、お、落ち着かないと。素数を数えると落ち着けると聞いたことがある。


「2、3、、5、7、、」


 素数を数えつつ、こいつは赤いけどゴブリンだよなぁ?と思った。


 ふざけているつもりは毛頭無く、単に動揺からでた言動だったのだが。事態は悪い方に傾く。


「グゲェェェ!!」


 刹那、9、9は素数じゃないな、と。

そう考えた瞬間、小鬼は尖った石をこちらに差し向けていた。


「うわぁぁぁぁっ!っっっ」


 慌てて手で守りの姿勢を作ってしまったことを、すぐに後悔する。避ければよかった。


 後悔もつかの間。構えた右の手からは反対側から刺されたであろう石の刃が、手を通り抜けてキラリと光った。


「いでぇぇぇっ!痛ッ!?えっ??痛ッ!ァァ」


 全力で石の刃を引き抜いて、小鬼を左腕で振り払った。


 打撲はあっても、骨折はしたことがない。今までで一番痛かったのは彫刻刀でしくじったときだった。これは余裕で更新してきた。


 血がどくどくと流れ出て、小鬼はニタニタと笑っている感じがする。ありえないくらい痛い。


 左手で右手を抑えて、逆に痛みで冷静になった頭でどうしたものかと考える。



 俺は小説を読む方だと思うし、この手のジャンルを読んだことはあった。失念していた


 ゴブリンは大抵、集団で行動する。


 ガサッ――と上空から音がした。見上げると、木が真上にあったようで、そこにはまさにジャンプ攻撃中のゴブリンの姿があった。


 避ける隙なく、頭上に鈍い音と感触がくる。遅れて激痛。頭が揺れて、立っていられない。


「ケゲッキィキィ!」

「ガァァァグキゲッ」


 ―――意識は、ある。むしろ覚醒したと言うべきか。

 急に思い出した。その日の放課後、何があったか。




「じゃ、また明日な」

「うん、また明日」


 ごく普通の、日常の、学校終わりの帰宅中、瞬きの次にはそこに、生物とは格が違う、「何か」がいた。

いや、今思うと「何か」がいる場所に、俺が呼ばれたのだろう。


「心して――聞け――――これから――異なる世界――力は――解放して―――――」




 ほとんど思い出してねえじゃねえか!


 セルフツッコミを交えながら、ゴブリン共に気付かれないようゆっくりと立ち上がる。左手を付き、右手を付き、地面を抑え―――


 ―――右手が、ある。


 いや、正しい表現ではなかった。しかし、貫かれたはずの右の手は、何事も無かったかのように。傷一つ無く、平然とそこで機能していた。


 俺の力――――?


 考えるより先に行動する。その言葉が脳裏をよぎり、飛び上がって左のゴブをぶん殴った。


「オラァッ!よくもやってくれたなゴラ!」


 急に起き上がったことに驚いたのか、隙だらけの右のゴブを続けて殴る。


「頭も痛くないな。何が起こった――?」


 状況を再確認したい。体制を崩したゴブリンから距離をとりながら考える。


「力、解放――。回復の力を俺が使った―のか?」


 分からない事が多すぎる。が、一つ思ったことを口にする。


「ゴブリンは2匹、他のを呼ぶ気配はねぇときた。で俺には謎の回復能力がある――(多分)」




「かかってこいやクソザコ共!!」


 その時の俺のテンションは明らかにおかしかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  打撲はあっても、骨折はしたことがない。今までで一番痛かったのは彫刻刀でしくじったときだった。これは余裕で更新してきた。 こちらの表現は読者にも伝わりやすくて良いと思いました。 [気にな…
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