冒険者ギルド
はあなんとかギルドでの初日を書き終わった。
(魔術師組合から見てここの領主邸の反対側の区画にあるのか。)
シェノスとネイサーはしばらく歩き冒険者ギルドへと向かう。そしてギルドへ着くと扉を開き中へと入ってゆく。周りからは高価な装備に対する嫉妬の視線や、強者を推し量ろうとする鋭い視線や興味の視線など様々な感情の波が押し付けられてくる。シェノスは興味ないと言わんばかりに受付の方へと向かう。
「冒険者登録をしたい。」
「かしこまりました。では登録料金の銅貨5枚ですので用意してお待ち下さい。」
(しかしやはり読めないな。これは本格的に翻訳機能を持った眼鏡型のアイテムを持ってくるべきだな。依頼が書いてあるいわゆるクエストボードはあるが読めなければ意味がないからな。)
「おい、なんだよ。あの装備スゲー高級品だなー。」
「どうせ貴族か商人のボンボンだろ?」
「全く生意気だな〜」
「新入りのくせに。」
と周りの冒険者からは随分なものいいだった。
あーまじテンプレだわ〜とシェノスは思った。
「ではギルドについて説明します。まず…」
それから冒険者ギルドについての説明が始まった。
ギルドについて簡単に言うと
・冒険者にはランクというものが存在し下から順に、D→C→B→A→AA→S→SS→Xと上がっていく。
・基本的に国家に属さない組織であるため国からの依頼には受け付けない。ただし個人の場合依頼は認められる。
・冒険者同士のトラブルは殺人などの重大な事件を除き決闘により決める事ができる。(窃盗は決闘に基本含まれない)不正に関してはギルドから調査が入る。
「ではこれが冒険者のDランクカードになります。他に何か質問はございますか?」
「いや今のところはない。」
そう言うとシェノスは宿を探しにギルドを出ようとする。すると男が前にやってきて、
「おい!お前みたいなボンボンが来れるほど冒険者は甘くねぇんだよ。登録なんかしやがって。帰れ。」
「お前は誰かな?見たところ弱そうだが、小物な感じがプンプン匂うんだが?」
するとその男は激怒し、
「おい!小僧。誰が弱いだって⁈このSランク冒険者のゴードン様と知って口聞いてんのか?」
それに対し、
「くだらない。仮にお前がSランクでも私から見ればお前は弱い。それに他人に突っかかる時間があるなら鍛錬でもしたらどうだ?それにさっきよりも小物な感じがすごいんだが?」
「き、キサマ!この俺を愚弄するのか!いいだろう。冒険者の厳しさを俺自ら教えてやる。オイ、決闘だ!いいよな?逃げるなよ?」
「断る、くだらない。」
「きさま、散々愚弄した挙句逃げるのか!」
「そもそも私にメリットがない。そんなものは受けん。」
「なら何が望みだ?」
「そうだなお前よりも圧倒的な勝ち方をすれば私を即座にSランクにしろ。」
「なっ⁈」
「無理ならばやめだ。」
「そんな事できるわけないだろ!」
とゴードンがいい、ギルド内が騒がしくなると、
「構わん。」
「「「「「っ⁈」」」」」
声のした方を向くとそこには1人の男がいた。
「ギ、ギルド長⁈」
と受付嬢が驚いていると
「よし、せっかくだその決闘私が見届け人をやろう。それにSランクまでならギルド長の推薦枠が一つまだ残ってるからな。」
SIDE ゴードン
(なんなんだあいつは!冒険者を舐めるような高級品を着てやってきやがって!挙句の果てにはこの俺を圧倒するとか抜かしやがって絶対に後悔させてやる。この俺様がギルド内でのエース級冒険者だと言うことを教えてやる。)
やつの態度を思い出すたびに腹が立ち、つい不機嫌になりながら決闘場へ向かう。
「ふん、逃げずにきたな。」
「逃げる必要がないからな。」
このやろう!絶対後悔させてやる。
あの野郎上から物を言いやがって何が俺のために決闘を受けてやっただ!ふざけるな!絶対叩き潰す。
「では、私が審判を務めさせてもらう。殺人行為を行おうとした場合は私が強制的に止めるので覚悟しろ。最悪は除名もするからな。では、はじめ!」
先手必勝だ。俺は奴の目の前へと迫り戦斧を降る下ろす。やつは反応すら出来ていない。
(なんだ、やはりただのボンボンか。)
と俺は嘲笑の笑みを浮かべた。
(ふん。これで奴の負けだ。……ん?手応えが無いな待て⁈奴がいない。どこだ⁈)
「どこ見てんだ後ろだよ。」
奴の声が後ろからした。
(有り得ない!)
俺は驚愕した。そして焦り出す。
「く、くそ。」
そのまま戦斧を何度も奴に向かって振り下ろす。
が…全く当たらない。
突如として奴の姿が消える。そしてものすごい衝撃が体に走る。俺は気を失う。その時奴の言葉が思い出された。
(『お前は弱い』)
あぁそうか。舐めて、実力を測れなかったのは俺の方か。
SIDE シェノス
(しかし、こんなにうまくSランクになれるような言質を取れるとはな、スゲーラッキー‼︎そのためにはまずこのゴードンとやらに圧勝しなきゃならんな。)
まずシェノスはゴードンを煽ることにした。
「おい、こっちはお前のために決闘に来てやったんだ。はやくしろ。」
と言い放ち、そして顔を真っ赤にしているゴードンを見て
(あ、怒ってる。怒ってる。)
と思いつつシェノスはゴードンのステータスを確認する。
([沈黙化魔法神威の見解]なるほど、レベルは44か。この世界で言う英雄に達している訳ではないか。しかし第13位階の魔法を使わないとクロスアドラーのシステムでレベルを測れないのは少し面倒だ。本体でのMP消費は微々たる量だが、アバターだと第3位相の魔法のMP消費は馬鹿にならない。そうだ一応[沈黙化魔法鑑定]。やっぱりな、レベルで鑑定結果が出ない。これはこの世界独特の尺度かも知れないな。しかし“格度”だって?なんだこれは?見た所“格度の数値≈レベル×4”くらいだな。しかし後でいろいろと検証する必要があるな)
実際神威の見解ではレベル44と出るが鑑定を使った場合には格度180と出たため。シェノスはこの誤差を装備による若干のズレではないかと予想を立てた。
そうこうしているとギルド長の開始の合図があった。
ゴードンはこちらに勢いよく接近してきた。しかし、いくらアバターでありなおかつバランス型とはいえレベル160であるシェノスからはまるで止まって見える程遅い。そしてゴードンの戦斧を当たるか否かの既の所でかわし後ろに回る。そしてさらにゴードンを挑発する。ゴードンはさらに戦斧を何度も振り下ろしてくるが、その全てをかわす。そして最後に後ろからゴードンの体に平手で衝撃を与えるように叩く。
(なんか意外とあっさりと終わったなー。しかし、レベル44ってこんなに弱かったけ?)
それはこの世界の人間は自分の好みで経験値を割り振れないため、いらない職業を取得してしまうからである。
(このアバターもなかなか使えるな。少し身体が鈍い気もするけどそれは本体よりステータスが低いせいだな。まぁいいかこの世界ではまず人間で100レベルを超えるやつはいない。不便さを感じるような敵との戦闘はないだろうからな。)
「それまで。勝者カリブ。」
「「「「「…」」」」」
見物に来ていた冒険者たちは目を疑い言葉を失った。なぜならこの決闘はゴードンが圧勝して終わる筈であり皆それを疑ってなかった。しかし結果はその逆。それも子供と一流の戦士との差以上の差が2人の間には存在しているようだった。
「さてとギルド長、私は合格かな?」
「今のを見て不合格と言える奴はいないさ。それにしてもお前さんどんだけ強いんだ?今の動きは英雄級のやつでも不可能だろ。もしかして使徒級の強さなのか?」
「それは想像にお任せするよ。じゃあね。」
「明日までにはSランク証を作っておくからな。」
「わかった。なら今日のところは宿に戻らせてもらうよ。」
そう言い残すとシェノスはギルドを出て行った。
〜その後〜
「見掛け倒しじゃなかったな。」
と1人が口を開くと、
「また俺たちを抜いて行きそうなすげぇやつがきたな。」
「いや、もうあいつはSランクだろ。もう抜かれたよ。」
「あの装備に見合うだけの実力があるって事だろ。」
と周りの冒険者達がカリブという男について話していると、
「ギルド長!」
1人の後衛が焦ったような感じで走って来た。
「奴の格度はいくつだった?」
とギルド長が問うと、
「分かりませんでした。」
と答える。
「何?情報系魔法に対し対策でも施しているのか?」
とギルド長が怪訝そうになると、
「分かりません、しかし少なくとも300はあると思います。」
と断言する。なぜなら推定300以上と魔法の結果が出ていたからだ。
「何⁈」
「さ、300って」
「マジか、使徒級じゃねえか。」
と周りのが騒がしくなると、ギルド長は
「黙れ!すげえ奴がまだ世界にはいたことがわかった。それだけだ!いちいち狼狽えるな!」
とギルド長は怒鳴った後、
「奴のためにまず冒険者証を作らなきゃな」
と言い残すとギルド長室へと戻っていった。
しかし、ギルド内はまだカリブという男の話題で持ちきりだった。
更新は不定期です。
あといろいろネタが欲しいのでいろんな案があったら感想欄で意見下さい。