大都市
やったシェノス様街に来た〜
(しかし、あれから二か月くらい経ったがクレイ君の魔改造くらいしかこの世界ではまだ成した事がないな。いやまぁ小人の銀行でゲーム時代の金貨を増やしたり、アイテムの生産や複製は死ぬほどしたか。しかし、あの後[シーカーコネクター]でいろいろ調べたが、この世界では一般に聖遺物級や遺産級でも金貨数千くらいの価値があり下手すると一万枚を超える事もあるくらいだからとりあえずそれより下の上級や中級レベルのアイテムを売れば金には困らないはず。)
そう考えているうちに山脈の大都市ジオステレオスに近づいてきた。
「シェノス様これからのご予定は?」
シェノスの側にいるのは第3階級の150レベルNPCのネイサーである。
「待て、私の名はシェノスではなくカイブだ。まったくこの場で真名を言ったらわざわざアバターで来た意味がないだろう。」
「申し訳ございません!」
「次から気を付けろよ。」
「はっ!」
「そしてクレイも私のことをカイブまたは師匠と呼ぶように。」
「分かりました。」
「さてあれが関所であり門番か。」
「お前は何をしにこの都市に来た?」
「私たちは長らく旅をしていてな、ここで冒険者をしながら今後の旅について考えようと思ってな。」
「わかった。その装備はかなりの高級品だと思うが?」
「何旅の途中にある遺跡などで手に入れたものだよ。」
「わかった。念のため犯罪を起こしたことはないな?」
「ない。」
「…無いようだな。よし、ジオステレオスにようこそ。通ってよし。」
(あれは真実の天秤か。ゲーム時代はただの鑑定だったはずだが、フレーバーテキストの内容が反映されるこの世界では嘘を発見できるようになったわけか。)
「ありがとう。後魔術師組合はどこだ?」
「何?冒険者ギルドではなくか?」
「いやなに、旅の途中で手に入れたアイテムを売りたくてな。査定してもらいたいんだ。」
「なるほど、そういう事なら、街の中心部にあるぞ。」
「わかった。」
「これから師匠はどうするんですか?」
「まずはアイテムを売ろうと思う。この世界では金が私たちが使っていたものと違う様だからな。」
(ゲーム時代は金貨が1番下の元となる貨幣でその後順に白金貨、黒金貨、神金貨、そして龍星金貨となっていて、それぞれが100枚で上位通貨一枚となっていたからな。まぁこれは様々な錬金術師のスキルを使う時に触媒として神金貨など通貨が必要だったからあったシステムでもあるわけで。だけどこの世界では白金貨が最高でありその代わり銅貨や銀貨がある。これでは錬金術が発達していないのも頷けるか。)
ちなみに、アングート内の城にある7階層型のダンジョン金庫には第六階層全てが龍星金貨と神金貨に埋もれている。これはスキルの使用を楽にするためであり、逆にそれ以外の通貨は余り数がない。それでも階層内の一区画にぎっしり詰まっているが。
(それにしても白金貨は国庫にしか普通ないから、金貨が事実上の最高通貨なんておかしくね!だったらもっと増やしとくのにさぁー。いやーでも、金貨もゲーム時代とは違うから結局は無駄か。まぁとりあえずは金が必要か。)
「そうだなネイサーも街を見てくるといい。換金は私の方でやっておこう。」
「お待ち下さい、なぜこのような未開の地で御身から離れねばならないのですか。私が離れればいざという時御身の身代わりとなれないではないですか!」
(いやだからアバターで来てるんだから大丈夫だろ!)
〜時は数日前〜
「私は一度この国に行ってみることにする。」
「近衛兵の準備はいかがなさいますか?」
「ラノエルよ、目立たないようにするのにそんな事をしてどうする。そしてディアスよ、貴様はどう思う?」
「私は最低限一人は共を連れて行くべきだと思います。確かにシェノス様はこのアングート天空界で最強の存在であらせられます。しかし、我々の支配者であらせられる御身を守り仕える事もまた我々の使命であり存在意義でもあるのです。」
「わかった。わかった。そうだ、ならばこの世界の存在に我々の力に関する虚偽の情報をつかませるために、私の神域の操人形師の最終スキルである神の化身を使うというのは?そして近衛の者もレベル150の者にするのは?」
「確かに素晴らしい策かと思います。しかし念のためシェノス様の第六位相の力で防御能力だけは高めていただきたいと具申いたします。」
「わかった。そうしよう。」
「わかった。しかし考えなしに行動はするなよ。なんとしても今はアングートのことがバレてはいけないのだ。」
「はっ。シェノス様。」
「だから、今の私はカイブだ。」
(はぁ〜疲れた。帰りたい。いや待てシェノス君はやればできる子なんだ。気合い入れていけ。)
とシェノスは一抹の不安を覚えながらも魔術師組合の建物へと入っていった。
「当魔術師組合にようこそ。ご用件を伺ってもよろしいですか?」
「手物のアイテムをいくつか売りたい。そこでアイテムの査定をお願いしたいのだが、良いだろうか?」
「かしこまりました。では、此方の札をお持ちになってお待ち下さい。」
「分かりました。」
そしてシェノスは椅子へと戻り座る。
(しかし読めんな。アバターじゃなくて本体だったら読めたはずなんだが、仕方ない。沈黙化魔法書物記号理解)
札には四という文字が書いてあった。
「私たちは四番か。さてネイサーよ、今日はとりあえずアイテムを売った後冒険者登録をして宿を探すぞ。」
「かしこまりました。」
(しかしクレイのことが広がると面倒だな。何とか短期間で上位冒険者にならないと動き辛くなるな。最悪の場合は自作自演をするしかないか。あまりやりたくはないがな。しかし…)
とシェノスが考え込んでいると、
「四番の方いらっしゃいますか?」
と受付の声が聞こえてきた。なのでシェノスは受付のもとへ行くと、そのままある小部屋へ入る。
「では今回鑑定を担当いたしますベリアと申します。では、早速ですか査定されるアイテムを見せていただいてもよろしいですか?」
「わかった。今出そう。」
とシェノスはマジックアイテムである鞄から幾らかのアイテムを取り出す。
「アイテムサックをお持ちなのですか⁈」
とかなりベリアは驚いたようだった。
「いや、これは今は亡き父の形見の様なもので重宝しているんだ。」
「そ、そうですか。」
「さて今回さてしてほしいアイテムはこれらだな。」
そういうと、シェノスは上位アイテム3つと遺産級のアイテムを1つの計4つのアイテムを取り出し並べた。
「かしこまりました。魔法具鑑定。こ、これは!」
「なかなかなアイテムだろう。」
するとベリアはかなり冷静差を失った様子になり、
「し、失礼ですが、これらのアイテムはいったいどちらで?」
「長く旅をしている身でな、これはこれまでで手に入れたアイテムなんだよ。」
「わ、分かりました。少々お待ちください。」
と言うやいなや部屋を出て行ってしまった。
〜しばらくして〜
「私が魔術師組合の組合長アストン=カラル=セトノスだ。君かな、この強大な力を秘めているアイテムを売りたいという人物とは?」
「ああ。」
「一つ聞くが盗んだ物では無いな?」
とアストンは威圧しながらシェノスに問う。それに対しシェノスは少しうんざりしながらも旅の途中で手に入れたものだともう一度説明する。
「なるほど、私の威圧に全く動じないのであれば此れらのアイテムを持っているのは頷ける。」
事実アストンは昔はかなり有名な冒険者パーティーのメンバーであったため、並の者ではその威圧に耐えられない。この事から考えても、シェノスは犯罪に手を染めてアイデムを手にした訳では無いと証明された。
「それで一体どれくらいで買い取ってもらえるのかそろそろ答えて欲しいのだが?」
「今現在の査定で出た額は最低でも金貨21000枚だ。」
「それは合計でか?」
「そうだ。」
「この私が言うのもなんだが、高くないか?精々18000くらいだと踏んでいたんだが?」
「確かに物としての額はそれくらいだが、いかんせんこの様なアイテムは数が少ない。故にいくらか高くなっても手に入れたいというのが我々としての心境なのだよ。」
「なるほど。ならば例えばここでしか私が金貨25000枚なら売るといった場合はどうする?」
「あまりこちらの出費を多くしないで欲しいがそれくらいならばまだ許容範囲内だ。」
「ならば25000枚にしよう。」
「了解した。」
するとアストンはあらかじめ持ってきたらしき袋をこちらへ渡してきた。
「ここに白金貨で250枚入っている。確認してくれ。」
「要は最初から金貨25000枚分は考慮していたわけか。まあいい確認しておこう。ネイサー、確認しておけ。」
「かしこまりました。」
「君は貴族の出かい?」
「何故だ?」
「いや、そこの彼女が付き従っているように見えるのでね。」
「そうであると言えばそうだし、違うと言えば違うと言っておこう。」
「否定はしないんだな。」
「した方が良かったか?」
「いや、こちらとしてはなるべく知っておきたいからね。」
「そうだ、この街にそれなりに清潔な宿屋はあるかな?あれば、教えて欲しいのだが?」
「ここらへんだと、シロの屋形というとこらがおすすめだな。」
「わかった、行ってみよう。」
「確認終わりました。」
「わかった。それと二枚分だけ金貨にしてもらえないだろうか?このままでは使いにくいだろ?」
「換金なら受付でできる。」
「そうか。じゃあまたな。」
その後換金し冒険者ギルドへシェノスたちは向かった。
〜その後の魔術師組合〜
「あの人いったい何者なんでしょうね?」
と問う受付に対しアストンは
「さあな?しかし少なくとも貴族関係かもしくは王族かのどちらかだろう。」
「お、王族ですか?」
「ただあまり街に詳しくないところを見るとこの国の王族ではないだろう。だが、カリブという彼は相当強いな。まるで威圧に動じなかった。」
「アストンさんのですか⁈」
「ああ、少なくとも彼の機嫌を損ねるようなことはしないようにすべきだな。まぁじきに彼が何者かはわかるだろう。」
とアストンは興味を示しながらも静観を決めたのだった。
次回は冒険者編です。
更新は不定期です。