情報収集2
結構きついZ
シェノスは城に戻った後会議場で、情報系魔法を使い周辺の山脈やその向こう側にある街を調べていた。
そしてある程度の距離を調べていると、
(ん、この少年はなんだ貴族のような身なりの良い格好をしている。この世界の文明レベルはおそらく中世レベルだから、もしかすると貴族関係の問題だな。しかし、この少年焦ったいる感じだ。)
その後数百メートルの所には暗殺者らしき人が数名いた。シェノスはこの少年が追われる身であるのは確実だと考え、とりあえずはこの少年を助けこの少年からある程度のここ周辺の国について話を聞こうと考えた。
「ラノエル私はまずこの少年から周辺国家の事を聞こうと思うのだが、どうだろうか?」
「シェノスがおっしゃることであればそれで良いのではないでしょうか。しかし懸念事項があるとするなら、この少年がらみの厄介事に巻き込まれる可能性がございます。」
「ならば、この暗殺者たちの記憶を操作するのはどうだろうか?」
「でしたら大丈夫でしょう。」
「わかった。念のためラノエル貴様は私の側に不可視化の状態でついてこい。もともと貴様が護衛に着くつもりなのだろう。」
「かしこまりました。」
「では行くぞ、世界間転移」
その頃イルナス王国の第二王子であるクレイ=ファンデル=デイル=イルナスは追手から逃げていた。
(はあ、はあ。なんで僕ばかりこんな目に。なぜ兄上や弟たちが僕を殺そうとするんだよ。いや、本当はわかってる。この国では武力や魔法や財政などどれでもよいから力ある王族が次代の王位を継承する。僕は兄上程の武力はないし、姉上程の魔法の力もない。中途半端なんだ僕は、それに武人だった父上から見れば僕なんていない方がましな厄介者なんだ。)
事実王国の王ゼトリラック=カルグ=ロンデル=イルナスは武術や戦争で勝つ力が全てと言う考えを持っており、中途半端だったクレイの暗殺を第二王妃が企んでいる時もあまり口を出さなかったのだ。
(あぁ、母さんに会いたい。なんで病気なんかで死んじゃったんだよ!今考えれば、絶対義母上の誰かの仕業なんだろうけど、復讐しようにも僕には力がない。それに復讐をしても母さんが知ったら悲しむだろうからな。)
すると突然話しかけられる。
「第二王子クレイ=ファンデル=デイル=イルナスだな。」
「ッ!」
「悪いが、恨みはない。だが死んでもらう。」
(ちくしょう!せめて王族でなくてもいいから普通に暮らしたかった。神様いや悪魔でもなんでもいいから僕に生き延びるチャンスを下さい。まだ僕は死なない。母さんの分まで生きなきゃ今ここで僕が生きてる意味がない!)
「その目はまだ諦めていないらしい。だがここで貴様は死ぬ。わかっているだろう。」
「おい!無駄話はするな、さっさと殺せ。」
「わかった。じゃあこの国のために死ね。」
(あぁやっぱり無理か、最後まで中途半端だったなぁ。)
「それは困る。彼に死なれては都合が悪くなってしまうからな。」
そこにはこの世の美の結晶の様な人が空から自分を見下ろしていた。
(まったく、彼を殺すなんてことされたらせっかく情報を手に入れられる機会を失ってしまうではないか。)
そしてシェノスはさも不機嫌ですと言いそうなオーラを放っていた。
「貴様何者だ?」
「そーゆのはいいから。多重化魔法個体停止」
その瞬間暗殺者たちは凍ったように動かなくなった。
「少年、君はこのまま死んでもよかったのかい?まぁ君にはいくつか聞きたい事があるからついてきてもらうけど」
「貴方はいったい何者なのですか?それにこの魔法なんでしょうか?いったいこれは…」
「あー彼らの時間だけ止めたんだよ。あと私が何者かっていう質問だけど、そうだなぁ下手な神を超える者かな?」
「わかりました。では僕はどうすればいいのでしょうか?」
「ん、やけに素直だな。」
「どちらにしろ僕には貴方の言う通りにするしかもう生きる道が有りませんから。」
「ならまずは君に私の拠点に来てもらうがいいかな。もちろんその間の君の安全は保障する。」
「ならまずはラノエル、この少年の身は私の名の庇護下に入る。この意味がわかるな。」
「ならばまずは客人待遇にて城に迎え入れへば、良いでしょうか?」
「そうだな。それではこの少年を城へと連れ帰れ。私はこの刺客たちを片付けておこう。」
「かしこまりました。行きますよ少年。」
「さてと、記憶でも改竄しときますか。記憶改竄。なんだこれ、犯人王妃かよ、しかも国王見て見ぬふりしとるし、クズだな。」
「さてと世界間転移。帰りますか。」
(あの後僕は色々聞かれたけど、殆どが社会の仕組みや世界情勢だった。なんで知らないんだろう?まぁいいや、ひとまずこれで生きている訳だし。)
「少年!君にはお礼をしようじゃないか。出来る限り叶えるから望みを言ってみなさい。」
(この目の前にいる方は、この城の主人である方で名前をシェノス様というらしい。それにしても綺麗だなぁ。)
クレイはシェノスの流れて透き通るような見事な黒髪を見ていた。クレイはこのような美しい人を見たことがなかった。綺麗な髪と整った顔立ちは女神の様であるが、着ている見事な服装が目の前の人物を王者として引き立てている。こんな神話の世界から来たような人物が神話の世界にある見事な、世界のありとあらゆる財を持ってしても作り出すことの出来ない芸術品で固められた様な玉座で天使や数多の人外をまとめている。普通ならば、一人一人が神話の世界の住人であり、生物としての矮小さを理解させられる様な存在を前に恐怖を感じるはずが、見事な玉座の間を前に見入ってしまった。
「おーい少年いやクレイ君。見つめても何も出てこないぞ〜」
「な、なんでもありません。」
(ていうか、露骨すぎない⁈)
「さすがですね。シェナス様は人間をも魅了する。」
「はいはい、もういいから。それでクレイ君の望みは何かな?」
「僕は、自分の身の事は国から狙われても守れるようになりたいです。」
「それは君の事を王妃達が殺そうとしているからかい?」
「ど、どうしてそれを⁈」
(やはり僕を狙っていたのは!)
「いや何、君を狙っていた刺客の記憶をいじるついでに少し覗かせ貰ったから。あと、君は死んだ事になっているから。ひとまずは安心していいよ。それと強くなりたいって事で、いいのかな?」
「はい、僕は強くなりたいです。」
(ん〜彼の場合は俺のGM権限を使ってレベル80までなら何の損失もなく上げられるかな。多少は経験値の宝石を使うぐらいか。まぁ世界級アイテム世界の資源で生産可能な1〜3等級の物を使えば、理想的な種族と職業に振ることが出来るようになるからそうするか。と言うかレベル80は、使徒クラスだよな。まぁいっか。それにしてもクレイ君感謝したまえよ。こんなにすぐ強化してくれる所や、世界級アイテムをこんなに持っているところなんて他に無いんだからさ〜。それにしてもこの世界では『レベルの上限=その人物の持つ才能』とはねぇ〜なかなか酷な世界だ。その上この世界の住人はクロスアドラーではNPC扱いとは、これじゃあまず第四位相クラスのスキルは使えない。プレイヤーが神聖視される訳だよ。全く。さてと始めますか。)
そして、シェノスはクレイの魔改造に入った。
約二ヶ月後
ステータス
名前 クレイ=ファンデル=デイル=イルナス
職業 デュアルウォーリアー lv 15
ウィザード lv 10
ハイウィザード lv 5
ウォーリアー lv 10
ソードマスター lv 5
ファイター lv 10
ロードオブキングダム lv 2
種族 ヒューマン lv 5
ハイヒューマン lv 5
センニン lv 3
合計レベル80
次回からシェノス様異世界の国に行きます。(多分)
更新は不定期です。