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すれちがい戦争~魔王と大名の乱~  作者: 総督琉
六角の戦い
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第69話 ウロボロス

 ーー魔王船内部にて


「アイさん。ウロボロスが甲賀へと攻め行ってしまいましたが、大丈夫なのですか?」

「許可はした。実際、今最も権力を持っているのは魔王ではなく我々七名の災厄(セブンズヘル)だ。だから魔王にこれ以上動くなと言われようとも、そんなのは無視して構わんぞ」


 アイの発言に鷲の頭に龍の羽を生やし、蛇の尻尾を構えた魔族ーーグリフォンは苦笑する。


「了解ですよ。にしても、残りの七名の災厄(セブンズヘル)は四名。してやられたってことですね」

「それにこの定例会議に出席しているのが我々二人とは、終わってしまったものだな」

「ティーターンは勝手にどっか行っちゃうし、ウロボロスは今甲賀(こうか)を潰しに行ってるし、全くどうなっていることやら」


 グリフォンは遠くを見て、虚ろな笑みを浮かべた。

 どれだけ大きな軍勢でさえ、いとも容易く落とされる。それは仲間割れであったり、裏切りであったり、そして、仲間意識の薄れであったりと、様々な形で軍とは崩壊していくものだ。

 そんな中で、既にアイは魔王軍の行き先を静かに眺めていた。


「まさか殺した魔王が生き返り、自分から魔王軍を壊しに来るとは、これは恐ろしいな」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「武士琉。まさかお前の言葉通り、魔族が攻めてきたのか」

「はい。それも……恐らくあの龍は相当強いでしょう。そもそもあの龍に攻撃する術がない」


 武士琉は空に浮かぶ巨大な龍ーーウロボロスに頭を悩ませていた。

 だがしかし、服部半蔵は手裏剣をとって龍へと投げる。腹には届かない。そう思っていたが、思いの外手裏剣は腹を貫いて龍に雄叫びを上げさせる。


「武士琉。あの化け物は()()に任せておけ」

「我々?」


 服部半蔵の背後には、何人もの忍がいた。


「伊賀甲賀流忍術、藤原千方(ふじわらのちかた)

「甲賀流忍術、猿飛佐助(さるとびさすけ)

「伊賀流忍術、百地丹波(ももちたんば)

「伊賀流忍術、藤林長門守ふじばやしながとのかみ


「「「「我ら四人忍者、」」」」

「そして筆頭、服部半蔵」

「「「「「我が忍術にかけ、敵を撃つ」」」」」


 五人の忍はそれぞれの武器を持ち、空に浮かぶ巨大な龍を眺めていた。


「では、行くぞ」


 その掛け声とともに藤林長門守は遥か上空に浮かんでいるはずの龍へと猛烈な蹴りをいれた。その一撃で龍は泣き叫び、雄叫びのような悲鳴を上げた。

 そして第二撃と続くように、猿飛佐助は龍の目にクナイを投げて視界を封じた。

 更に第三撃、百地丹波は腕を巨大な大砲へと変えると、そこから何発もの砲弾を龍へとお見舞いする。さすがに効いているのか、龍の高度は下がってきている。

 そして第四撃、藤原千方は一つの拳で剣を十本、それを二本の手でやって二十本の剣を握る。その剣を一本ずつ龍の体へと投げ、龍は血を吐き出して木々が血にながされ折れる。

 そしてとどめを刺すように、服部半蔵は刀を抜いた。


「虚影一閃」


 龍の体は真っ二つに斬られ、死んだーーはずだった。


「輪廻転生」


 龍は一瞬にして再生し、神々しいまでの体を輝かせて再び空に浮かんでいる。


「お前ら。わしに傷をいくらつけようとも、痛くもかゆくもないわい。さあ来い。ここからは本気で戦おうじゃないか」


 一瞬だ。

 いつも形勢とは、一瞬にして崩壊してしまう。

 だからこそその時の絶望は、計り知れないのである。


「武士琉。先に行け。我々が相手をしている間に逃げろ。ここは甲賀。忍の里だ」


 武士琉は走り出した。

 故郷を必死に護ろうとする彼らの横には、自分が並ぶのはおこがましいと解りきったのであった。

 武士琉は走って逃げていると、少年の姿をした一人の魔族が目の前に現れた。


「やっほー。おいらは魔族大名のテスラー。武士琉君。殺し合おう」

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