表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すれちがい戦争~魔王と大名の乱~  作者: 総督琉
六角の戦い
63/76

第62話 警戒体制

 魔族が森に入ってから数分も経たずして、石田軍は既に二重の陣を引いていた。


「一成様。確認できるだけでも、千ほどの魔族がこの山に侵入している模様です」

「とうとう奪いに来たか。この城を」


 一成は刀を抜き、馬に乗ったまま後続の兵たちへと喝と飛ばす。


「これより、魔族大名アクリスの率いる軍を殲滅し、魔王への傷の第一歩とする。さあ、進軍せよ」


 一成が勢いよく馬を走らせるのに連なり、後続の兵たちはその足で山の中を駆け抜ける。たった一人で圧倒的先陣を進む一成を見送り、兵たちは既に一成を見失った。


「これぞ暴君ですか」


 一成が進んだ道には、魔族の死体があちらこちらに転がり、何体もの魔族は体を吹き飛ばされて叫び声をあげる。

 それを遠きに聞き、兵たちは勝利を確信しながら足を進めていた。

 それを城の中から見ていた三成は、確信をして一人馬で山道を駆け抜ける。


 その頃、二成は裏から攻めてくる魔族からの守備を担当していた。


「お前ら。今こそ魔族を打ち倒し、魔王への傷のために進めぇぇええええ」


 二成が手を振り下げるとともに、大砲が山の中で響き渡る。魔族は跡形もなく吹き飛び、弾薬がなくなると、二成は刀を抜いて走って山道を駆ける。

 二成は襲いかかってくる魔族を次々に刀で斬り伏せ、前線を少し前へと押し進めた。


「よし。前線はここで維持だ。何かあったらすぐに報告をするように」

「了解です」


 小幡信世の視線を受けながら、二成は馬を走らせてさらに前線へと向かう。その理由とはーー


「すまんな。少し遅くなった」

「やっと来たか。二成」


 二成は馬を止め、馬に乗った一人の男の前で動きを止めた。

 視線を自ずとその男へ向ける二成。その男の名はーー


「三成。こんな戦いの最中、俺を呼び出してどうした?」

「君にはここで死んでもらうよ」

「は!?」

「二成。前田忠康を殺したのはね、俺なんだよ。真横を歩いている忠康の脳天目掛けて、真横から打ち抜いたんだよ。さすがに忠康も驚いていたみたいだけどね。あれはまじ爆笑したわ」

「何を……言っている!?」


 二成は蒼白した表情をし、強く握りしめていたはずの刀を地に落とした。


「ごめんね。でもさ、俺が石田家当主になった場合、逆らうかもしれない勢力を潰さないと石田家を独占できないだろ。だから仕方なく二成には死んでもらうことにしたよ」

「ふざけるな。じゃあ三成は何もしていなかったのか?」

「当然だ。だが多くの者が三成を疑ってくれたおかげで、容易に魔族を山へと入れることができた」

「まさかお前……」


 先ほどまで蒼白していた顔が、一層青ざめていく。

 全ては一成の手のひらの上。何もかもが、一成の予想通りだった。いや、計画通りだった。


「ふざけるな。お前は、仲間を何だと思っているんだ」

「自分以外は必要ない。それだけだよ」


 一成の発言に堪忍袋の緒が切れる二成。

 二成が刀を拾おうとした途端、背後から小幡信世が現れた。


「小幡、聞いてくれ。一成が……」


 言葉を吐き出そうにも、出たのは赤い液体のみだった。

 腹には熱い感覚が広がり、そのまま痛みで馬から転がり落ちた。ところどころの骨が折れ、絶望の中で頭を仲間であるはずの小幡に踏まれる。


「魔族への内通者は一成だけではない。もちろん僕もさ」

「信世……」

「今までお世話になりました。けど、そんなに楽しい人生じゃなかったよ。だからここでいっそのこと全て終わらせてやるのさ」


 小幡は自然と一成の横へと並ぶ。


「一成。これであとは三成だけですね」

「あいつは戦闘においては素人だ。だから放っておいても死ぬだろう」

「ですね」

「じゃああとはお前の首を跳ねればおしまいかな」


 一成は刀を抜き、転がる二成へと歩みを進める。


「せめて安らかに死ね。石田二成」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 山道を必死に駆け抜けた三成が発見したのは、血を纏って転がった二成の首であった。


「全部……遅かったんだ。せめてもう少し速く行動していれば、せめてあと少し速く気づいていれば……」


 後悔と苦悩。


「二成。安らかに眠れ」


 三成は二成へと拝んだ。

 と、そこへ、兵が数人その光景を目撃した。


「まさか三成様が……二成を殺した!?」


 その情報は一瞬にして兵たちの中へと広まった。

 怒りは魔族、そして三成へと向いた。


「一成様。さらに予想外なことが起きていますね」

「ああ。終わりだな。三成も」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ