第61話 西へ
斎藤道三の城で起きた謎の爆発。
武士琉は明智光秀との会話によってできた心のモヤモヤを抱えながら、ひたすら西へと進む。
「確かあそこは景色や城から察するに美濃。ならば西に進めば北近江国が見えてくるはず。急がねば、魔族大名を狩らねば、また犠牲者が増える一方だ」
その頃佐和山城では、警戒体制がしかれていた。
もしかしたら魔族でも侵入している可能性がある。だからこそ兵は提灯を持って山を徘徊するも、前田忠康以外誰一人として未だに犠牲者は出ていない。
「一成様。やはり外部の者の可能性は薄いですね」
「そうか。ならばまず外部の者によって殺されたと言った者が最も怪しいな。誰だったか?」
「三成様です」
「なるほどな。三成には気をつけろ。奴こそ敵である可能性が高いからな」
真夜中に駆ける一成の兵たち。
彼らは三成が敵だと確信し、なぜかこんな真夜中に一人で山を彷徨く三成を監視する。
「なぜこんな真夜中に一人で?」
「恐らく一成様の首を狙っているのだろう。もしくはそのための罠でも仕掛けているのかもな」
こそこそと話す兵たち。
だがそんなものには目もくれず、三成は山の中を静かに歩き続ける。
(おかしいな。こんな山の中で、どうして正確に額を貫ける?まあ忠康が殺されたのは朝だから十分視界は確保できる。だが、殺された時刻に城にいなかった者全員は恐らく矢は得意でないだろう。ならば、どこから、そしてどんな仕掛けを作って忠康を殺した?)
深く考え込む三成。
それを不審に見つめる兵たち。
(まあいいか。城へ戻って戻ってからまた考えよう)
三成は城へと歩みを戻した。
まるで何も警戒していないように歩いている三成、だがしかし、彼は気づいている。複数の者につけられているということを。
(においが濃いな。これは多くの者がつけているからだろう。全く、少し面白くなってきたか)
三成は暗がりを提灯もなしに歩き、まるで道や段差の場所を暗記しているかのように目を瞑りながら歩いている。
城へつくなり、三成は窓の枠に座り込んで外を眺めていた。
森には提灯の光らしきものがいくつも照らされ、その中で光が密集している場所に三成は目を向けた。
「あそこに一成がいるのか。なるほど」
そして夜が明け、一成が率いた兵たちは城へと戻って眠りについた。
それと入れ違いになるように、三成は本を読みながら光が密集していた場所へと向かった。
「ここが三成の密集していた場所か」
三成は周囲に目を向け、においを嗅ぐ。
(矢のにおいはしないな。昨夜は三成を狙う好機ではないということか。確かに、あの大人数の中で一成を殺そうとすれば、さすがにすぐに捕まるだろう。だが次に狙われるのが一成とは限らないか。ならば山には警戒しなければな)
三成は帰ろうと足を反転させるーーが、そこには一成の部下の兵たちが刀を持って三成へむき出しの敵意を向けていた。
「何の用だ?」
「石田三成。前田忠康、俺たちの仲間を殺した罪を、俺たちを今まで何度も戦場で救ってくれた友を殺したお前を、許しはしない」
(十人ほどか。かなり厄介だな)
三成は本を閉じると、腰に差していた刀を抜く。
誰も三成の刀の腕前を見たことはない。だからこそ、三成を取り囲む兵たちは息をのんで手に汗を握る。
ーーだがその時、
「大変だ。魔族大名が警備を破り……この山へと侵入した」
「何だって!?」
(おやおや。もうお出ましかい。魔族大名、アクリス)




