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すれちがい戦争~魔王と大名の乱~  作者: 総督琉
六角の戦い
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第57話 君は誰?

「武士琉。よくぞここまで到達した。さすがは魔族の血を取り込んだ武士だな」


 暗く小さな部屋の中で、明智光秀は僕にそう言った。

 だがしかし、僕には一つ気がかりなことがあった。


「明智光秀。この世界は一体何ですか?」

「おかしいな。アンタレスに説明させるように頼んだんだが、聞いてないのか」

「いえ。聞きました。その上で聞いています」

「なるほど。何かおかしなことでもあったか?」

「歴史がおかしい。それはもしかしたらあったのかもしれない戦い、ということで見当がつく。恐らく、第三次観音寺城の戦い、それはつまり、1569年の観音寺城の戦いとごちゃごちゃになったのだろう。それはつまりーー」


 武士琉は既に察しがついていた。

 この深い陰謀の先にいるのは、()である可能性が高いのだと。


「君は頭がいい。だがしかし、未来を見据えることはまだ一度もできていない。頭ごなしに突っ込んで、そして誰かに救われる。それが君だ」

「なあ明智光秀。あの世界は創られたものなのだろう」

「正解。どうせ隠していてもすぐに解るだろう」


 武士琉の抱えている疑念はどんどん確信へと変わっていく。


「やはりそうか……」

「どうして()が怪しいと解った」

「普通、奴隷に情報は与えないだろ。なのにどうして奴隷に情報を与えていたか。いや、それは違う。彼は自分自身で情報を掴んだ。そしてその情報を掴むには、少なからず魔王軍の協力者がいた。恐らく、それが明智光秀、君だった」


 明智光秀はにやりと黒幕のような笑みを浮かべた。


「正解だけど、どうして解ったんだい?」

「口ぶりがまるで全てを知っているようだったから。それに彼と同様、君は俺に味方し、そしてその他の軍勢には裏で敵対だのする。それで勘づいた。君たちが何か大きなことをしようとしているって」

「正解」


 再び明智光秀は笑みを浮かべる。


「それで、他に質問はないかい?」

「何をしようとしている?」

「それはねーー」


 明智光秀は再び黒幕のような笑みを浮かべた。

 その瞬間、爆発が城のどこかからか響いた。


「武士琉。世界は誰が支配するのがベストだと思う?」

「支配者がいないのが一番のベストだと思うが」

「それは違うさ」


 明智光秀は刀を抜き、扉を斬って振り向き様に武士琉にこう言った。


「世界を支配するのは、私たちだけで十分だ」


 扉が斬られて地面へ落ち、それとともに扉の向こうにいたであろう腰に差した刀に手をかざした武士は血まみれとなって倒れた。


「最後の試練でまた会おう。そして世界が変わることを切に願っているよ。武士琉」


 明智光秀は扉の向こうへと去り、どこかへと足を進めていた。

 武士琉はその背中を追おうとするも、爆炎が武士琉と明智光秀との間に壁を造り、武士琉は明智光秀を追うことができなくなった。


「早速見つけたぞ。魔王軍に味方した裏切り者が」


 刀を構えた四人の武士が、武士琉の前に立ちはだかった。


「邪魔だな」

「裏切り者を殺せ」

「雑魚は引っ込んでろ」


 武士琉の刀裁きは一瞬にして武士四人を粉々にし、血まみれとなった武士を背に、武士琉は駆ける。


「何が起きているか解らねーが、ひとまず城から抜け出すことが最優先だ」


 武士琉が歩むその道に立ちはだかったのは、一人の武士。


「斎藤道三。何の用だ?」

「昔から明智は信用ならねー奴とは思っていたが、まさか俺たちを売るとはな。これは驚きだ」

「なるほど。明智が情報をばらしたせいで、お前たちは反魔王の軍勢に攻められているのか」

「正解だ」


 武士琉はあとずさりしようと足を背に進めるも、斎藤道三は短刀を投げて武士琉の右足から血を出させた。


「一騎討ちだ。ここでお前は殺しておく」

「全く、もう訳わかんねーよ。けど、そっちがやるのなら、俺は容赦なく刀を振るう。それでも構わないか?」

「存分に来い」

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