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すれちがい戦争~魔王と大名の乱~  作者: 総督琉
六角の戦い
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第55話 ブエル

 刀の軌道をまるで全て読んでいるかのようにブエルはかわす。

 必要最低限の動きで、武士琉の刀はいとも容易く、まるで赤子とでも遊んでいるかのようにかわす。

 いや、遊んでいるかのようではない。実際にブエルは遊んでいるのだ。


「武士琉。思ったのだが、君は刀に関しては素人だな。脇ががら空きだし、刀の振りには無駄が多すぎる。そして何より、刀の持ち方が雑だ」


 ブエルは武士琉の顎を手のひらで持ち上げるようにして弾き飛ばし、武士琉は地面へと転がった。


「脆いか。たとえ魔族の血を有しようと、その血を最大限使えなければ意味のないこと。はぁぁ。これだから最近の魔族は、弱いくすぐにやられる。もう少し強い者はいないものかね」


 ブエルは日頃のストレスを吐き出すように悪態を吐き、転がる武士琉へと歩み寄った。


「ねえ。同族狩りとか楽しそうだからさ、君をとっとと殺して弱い魔族殺しに行きたいんさ。だからとっとと消えてくれ」


 ブエルの拳には火炎が宿る。紅に輝く熱いその火炎を武士琉へと向ける。

 ブエルは最後の面を拝もうと手のひらの脇から武士琉を覗くーーが、そこに枯葉いなかった。


「ただ佇むことなかれ」

「な!?」

「武士道の刀。その壱ーー」


 風を流れるようにして刀はブエルへと進み、ブエルはすぐさま振り向いて背後にいる武士琉へと火炎を浴びせようにも、間に合わない。


「まずい……」

「ーー流突」


 ブエルの頭部へと繰り出される突きの一撃。

 さすがにこれは決まったーーいや、まだ決定打とはいかない。


「氷の壁?」


 武士琉の刀を防いだのは、まるで木のように生える巨大な氷の塊であった。武士琉はその氷から距離をとり、脇をしめて自身の前方に刀を構える。

 ブエルは木のように生えた氷の上に乗り、武士琉を眺める。


「武士琉。僕ちゃんは属性悪魔(エレメントデーモン)。全属性を操る悪魔であり、そしてその悪魔を従えている者こそ僕ちゃんなんだよ。だから僕ちゃんは、バカ強い」


 おぞましいまでの殺気を纏った満面の笑み。その形相から覗かれるは、苦しいまでの愛情であろうか。ただ一つ言えることは、ブエルに勝つことなど、不可能に近い。


「氷、火、雷、風、土、などなど、僕ちゃんは多様性に効く。一度冷静さを失い欠けたものの、冷静ささえ保てれば僕ちゃんに敗北の二文字は確実に与えることが不可能。僕ちゃんは万能。いずれ七名の災厄(セブンズヘル)をも越え、魔王にーー」

「ーー私に何か用か?」


 ブエルの背後に現れた黒い影。

 彼が現れたタイミングから、その彼が一体何者なのかは容易に想像がついた。


「まさか……魔王…………様!?死んだはずじゃ……」

「ブエル。お前はなかなか面白い奴じゃ。だがしかし、さすがに私を舐めすぎだ」

「どどど、どうしてここに魔王様が?」

「そんなに怯えなくても良い。どうせお前が敵になろうと、私には手も足も出ないだろうからな」

「何をぉぉぉ」


 ブエルの敵意は完全に魔王へと向いた。


「ところで上を見なさい」


 魔王の発言通り、ブエルと武士琉は上を見た。

 そこには、落ちていたはずの隕石がなぜか消失していたのだった。


「なぜだ?」

「アイに頼んだ。どうせあれはアイが出した隕石だろ。だからアイに頼んでやめさせた。それにあの武士がお前をやれるとは思っていなかったからな」


 底知れぬ魔王の威圧感に、武士琉は足を下げていた。


「おやおや。そこの武士。お前にはもうじき次の世界へと向かってもらう。残りは三名。一応ブエルとの戦いは突破したということにしよう」

「え!?」

「だが明智も面白いことを考えるな。武士を魔族にし、そして少しずつ強くさせるとは。それにあの者の血を使ったせいか、彼は予想以上に強くなった。これは予想通りだ。後は成長を待つとしようか」


 武士琉は状況が呑み込めないまま、次の戦場へと行くための純白の光に包まれた。


「では次は、決闘を学べ」

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