第43話 人喰い阿修羅
「魔族よ。今ここで、貴様を殺す」
六角義治は、鋭い殺気を人喰い阿修羅に向ける。
魔族である人喰い阿修羅が、人に震え、怯えている。
「死んでたまるかぁぁああ」
牙を鋭く、そして剥き出しにして拳を強く握って六角義治へと殴りかかる。が、六角義治はまるでお手本のようなカウンターを見せ、人喰い阿修羅の腹へと槍を串刺しにした。
「終わりか?」
六角義治は人喰い阿修羅を蹴り飛ばし、槍を肩に担いで人喰い阿修羅を威圧する。
だがしかし、人喰い阿修羅の腹に空いた穴は一瞬にして塞がった。
「速い……」
「終わりか?それはこっちの台詞だ」
紅眼の双視が闇夜の中で薄気味悪く六角義治を睨む。その感覚とともに、六角義治の腹へ人喰い阿修羅の拳が炸裂した。
瞬間移動したかのような速さに、六角義治は口から血反吐を吐いて壁に激突する。
「死なせない」
武士琉は咄嗟に刀を抜き、人喰い阿修羅へと斬りかかる。
だが人喰い阿修羅は三本の腕で刀を受け止め、がら空きとなった武士琉の腹へと爪を刃のように鋭くさせた拳を進める。武士琉の腹は玉子焼きにように容易く貫かれた。
「一人死んだね」
「何を言っている。そう簡単には死なねーよ」
刀を振り下げ、人喰い阿修羅の腕を三本同時に斬り飛ばした。
人喰い阿修羅は驚き、体勢を後ろに崩した。
「まさか、魔族の臭いはお前の方からしていたか!」
「お前が魔族か。そう言えば最初も魔族を倒せば次の試練へ向かえた。ならば、お前は殺す」
「何を言っているかわからねーが、そう簡単には死なねーよ」
人喰い阿修羅は後方へ飛び、武士琉と距離をとるーーだが、それをよんでいた武士琉は前方へと飛び込み、人喰い阿修羅の心臓を貫いた。
「ぐはっ……」
「終わりだ」
武士琉はそのまま刀を振り上げようとする、が、人喰い阿修羅はいつの間にか再生させた腕を使い、全六本の拳で刀を掴んだ。
さすがの力に、武士琉は刀をびくりとも動かせない。
(下へ力が働いているな。なら、)
武士琉は人喰い阿修羅の力が入った刀を下に振り下げ、人喰い阿修羅の下半身を斬り裂いた。そして再度、人喰い阿修羅は刀を振り上げる。
「火群」
人喰い阿修羅は六本の手を全て二つずつ重ね合わせると、火炎が武士琉を襲う。
武士琉は後方へと退き、その隙に人喰い阿修羅の体は完全に再生する。
「その程度か?」
「さすがにやるな。どうせ魔族大名だろ」
「正解。俺は魔族大名の一角を担う者ーー人喰い阿修羅だ。俺に勝とうなんぞ、希望を持たない方がいいぞ」
「確かに一人じゃ勝つのは難しいだろうな。なぜならお前は魔族大名だから。でもな、俺ら武士は一人で戦っているんじゃない。いつも同じ志で戦っている仲間とともに戦場を生きている。だから、負けないんだよ」
人喰い阿修羅は背後に気配を感じ、振り向いた。
「必殺、六翔突」
六枚の刃が、人喰い阿修羅の頭部を原型すらとどめずに破壊したーーと同時、背後から武士琉は連撃で、心臓、足、腕、腹を斬り飛ばし、再生不可能なほどに斬り刻む。
血まみれになり、唯一残っていた右目の眼球で、人喰い阿修羅は武士琉と六角義治を見入る。
「「武士を、舐めるな」」
「これが……武士!」
六角義治と武士琉は最後に残った右の眼球を斬り、人喰い阿修羅は今度こそ消滅した。
勝利した武士琉たち。
そんな中、武士琉は純白の光に包まれた。
「なるほど。やはり魔族大名を倒せば、次の試練へと向かえるのか……」
そして、武士琉は次なる戦場へと足をつけていた。




