第30話 復讐のために魔物となれ
「武士琉殿……。武士琉殿」
武士琉は蘭丸の声で目を覚ました。
目を開けると、目の前には首を跳ねられたはずの蘭丸が、首が繋がっている状態でそこにはいた。
「ここは……天国か?」
「私もそうと思ったのですが……」
蘭丸の手元を見ると、腕を後ろに回されて手錠で拘束されていた。そして武士琉も手錠をされていた。そして鉄の檻の中に入れられている。
「この時代に手錠なんかあったか?」
「手錠……とは何ですか?」
蘭丸の反応から察するにこの時代に手錠は無い。つまりこれは魔王関係の者たちだろうと察し、武士琉は考える。
そして幾つか時が経ち、冷静になって周りを見渡すと、武器も防具もそのまま装備されたままだった。
「蘭丸。俺の刀を抜いて手錠を斬ってくれ」
蘭丸は俺の腰にかかってる刀を抜き、背を向けながら俺の手錠を斬った。
「よし。次は俺が斬ってやる」
俺は拘束から解けた状態で、ゆっくりと蘭丸の手錠を斬った。
「これで大丈夫だ」
「ありがとうございます。ですがなぜ我々は武器をつけられたままだったのでしょう?」
「どうせ忘れていたんだろ。連れてきた奴が見落としたとかで」
「明智……殿ですかね?」
蘭丸は悲しげに言ってきた。明智光秀は仲間だった。
時に怖かったけど裏切るような人ではなかった。それなのに、魔王側につこうとしている。
「蘭丸。今はここから逃げることだけ考えよう」
武士琉は明智光秀のことから目をそらさせ、脱出を開始する。
「武士琉殿。でもここって……一体どこなんですか? もしかしたら魔王が最初にこの世界に来た時に乗っていたという空飛ぶ船かもしれませんし……」
「でも今は進むしかない」
武士琉は檻を斬り、先頭に立つ。
「武士琉殿。戦いは私にお任せを」
蘭丸の背中は頼れるほど大きく立派なものだった。
「なあ蘭丸。おかしなことがいくつもある。罠かもしれんから、くれぐれも先走ることのないように」
「はい」
ーーその頃監視ルームにて、
「彼らは勘づいているようですが……大丈夫なのですか?」
「君は分かってないね。ただ胸がでかいだけの奴は脳みそは小さいんだな。感心感心」
男は隣に座っている女性の心臓がある場所を凝視し、黒幕のような微笑みを見せる。
「おいお前。それ以上胸見ると殺すから」
「ははは。冗談に決まってるだろ」
女性はすぐさま刀を抜き、男の首もとに当てる。男はすぐに両手を挙げ目線をモニターへと移す。
「それよりどうするのですか?」
「安心しろ。作戦はできている。君には分からないと思うが、既に彼らは私の思い通りに動いている」
「ふーん」
「戦いは……これからだよ」
この謎の二名は一旦誰なのだろうか?




