第22話 異世界転移の謎
「今から私たちが異世界に転移したわけを話そう」
「俺達が来たここは過去じゃないのか?」
浅井長政はあっさりと否定する。
「NoNo。地球のパラレルワールドというものは複数存在する。お分かりかな?」
「まあ、うん……」
武士琉は超がつく程の都市伝説好きだ。
武士琉は都市伝説とかで、パラレルワールドに来たっていう体験談を耳にしたことは何度もある。だから初めて来た時もすぐに状況を理解できた。
「でも、ここは明らかに戦国時代だ」
「まあ、そうだ。でもな、過去は過去でも、俺たちはパラレルワールドの過去に来ている」
話が壮大になりすぎて、武士琉は少しばかり戸惑う。
「だがなぜ君が飛ばされたか…………それは分からない」
「えええぇぇぇええぇぇえ。ここまで来てそりゃないぜ」
武士琉は解り欠けていた事実に落胆する。
「まあ待て。最後まで話を聞け」
「浅井様。まさか、まだ続きがあるのですね?」
浅井長政は軽い咳を二度ほどし、話を続けるため言葉を紡ぐ。
「私がここに飛ばされた経緯を教えよう」
浅井長政は自分の過去を淡々と話し始めた。
武士琉は、浅井長政が一体どんな日を巡ったのか、そんな過去の話に耳を傾ける。。
「私は地球にいた頃、誘拐され、とある研究施設に運ばれた」
武士琉は都市伝説でも耳にしたことがある。誘拐され、国の研究材料になる子供たちがいると。
それと似たようなことが、武士琉と長政のもといた世界では起きていたのである。
「誘拐され、そして数年経って十二歳になった頃、巨大な装置の中に容れられた。私は何が起こるのか怖かった。あっという間に純白の光に包まれ、気付けば森の中を裸足でさまよっていた。私はもう何もかも怖くなり、自殺しようと目の前にあった崖から飛び降りようとした。だが……」
ーー大丈夫か?
「私は今川義元に出会った。今川様は立派な方だった。魔王を倒すため、何年もかけ、策を練っていた」
ーー海里、海里
「今川様はいつも海里という女性のことを話してくれた。とても愛していたんだろう」
「そうか。今川義元は魔王への怒りは本当だったんだ」
武士琉は義元の怒りが真実だったのだと悟った。
「そして今川様はある日、私にこの城を任された。それは今川様が織田の砦へ攻める数日前」
「そうか」
「まあ、異世界転移についてはまだ詳しくは分からない。でもいつか異世界転移の真実に気付き、我々がもとの世界に戻れるよう、戦い続ける」
「はい……」
だが武士琉は戻りたいとは思っていなかった。
彼は森蘭丸に惚れ、護りたいと思っている。そんな彼は、もとの世界になんて……
ーー戻りたくない
世界とは、いつだって儚いものなのである。




