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すれちがい戦争~魔王と大名の乱~  作者: 総督琉
鷲津山の戦い
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第20話 隕石連

 ーー1560年6月13日。1時40分。

 武士琉、御経、森蘭丸の3人は立ち止まる。


 彼らは空を見上げた。

 彼らが見た空には、空を埋め尽くすほどの隕石が降っていた。

 灼熱を纏い、この大地へと降り注ぐ無数の隕石たち。その隕石はまるでこの戦場を殺すように、降り注いでいく。


「武士琉殿。私たち、死にますよね?」

「確実に……終わりだ」


 武士琉と蘭丸は赤く染まった空を見上げ、絶望と恐怖に包まれていた。

 何もかも終わると確信した空は、やけに重たく暗い。


 降り注ぐたくさんの隕石は、逃げることなど考えさせてはくれなかった。


 結局、どうしようと死ぬのだから。

 この大きさの隕石ならば、ここ尾張が滅ぶだけで済むだろう。だが、いくら被害の大きさが解ったとしても、それに対応できる時間や能力はない。


 それは明らかだった。

 だが諦めていない者もいた。


「隕石が……砕けた?」


 武士琉たちが空を見上げていると、降ってきた隕石が空中で砕けた。その隕石は跡形もなく消滅し、その数は次々に減っていく。


「どういうことだ?」

「武士琉殿、あれを」


 蘭丸が指差すほうを見ると、今川義元が馬に乗りながら、美しい構えで弓を持ち、隕石に向かって無数に矢を放っていた。

 馬に乗った今川義元は、武士琉たちに気付くと、馬を彼らへと走らせた。


「武士琉、蘭丸。俺は今からお前らを救うため、鷲津山に登って、そこから矢を放って退路を作る。だからお前らはひたすら走れ」

「ですが今川殿。そんなことをすれば……あなた達のほうにある隕石は……」


 蘭丸は恐る恐る口を開いた。


「ああ。砕く暇はないから俺達は死ぬ」

「なら……」


 蘭丸は義元を心配し、何か助かる方法がないかを模索する。だがそんな方法などない。


「バーカ。俺はお前らのためにやってんじゃねー。戦国の未来のためにやってんだ。そのためにお前らには俺の意思を継いでほしい。だからさ、お前たちは生きていてくれ」

「でも……」

「ああ、分かった。その代わり失敗すんなよ」


 蘭丸は顔を背けるも、武士琉は義元へそう言った。


「分かってる」

「じゃあな」


 ーー来世で会おうぜ


 二人の武士は決意する。

 たった短い間の武士()だった彼らは、未来を変えるため武士()から武士()に命を託した。


「蘭丸、悲しむ暇は無い。今は託してくれたあいつらのため、精一杯生きよう」

「…………」


 蘭丸は武士琉には背を向けていた。彼女はまだ弱い。だから強くならなければいけない。


「行くぞ、蘭丸」


 武士琉と森蘭丸、御経は今川から貰った馬で、駆け抜ける。

 誰もいない……戦場を……。


「……魔王」


 武士琉は膝の上に御経を乗せ、馬を走らせ、空を見ながら決意した。


「魔王。お前はいつか、俺が倒す」


 そう決意し、少年と少女は馬を走らせ、ひたすら尾張を駆け抜ける。

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