第17話 鷲津山 開戦
武士琉と御経は城の外に出るため、一階に降りた。
一階では、前田利家と森蘭丸が何やら焦ったように話していた。
「おーい、利家。何してんだ?」
「その子……誰だ?」
利家と蘭丸は、武士琉が抱えている少女を不思議そうに見ている。
「話は後だ。それより何を話してるんだ?」
「それが……外を見てくれ」
武士琉は言われた通り窓から外を見る。
「なんだ……これ!」
砦の外には、骸骨や鬼人、巨人に死人、狼男に魔法妖精、飛行鱗獣や龍鷲蛇など、無数の魔族が砦を囲んでいる。
これほどの異形の存在に勝てるはずがない。
「どうやって逃げる? そうだ。地下があっただろ。この城には」
蘭丸は静かに話し出す。
「言ったでしょ。もともと鷲津砦に地下は無かったと」
「?」
何か意味を含んだその言葉に、武士琉は首をかしげた。
「つまり、あの地下通路は魔王が来てから、魔王によって造られたんですよ。もともとこの砦は、魔王軍から奪ったものですからね。それも計算し、すぐに魔王軍が駆けつけられるように魔王は造ったんです」
「じゃあ……」
「ずっとここにいても地下から魔王軍が……来ます」
このまま動かなくても死ぬ。
地下に逃げても死ぬ。
魔王軍に立ち向かおうとも死ぬ。
つまり……
「……詰んだ」
と思っていた。
だが……
「魔王軍の連中、混乱してないか」
「本当です!」
外を見ると利家と蘭丸が言っていた通り、魔王軍の者達が混乱して陣形を乱していた。矢や刀が見え、それにより、魔族は倒されていく。
だがなぜか分からない。
「見てください!」
蘭丸が指差す方向を見ると、そこには今川義元が率いる軍がいた。
今川義元は馬に乗って戦場を駆け、魔族を次々に倒していく。
でも何で……?
「きっと我々を救いだしてくれたのですよ」
「意外と良い奴じゃねーか」
蘭丸と利家は素直に感心する。
「……蘭丸。利家。すまなかった」
俺がこんな作戦立てなければ、俺達は危険な目に遭うことはなかった。だから謝らなければならない。
「でもさ……お前がここに来たから今川は動いたんだと思う。だから……スゲーよ、お前」
「本当です。武士琉殿はかっこいいです。危険な任務は自分で背負うのですから」
二人は武士琉を絶賛した。
「……ありがとう」
武士琉は目に嬉し涙を浮かべ、礼を言う。
「行きましょう。今川のもとに。私達も戦いましょう。でなきゃこの数、勝てない……」
今川が来たとはいえ、戦況は蘭丸の言う通りだった。
多数に無勢。100万対1万。魔族 対 人。
つまりこの戦力には勝てない。だから逃げるしかない。
今川義元は魔王軍がここに来たから、俺達が鷲津砦に来たと分かった。それで来たんだと思う。
つまり俺達を仲間だと思ってくれてる。だから……期待に応えたい。
今川義元が仲間だと思ってくれるのなら、あなたの背中を追い続けます。
魔王軍100万 対 今川軍1万5000
今、鷲津平野にて"鷲津山の戦い"開戦




