第15話 魔王の子
ーー1560年6月13日。0時50分。
鷲津砦にて
武士琉は謎の女の子を片腕で抱えながら、容赦なく猛攻を浴びせてくるデュラハンと戦っている。
戦況は、武士琉が圧倒的に不利である。
「その子を話した方がいいんじゃないか」
「俺はこの子をここから連れて帰る」
デュラハンは少し感心する。
「お前の名は?」
「武士琉」
「では、武士琉。お前はその子について知ってるのか? その子は……魔王の子だ」
「魔王の!?」
魔王の子を抱えているという事実に、武士琉は少し刃を乱れさせる。それを感じてか、デュラハンの剣が武士琉の頬をかする。
「その子の名は、ルーズ。つまり失敗作だ。どうだ、いい名前だろ。魔王の子にしては何もできない。だからルーズ」
デュラハンは笑う。
「なあ、何が面白い。まだ十歳くらいしかない幼子だ」
武士琉は怒りをぶつけるも、またデュラハンは笑う。
「分かってないと思うが、その子は二十歳。今の君と同じくらいの年だよ」
「えっ!?」
見た目は明らかに子供だ。身長も低く、声も幼い。
なのに二十歳!?
「どういうことだ?」
「言ったろ。その子は失敗作。つまりは成長しない赤子。そんなの、永遠と赤子を続けているようなもの。だからその子は魔王の怒りに触れた子だ」
「怒りに?」
「魔王はプライドが高い。だから弱い子を生んだとなればプライドを傷つけられる。だからこの子を捨てた」
デュラハンは剣を少女に向ける。
「何を言ってるか分からない」
「いずれ分かるよ」
デュラハンは武士琉に斬りかかる。
「まだ話は……て」
「終わったよ」
武士琉はデュラハンの剣をかわし、握る剣でデュラハンの体へと刀での一撃をいれる。が、
「喜んでいるとこ悪いけど、そんな攻撃意味ないじゃん」
デュラハンの能力は斬擊無効。
つまり、刀でいくら斬りつけられようが死なない。
だが武士琉は知らない。
だから何度もデュラハンに斬りかかる。だが……
「鎧が硬い。それに鎧と鎧の間も硬い」
「お前じゃ斬れないよ。おとなしく降伏しろ」
武士琉は窮地の中で、刀を構える。だがデュラハンの強さに太刀打ちできない。
それにだ、デュラハンはこの子を殺す気だ。だからデュラハンは堂々とルーズを斬りつける。それを武士琉はかばい、体に無数の傷を負う。
「はああぁぁぁ。はああぁぁぁ」
武士琉はもう力が入りにくい。
ふらふらの体を何とか動かし、刀を握ってデュラハンへと構える。
「限界だろ。武士琉。その子を渡せ」
「嫌だ」
この子を渡せば、殺される。
嫌だ。
諦めるな。武士琉。俺は武士だろ。戦え。戦え。戦え。
武士琉は今、圧倒的窮地の中で、鈍く光る。




