第12話 鷲津砦 夜襲
俺は鷲津砦に子供達がいるかもしれないという可能性がある限り、子供達を救いたい。だからこそ、口を開かなければならない。
「俺の作戦は死ぬかもしれない賭けになる。それでも聞いてくれるか?」
武士琉の問いかけに、森蘭丸、前田利家は考え込む。
「僕はやる。武士琉殿には桶狭間の時信じてくれたから。僕も武士琉殿を信じる」
「ありがとう。蘭丸」
「俺は……賛成だ」
前田利家は何か考え事をしているように見えた。過去に何かがあったのだろう。その過去を思い出し、そして頭痛をしたように頭を抱え、頷く。
だが協力してくれるのだから、俺も全力で頑張ろう、そう思った。
「だが、俺が協力する条件として一つ、提示してもいいか?」
「……う……うん」
利家の声に、武士琉は耳を傾けた。
利家は刀を抜き、武士琉へと向けて言い放った。
「それは、死ぬと思ったら恥も捨て、救いを求めること。お前には才能がある。だからお前は生きろ」
「ああ。俺は必ず生きる」
武士琉はなぜこんなことを聞くのか疑問に思っていた。
だが、その疑問の答えを今、武士琉は知ることは出来なかった。
ーー1560年6月12日。23時50分。
武士琉、森蘭丸、前田利家の三人は鷲津砦に移動している。
暗い森の中、自分の勘だけを頼りにひたすら進む。
木の根に足を引っかけず、葉っぱに体を触れさせず、ただ鷲津砦を目指す。
「まだつかねえのか」
武士琉は疲れていた。
もしこの状態で戦ったとしたのなら、勝てる気がしないだろう。
「武士琉、あと少しだから頑張れよ」
「分かった。蘭丸、ありがとう」
ーー6月13日。0時20分。
鷲津砦に到着。
砦付近の森の中にて、武士琉、蘭丸、利家の三人は息を殺して砦を眺める。
「どうする? 武士琉殿」
「少し休憩をしよう。だから今のうちに作戦を話す」
前田利家は少し不安そうだ。
「俺達がこの砦を略奪できる確率は0だ」
「確かにそうだ」
武士琉の言葉に、利家は即答した。
「だから俺達は戦わず子供達を救う。いないかもしれない。でも、ここでやらなきゃ武士じゃない」
「そうだ」
「そうです」
利家よ蘭丸はやる気満々だ。
「今回の作戦は一人一人が単独で行動する。だから危険な作戦となる。心してかかれよ」
「それぞれが担当する場所は?」
前田利家は不安そうに聞いてきた。
「俺と利家で中を調べる。蘭丸は外から敵が来ないか見張っててくれ」
「「はい」」
実際いる確率はほぼゼロだ。でもいたら取り返しがつかない。
もう昔の俺に戻るわけにはいかないんだ。
だから、俺は後悔しない道を進む。
「頼みましたよ。武士琉殿。利家殿」
「おうよ」
「俺達の力見せてやる」
今この場所にて、鷲津砦夜襲作戦が幕を開ける。




