第11話 鷲津山 隠兵
1560年6月12日。15時00分。雨がひき始め曇りになった。
桶狭間の戦いは既に幕を閉じていた。
今川義元、武士琉、森蘭丸、前田利家、本多忠勝を筆頭とする武士、1万5000人は急ぎ足で鷲津砦に向かう。
鷲津砦が見えた時にて、戦の天才、前田利家は違和感を感じた。その違和感とは……
「気をつけろ。敵はまだいる」
思わず声を張り上げ、歩んでいる兵たちの歩みを止める。
武士琉は利家へ歩み寄り、訳を聞く。
「なぜだ。前田利家」
「見ろ。鷲津砦の周りに馬が多くいる。多分あれは魔王軍の馬だ」
利家が見ている方向を方向を見ると、確かにそこには首から上が火炎の玉になっている馬が一匹、静かに座っていた。
「なぜ言いきれる。信長の馬かもしれんのに」
「ありえない。信長様は用心深い。だから見張りの一人や二人、つけているはずだ。それに信長様が魔王軍から奪った変な馬は既に死んでいる。なのに……」
「なるほど。あれは魔王軍の可能性が高いということか」
「そう。つまり、魔王が鍛え上げた最強の馬、妖馬だ。つまりは、魔王軍幹部があそこにいるということだ」
妖馬とは魔王軍の優れた馬であり、人は触れられない。まあ信長様のような例外はあるらしいが。まあ例外を除けば、ほぼ死ぬことはないだろう。だが妖馬は光に弱く、何時間も当たれば消滅する。
まあ今は曇っているから大丈夫であるが。
「なぜ魔王軍が……?」
「今川殿。相手は魔王です。いらないと判断すればすぐに捨てる残虐な相手です。奴が飽きればすぐに滅ぼす。だから、魔王が飽きたということだ」
つまりは、魔王軍は今川ごとこの土地の武士を殺そうとしている。
「あいつ……」
今川は拳を握り、頭に血を上らせた。
「今川殿、今からあの城を奪還しましょう」
「駄目だ」
今川へ、前田利家が刀を抜いて言った。だがそれを断り、今川は冷静に状況を判断する。
「なぜですか?」
「今、あの城に信長はいない。お前なら分かるだろ」
「ですが、子供達がいるかもしれ……」
「黙れ。今魔王を攻めたところで砕け散るだけ。そんなことに意味はない。それよりも行くぞ」
「……はい」
今川義元は前田利家の意見をかっとばし、向かったのは鷲津山。
鷲津山は鷲津砦の近くにあり、広大な森が広がっている。隠れるにはちょうどいい。
「鷲津山には隠れ砦がある。二日。二日休んだら次の目的地に出発する」
「2日!?」
短すぎる。そんな短い期間じゃ治る傷も治せない。
そう誰もが思った。だがしかし、今川は意見を変えることはしなかった。
「二日じゃ」
「武士琉殿。諦めろ。彼の意見は変わらない。いや、変えられない」
蘭丸の言う通りだ。
今川義元は自分の意見は曲げない。そんなこと教科書にも載っていた。
「だが、だが二日ある」
「二日?」
今川は二日、という期間に何やら希望を抱くように笑った。
そして武士琉たちは森の中にある木製の家屋で眠る。とその前に、武士琉は蘭丸と利家を連れ、夜の森の中で話した。
「鷲津砦を奪還する方法を考えた」
「!?」




