表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/94

いじめは解決してもめんどくさい

「ほい、久保」


 先生に自販機の所まで連れて来られ、缶コーヒーを渡された。いや、俺缶コーヒー飲めないんだけど。


「あ、ありがとうございます。いただきます」


 飲めないけど一応お礼は言った。


「それで、今日は何すればいいんですか?」


 俺は先生に質問すると、先生は一度俺の方を見て頷いた。 


「よし。じゃあ、今日は私と話をしよう」


 先生は缶コーヒーを開けると、横にある椅子に座った。


「先生と話ですか?」


「あぁ。だって、お前何かあっただろ。何かあったんだったらお前の担任の先生として、見過ごす訳にはいかないからな」


 先生はコーヒーを一口すすると真剣な目で俺の方を見た。


「誰からか話を聞いたんですか」


 クラスでの噂、橘さん、幾らでも聞いた理由は沢山ある。


「いんや、私は誰からも聞いていないよ」


「だったら何で」


「お前の様子が何時もよりおかしかったからな。机に突っ伏して。最初は体調が悪いのかと思ったが、そうでは無いみたいだし」


 俺は言葉に詰まらせた。正直先生に目を付けられるとまずい。と言うのも、俺がどう見られようと元々ぼっちの俺には何も変わらないが、橘さんが虐められたとバレてしまったら、後々面倒臭くなる。この話がクラスで流れてしまって、橘さんをパシリに使ったあいつらは怒られるかもしれない。

 しかし、その後が大変だ。橘さんが先生に相談していないとして、この問題が浮き彫りになった場合、例え橘さんが言ってい無いとしても、周りからは橘さん本人が先生にチクったと思われるだろう。そうなった場合、この後も先生にバレない程度の嫌がらせが橘さんに続く事になる。


「……」


 俺は何と言えばいいのか分からず下を向いて黙っていると、先生は溜息を吐いた。


「まぁ、言いたく無いなら言わなくてもいい。けどな、久保」


 先生に名前を呼ばれ、俺は先生の方を見るといつもより真剣な目で俺を見ていた。


「そう言う時は大人である先生を頼れ。って言って聞いてくれたら楽なんだけどな。実際頼らないだろ?」


「まぁ……。はい」


 先生を頼れだの先生に言えって言葉はよく聞く。中学生の時にも何度も聞いた言葉だ。俺は小さい声でそう答えた。


「別に怒ってる訳じゃ無いよ。頼れ無いのは当たり前だ。まぁ、頼れる程私が信頼されてないって言うのもあるかもだけどな」


 先生は笑うと、それに釣られて俺も少し笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ