クラスでは誰も言わないのにランク付けされてる
「ふぅ。これでよしっと」
先生が来る前に机に書かれた文字を消す事が出来て証拠だけは何とか消す事が出来た。未だ教室中からヒソヒソ聞こえる。多分ほっぺを叩かれた女子は「いきなり叩かれた」だの、「突然襲われた」だの誇張して皆に伝えたのだろう。橘さんに対して自分が何をしたのかを言わずに。橘さんはパシられていた事を隠していた。
だから、友達が沢山いる訳でもない橘さんなら誰にも言えないと思っているのだろう。言った所で友達と弾かれている人の話をどっちの話を信じるかと言われれば当然前者だ。俺への悪評を広め、自分が被害者だと言い張るにはこれ以上にない条件だろう。友達が多い訳ではない俺の事を知る人がまずそんなにいないんだから。それに比べて被害者はこのクラスのカーストトップ。仲良い人も、そこに属さない人もそうだと信じた方が楽で自分に損は無い。クラスの人とは皆仲良くと口では言いつつ、勝手にランク付けがされているのだ。
「まぁ、俺にはどうでもいいけど」
周りにどんな風に見られようが、まず友達がいない俺には痛くも痒くも無かった。学年の唯一の友達である橘さんの敵であるあいつらに一矢報いる事が出来たのだ。むしろ誇らしい。雑巾を片付け、教室に戻った時に橘さんがそわそわしているのがすぐに分かった。チラチラと俺の方を心配して見ているのが分かる。居心地が悪そうだ。
「知らんぷりしてればいいのに……」
橘さんの話は今回の件では一切上がっていない。無関係と言えばそれでいいのに。ヒソヒソと聞こえる声を机にうつ伏せで寝てるフリをして聞こえないようにした。
「やっと放課後か」
休み時間はうつ伏せで寝てるフリをして、昼休みは誰もいないような場所に一人で行って飯を食べて時間を潰した。いつもぼっちだから出来る事である。放課後になれば先生の雑用をすればいいから、クラスの人と関わらなくてよくなる。こんな日々を何日も繰り返せばいつかはヒソヒソ言うのも止むだろう。時間が経てばまたぼっちの日常に戻るだけだ。
「先生の雑用に来ました」
そう言って職員室に入ると、先生は俺の所に走って来た。
「久保。お前その言い方何とかならないか?それじゃあまるで私がお前を雑用扱いする酷い先生みたいじゃないか」
「いや、言葉の意味そのままじゃないですか。雑用係なんですから。プリントのやつだって……」
「よし!いつも先生の手伝いを頑張ってる久保に先生から飲み物をご馳走してやろう!ちょっと来い!」
先生が俺の手を取って職員室を出た。
前回の投稿から約4ヶ月経ってました。投稿してから空ける日がかなり続きましたが、更新できるよう頑張って行こうと思います!よろしくお願い致します。